タクティカル・ナイト
「大変美味しゅうございました。こちらをお納め下さい」
ハンバーグ代を置いて感謝を伝える
「はい、確かに。いやぁお世辞かと思ってたけど本当にこんな大人数で来るとは思わなかったよ」
「本とかに掲載されてる微妙なお店に比べたらここは超美味しいですからね。信用出来る人は連れてきたり教えたりしますよ」
あの『このお店がオススメ!』とか書いてた本に載ってた所一回行ってみたけど正直俺の口には合わなかったんだよなぁ……何とか1位!とか書いてた気がしたけどやっぱ自分で見つけたお店が良いな。行列に並んで食べて微妙だった時の時間の無駄とか徒労感はもう経験したくない
「今度知り合いに紹介してみるつもりですが……多分女の子が来ると思います。覚悟の準備をしておいてください」
蒼音ちゃんが来た場合多分おかわりは絶対すると思う。何回おかわりするかは分からないが……
「え?どういう意味かは分からないけど……お客さんが来てくれるなら嬉しい限りだよ!君はうちの福の神だね!」
嬉しい悲鳴をあげさせてやるよ!蒼音ちゃんがな!
「じゃあご馳走様でした!」
「「「「「ご馳走様でした」」」」」
「はい、またどうぞー」
お礼を言って店を後にする。ご飯は食べたから次は訓練だ
「本当に美味いハンバーグだったぞ!」
「クロトの作るご飯にも負けておらんのぅ?」
「すっごい美味しかったです!」
「また連れて来てほしいですね?」
「良い味、店主、腕を上げた」
一人視点が違うけど……まぁ気にする必要は無いだろう
「んじゃ行きますか」
「え?何処へですか?」
一番大事な用事を忘れるんじゃないよ……
「フォームを試す為だろがーい」
「あ、忘れてました」
こいつ……
「ほら、行くぞー。昨日と同じ所で試してみよう」
あの森は色々試すのに丁度良い。何か失敗しても誰にも見られないからな……格好悪い所は出来るだけ見られたくないしな
「上手く行けば良いんですがね……」
「やってみなきゃ分からないだろ?」
成功したらラッキーだし、失敗したら改善点を探せば良いだけだ
「今日も、行くよー」
皆で歩いている最中に影に飲み込まれる。落ちるって感じじゃなく、坂を下ってるイメージだ。シルエッタさんも腕を上げたじゃないか……
「よし、ディールフォームも物にするぞ!」
「おー!」
その言葉を残して俺達はその場から消えた
「今日は、ディールの、番」
ベルとエリュアスは今俺の外に出ている。ヴァイスは俺と変身する為、シルエッタはディールを俺の中に入れる為、ディールは今回の主役なので俺の中に残っている
「じゃ、頑張って」
シルエッタが俺の中から出ていく。さて、どうなるかな?
(えーと、これに触れば良いんすよね?)
(あぁ、それに触れば出来るはずだ)
ディールとヴァイスが話し合って遂にモノリスに触れる様だ
「んー変化無しだね」
(触れませんね?)
触れないって事はシルエッタと同じか?
「じゃあ一旦皆で考えてみようか?」
変身を解除して俺の中に残っていた2人も外に出てくる
「さて、結果としては失敗だったけど何がダメだったかを探ろうか」
失敗したと言っても触れなかったというのはシルエッタと似ている。なら解決方法も似ているハズだ
「私は、新しい、影の、出し方を、知ったら、出来た。だから、ディールも、新しい、やり方?を、見つけたら、出来る、かも」
シルエッタも同じように考えているな
「だが、そう簡単な物なのか?我は次第に難しくなっている様に感じるが……」
モノリスがフォーム変化を受け入れる難易度が上がっていっているとヴァイスは考えているみたいだ。そう言われるとそんな気もする
「でも、出来なかった事が出来る様になるってとっても楽しいのです!」
「そうじゃな?知らない知識を吸収出来るのは楽しいのじゃ!」
「そうですね、時間が掛かるかもしれませんがよろしくお願いします!」
お辞儀をされたけど頑張るのはディールなんだけどなぁ……