ドッペル・コミューン
「これ、ヤバくない?」
(何が?クロガネも、同じ様な、事、出来る)
シルエッタが言っている様にクロガネが他の皆の力が使えるのは他の皆の力を借りて使える様になっているだけだ。でも今の状況は俺が皆の力を借りているんじゃない
「今、俺は魔力を提供してるだけで皆が個人で力を使えるんだよ?試しに皆同時に力を使ってみてよ」
力を使って見てくれと影に言うと影の腕が、黒い魔法陣が、黒い光線が、黒い氷の刃が、黒い木の鎧が、黒い炎や雷を手の上に出した影クロガネが並んでいる
(全員、能力が使えているな……)
「これ、ヤバいでしょ……ついでに俺への負担もでけぇや……はぁ、はぁ」
リミッターが掛かっている状態だと流石に全員同時に能力を使うと持っていかれる魔力の量も尋常では無い
(皆、すぐに、止めて)
(大丈夫なの!?)(同時使用は控えた方がいいです!)
「久々にがっつり持っていかれたかも」
皆が本気で力を使ったようにも見えなかったからあまり燃費はよろしくないな……
すると1人影クロガネが寄ってきた。えーっと……あっ俺の分か?俺の影クロガネが俺の背中に手を当ててきた
「うおぉぉぉ?」
失われた魔力が戻ってくる感覚……俺にこんな力あったか?いや、1つだけ心当たりがある
「んっ?もしかしてマナジェネレーターが俺の力って事か?」
(何ぃ!?)
ヴァイスが素っ頓狂な声を上げる
(そんな事があるのか?いやしかし……)
「何でも良いや、さっきより大分気分が良くなった。俺優秀だな?」
嫌味じゃないよ?失った魔力を回復出来るのは優秀だからそう言ってるだけである
「ん?待てよ?分かりやすいからエリュアスで良いかちょっと来てくれ」
エリュアスの影クロガネを呼び寄せる
(なんじゃ?)
「氷の刃また出してくれる?」
試してみたくなって回復したばかりの魔力をもう一度使う事にする
(心配じゃが、分かったのじゃ!)
手を前にして氷の刃を出す影クロガネ(エリュアス)
そしてその肩を2人のクロガネが掴んで魔力を送り込んだ
(うおぉぉぉ!?)
2人分の魔力が送られて氷の刃が巨大化して木を越える程大きな刃になった
「これ変身解除した時の反動怖いなぁ?」
過去ケルとベルの本気を出した時に反動で倒れたことがあったが、それを思い出すくらい魔力を使う気がする
(今日は、ここで、止めよ?)
シルエッタが止めてきた。やはりシルエッタもこれの燃費の悪さを感じたみたいだ
「そうだな、ここからはピクニックにしようか」
変身を解除したら影クロガネは全て消えて俺の周りに皆が立っていた。これで影クロガネが居た場所に皆が出てくるとかになったら結構使い勝手も悪かったが……
「気を付けるのだぞ?準備は済んでいるのか?」
「それはもちろん、ささっこちらへどーぞ」
ディールに案内され、レジャーシートの上に座る
「大丈夫?スープを飲むの!」
ケルがスープを差し出してくれたので一口飲む。温かくて体に染み渡るスープだ……俺が作った奴だ
「今日の、訓練は、ここまで、ここからは、ピクニック」
「「「はーい」」」「うむ」
ここの主導権は完全にシルエッタが握ってますね……これは逆らえませんわ
「じゃあお弁当食べようか?いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」
想定していた反動は思っていたよりもずっと軽かった。ちょっとだるいくらいで済んでいるのはやはり本気では無かったからなのだろう
「正直このフォームはとっておきもとっておきな隠し玉だな……」
「私も、あまり、これは、使いたくない。強い、力、出す為には、クロトの、負担が、大きい」
シルエッタも言っている通り、シルエッタフォームはそれ単体だとちょっと他のフォームに比べるとインパクトに欠けるが影分身を使うと多分一番強いフォームだ。でも燃費とか俺への負担が大きいフォームである事も確かなので隠し玉として出来るだけ使わない様にしようと決めた