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ドッペル・コミューン

「おう……凄いな、これ」

 今の自分と同じ姿をした影が7人立っている


(おぉ?何だこの不思議な感覚は?影の腕を操るのとはまた違う……とにかく初めての感覚だ!)

(体を動かしているのに動いているのは目の前の体……不思議です!)

(こうやってこうすれば……あはは!思い通りに動くの!)

 すっげぇ……今足伸ばしたままバク転をして何回ひねりを入れた?とにかくあのドレス姿で動けるって事は動きを阻害されないんだな……まぁ影だからそんな事は関係無いか


(ほぅ?なるほどこりゃ面白いのじゃ!)

(あぁ私の分を振り回さないでくださいよ!)

 影のクロガネが別の影のクロガネの手を掴んでぶんぶん振り回している。あぁどっちがどっちか分かりますねぇ


「そういえば影にダメージって入るのかな?」

 影にダメージが入るとするなら若干使いにくいな……


(分からない、試してみる?)

 どう試すのかな?と思ったら……


(行くよ?)

(ちょ、ちょっと待て!?)

 今度は影クロガネが別の影クロガネをぶん殴った


「試し方がアグレッシブ過ぎません?」

 吹っ飛んだ影のクロガネは頬を擦っていたがすぐに起き上がった


(痛い?)

(痛みは感じないが急に殴られてちょっと心に傷が付いたぞ……)

 どうやら影から俺達本体にダメージは伝播しないみたいだ


「となると、やっぱりこれは操り人形みたいな物か」

 影の操作をしながら自分の体も動かす……同じ動きをしてしまうからこれは要練習だな


「こうやったらいけるかな?んーダメか」

 影が同じ動きをしてしまっている。これじゃあダメだ。だったら……


「俺はクロガネ、影を操るのは()()()()……」

 自分で自分に言い聞かせて意識を2つに分ける。難しい事だが(フェイル)が死んで(玄斗)に生まれ変わった事を思い出して(フェイル)を蘇らせる


 影のクロガネが1体、俺と向き合った。今の俺の動きとは異なっている


「初めまして、になるのかな?僕」

 手を差し出すとそれに影のクロガネが応えて手を握り返した。やはり喋る事は出来ないか


「自分には変わりないけどこれから頼む」

 するとその影はスッと俺の中に歩んで消えた


(自分と、向き合うのは、良いと思う、でも、今、戻しちゃったら、訓練に、ならないよ?)

 そうシルエッタに言われてそろぉっと出てくる影クロガネ。やっぱりそういうのは恥ずかしいよね?分かるよ俺もだもん。完全に今の場面は俺自身が自分と向き合って……て場面だったもんね?


 とにかくこれで全ての影クロガネは自由に動けるようになった


「そう言えばこのフォームでの攻撃方法って影糸だけかな?」

 今の所この姿で攻撃出来そうと思ったのが影糸(細い)のみな気がしたのでシルエッタに訊ねてみた


(この足も、使えるよ?)

 スカートだと思っていたのはしっかり足としても使える様で木に張り付いて歩く姿は若干ホラーテイストだ


(後は、これくらい、しか)

 そう言って本体のクロガネの腰に付いていた丸い蜘蛛の腹部の様な部分から何かを取り出した


「えーっとそれは?」

 急に取り出された苦無の様な物


(影を、縛り付けたり、投げた所に、影を、作ったり、出来る)

 何だかパッとしない気がするけど……


(試しに、投げてみて?)

 影クロガネ(シルエッタ)に苦無を手渡されたので目の前にあった木に向かって苦無を投げてみた。すると明らかに自然の影より暗い影が現れる


(おっ!あそこから出られるな?)

 影クロガネが俺の中からでは無く、投げた苦無の影から現れる。これは凄いぞ?


「って事は?」

 苦無は何本も蜘蛛の腹部から取り出せたので適当に数本木に向かって投げる


 そして皆(影クロガネ)が苦無の刺さった影の所から現れて、しかも出来た影の場所は自由に行き来可能。恐ろしいな……そして


「俺も出来るんだね……」

 今までシルエッタの意思で影移動していたが俺の意思で移動するのは新感覚だった


(んー、これも妾の力使えるんじゃろうかのぅ?)

 エリュアスが中身の影クロガネが思案しているポーズをした後に腕を前に出す


(ぬおっ!出せてしまったのじゃ!)

 影に覆われているが氷の刃を腕に纏った影クロガネがそこに居た。それ即ちシルエッタフォームの可能性が大きく広がった事を示唆していた



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