表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
262/367

ドッペル・コミューン

 何ともいえない気持ちのままご飯を食べ終えた。全く、不意打ちでドキッとする事言うんじゃないよ


「むぅ~、クロト、手伝う」

「ありがとう、じゃあ一緒に皿洗いしようか」

 ちょっとシルエッタが不機嫌だと思ったのでいつもの魔法による食器洗いでは無く、普通に手で洗う事にした。こういう時は話を聞いてあげないと……


「何か、ムカムカ、する」

 ムカムカするらしいシルエッタ。とにかく刺激しないようにしよう


「料理美味しくなかった?」

「違う、クロトの、作った、料理は、とっても、美味しい」

 俺の料理のせいでは無い……とするとやっぱりアレですか?


「ディールが、クロトの事、大好きって、言った時、ちょっと、ムカムカした」

 他の皆の時と何が違うんですかね……皆から好意を向けられてるのは嬉しいけどディールにだけ妙にトゲトゲしくない?


「エリュアスとかケルが言うのと何か違うの?」

 刺激するつもりは無かったがどうしても聞きたくなってしまった


「多分、ディールが、一番、クロトに、近い、それで、ディールの事、クロトが、本気で、好きになったら、私じゃ、勝てないと、思った……」

 俺とディールの存在が似ているって所がシルエッタにとって自分じゃ()()()()と思っているみたいだ。エリュアスとケルは対等な立場だけどディールは元ゴーレムという部分がシルエッタの中じゃ1歩違うらしい


「シルエッタ」

 皿を洗いながらシルエッタに話しかける


「なに?」

「俺は皆が好きなんだけど誰か一人を選んでその人以外と仲良くしたらダメ……になっちゃうのかな?」

 恋とか愛とかは俺にはまだ良く分からないけど誰か一人を選ぶ必要があるのなら俺は恋愛より友情の方がずっと良いと思う


「シルエッタの考え方も色々あると思う。その人の特別になりたいって気持ちも分かる。でも友達だって特別な存在じゃないのかなって俺は思う」


 恋人は特別な存在だって言うのは分かる。でも友達だって俺にとってはとっても大事な存在なんだ


「……」

 持論をシルエッタに話したが、シルエッタは黙ってしまった。この沈黙……超つらい


「俺は皆に出会えた事がとても嬉しいよ?シルエッタは違うのかな?」

「それは、違う、私も、とっても、嬉しい」


「それに俺とシルエッタだって似てるっちゃ似てるよ?」

「え?」

「シルエッタ、気分悪くしちゃったら本当にゴメンだけど……シルエッタはその……同じ種族の人と違う所がある……って言ってたよね?」

「……うん」

 重々しい雰囲気になってしまった


「俺だってそうだよ、この体はもう時間が止まったままだし他の人が俺の事を知ったら化け物って言われても仕方が無いから……」

「そんな事ない!」

 シルエッタが明確に否定をしてくれた。それは凄い嬉しい事だ


「そうだね、シルエッタは否定してくれた。俺だってそうだよ、シルエッタが他と違っていても俺はシルエッタって存在が好きだからね」

「あ」

 気が付いてくれたかな?


「ね?一緒でしょ?」

「ふふ、うん!」

 シルエッタの表情が晴れる


「今の俺ってさ、皆が居ないと何も出来ないんだよ。だから誰か1人を選んで他の皆が悲しむとかそんなの見たくないんだ」

「やっぱり、クロトは、優しい」

 シルエッタの口調もとても優しい


「でも、いつか、クロトの事、落として、みせる」

 シルエッタの顔が見れなかった。恥ずかしいとか愛おしいとか色んな感情がない交ぜになって俺の顔も今大変な事になっているかもしれない


「お、俺だって簡単に落ちる訳にはいかないな!他の皆に言い寄られても皆は友達だ!」

「いい、返事、安心、した」

 シルエッタがそう言い終わるとフレッシングを使い残りの皿を全て洗ってシルエッタが何処かに行ってしまった。キッチンに取り残された俺はその日一番心臓がドキドキしていたかもしれない



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ