ドッペル・コミューン
「お願いします!申し訳ありませんでした!ですからぁ!」
土下座するディール。写真だけならまだ許せるが動画は許せん
「さぁ皆、美味しい晩御飯を食べよう!」
実際加担者は多いけど実行犯はディールだ。犯人には今回有罪として罰を与える
「お願いしますぅ!どうか、どうかぁ!」
今テーブルの上には5人分の料理が並んでいた。俺の怒りがここに現れている
「俺は皆と楽しく生活出来れば良いと思っていたけど……多少は教育も必要だと思ったよ」
「「「「……」」」」
俺はニコニコしているけど皆には俺の怒りが伝わっているのか誰も何も言わない。今ここで何か言えば目の前でご飯が食べられないディールのようになると思っているからだろう
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
土下座して震えるディール。いつもならこの辺で許していたが今回は流石に許せん
「自由は良い事だ。だけどそれには責任が伴う事は分かってるね?」
「はい……今回の事で反省してもう二度と勝手に情報を他人に流したりすることはしません」
ディールの目を見る。人間では無いのでそれだけで判断など出来るとは思っていないが真剣な目だと思った
「交流をしちゃいけない訳じゃ無い。でも今回俺が嫌がっていた事は分かってたよね?」
「はい……でもあれ以上の事をするのも悪いと思って止める為にした事なんです」
「そうか」
ディールもあの時考えて至った行動が動画を送る。それで神名さんの要望を突っぱねると考えていたんだな
そこで俺は立ち上がる
ビクッとするディール。おかしいね?力とかディールの方がずっと強いのに
コトッと音が鳴る。何かとディールが頭を上げるとそこには6人目の為の料理がテーブルに並んでいた
「ディールが面白がってやってただけなら俺は明日の朝ごはんも抜きにしようかと思ってたけど、俺の為を思ってやってたのならこれは俺が悪い。ごめんね?」
パァーっと表情が明るくなるディール
「良いんですか!」
「せめて相談はしてほしかったけどね?ほら、食べな?」
「うぅぅ、やったあ!」
半泣きなディールが椅子に座り、ご飯を食べ始める
「許してもらえて良かったな!」
「はい!はむっはむっ!いつもより美゛味゛し゛い゛て゛す゛」
食べられないと思っていたせいか、いつもより美味しいと感じているらしい。いつもと一緒なんだけどな?
「やり過ぎだったかな?」
「ううん、多分、あれくらい、たまに、言われた方が、良い」
「怒られる事は悪いだけじゃないの!怒られるってそれだけ期待されてるって事なの!」
「むしろ怒られないのはそれはそれでちょっとやりにくいのじゃ」
「じゃあ皆はもっと俺に怒られた方が良い?」
「「「「「いやいやいやいや」」」」」
皆声を揃えて否定する。なんだよ怒られた方が良いって言ったじゃないか
「それは理想であって今回みたいな怒られ方をされるのは勘弁してほしいぞ……」
「怒られるのは、期待されてる、でも、怒られないように、するのが、一番」
「そうなの!怒られてる時点で遅いの!怒られる一歩手前で止めるのが良いの!」
「そうじゃな、一番は怒られない様に立ち回る事じゃな!」
うんうんと暗に怒られたくはないのを伝えているみたいだ。悪い事しなけりゃ怒りはしないのに
「今後気を付ければ怒られる事も無いでしょ?」
「……それもそうだな!」
「おかわり!」
さっきまで怒られていたのも忘れたのかと思うほど元気良くおかわりと宣言するディール
「しょうがないなぁ……まぁ凹んだままってのもディールに似合わないしその方が良いよ。待ってな」
そう言ってディールから器を受け取りおかわり分を取りに向かう
「これは……ちるのも分かりますね」
「ん?何か言った?」
ディールが何か小さい声で言ったのは分かったけど聞き取れなかった
「何でも無いです。クロトさん大好きです」
「「「!?」」」
「お、おうとりあえずこれで良いかい?」
「はい!いただきまーす!」
何てことの無い感じで急に言われてびっくりしたけど普通にご飯食べてるし特に意味は無いんだろう。きっとそうに違いない