ドッペル・コミューン
「んー、我が家」
家に着いた時に出た一言はそんな一言だった
「ここがクロトの家ですか」
ディールが呟く
「じいちゃんの家に比べたら小さいでしょ?」
「それは……」
「実はじいちゃんの別荘の内の1つだからね」
ディールは言い淀むがそもそもこの家はじいちゃんの別荘の内の1つという事を明かすと納得という表情を浮かべる
「ちょっと!そういうひっかけみたいな事止めてくださいよ!」
「第一印象が聞きたかった的な?」
「そういう事ですか……あの屋敷に比べたら小さいですけどそれは基本どの家にも言える事ですし……まぁ部屋と部屋が近くて行き来がしやすいとは思いましたね」
やっぱデカい屋敷って凄いけど行き来が面倒だよねぇ
「あぁでもヴァイス達の城だともっと大きいのかな?」
そういえば魔王なヴァイスの城ならじいちゃんの屋敷より更に大きいのだろう
「そうだな、我らの城はもっとデカいがやはり行き来が面倒ではあったな……」
デカい建物を所有しているとやっぱそういう問題が付き纏うんだなぁ
「なるほどねぇ、とりあえずディールの部屋は階段上って反対側の部屋でも良いかな?」
良いかな?って言ってもその部屋しか無いのだが
「了解です。ここを拠点とする!」
「模様替えとかしたかったら協力するからね?」
「あ、はーい」
ノリノリで部屋に入って行くディール。何気に部屋が貰える事が嬉しかったのだろう
「んじゃ戻ってきた事だし掃除しますか!」
「「「「はーい」」」」
出掛けていた分手分けして掃除をしよう。あっそういえばポストの中とか見てなかった
「何か入ってるかな……ん?手紙か?」
チラシ等に紛れて『玄斗さんへ』と書かれている白い封筒が1通目に留まった
「とりあえず見てみるか」
封筒を開いてみる事にする。洋封筒に二つ折りで手紙が入っていた
「ヒエッ」
手紙を開いた瞬間その手紙を落っことしてしまった。中には蒼音ちゃんの名前と……
「ごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはん……」
俺が居なかった間に蒼音ちゃんが闇堕ちしてしまった様だ……
「おーい!シルエッタ」
「何?」
「急いで買い物に行きたいから協力して!」
「良いよ」
シルエッタの協力を得て、食材を沢山買ってきた。自分達の分もそうだが早急にお弁当を作らないとヤバそうだ……
「ありがとうシルエッタ。今からご飯作るから出来たら皆で食べてて?」
俺は早急にお弁当を配達せねばならぬ。自分のお昼ご飯は多少遅くなっても良いから蒼音ちゃん達にお弁当を届けねば……ハイライトが消えた魔法少女が魔物を倒すとかホラーでしかない。彼女達のイメージ問題に発展しかねないぞ……
「食べててって、クロトは、食べないの?」
「料理を待ってる人が居るからな、お弁当作って持っていく」
「手伝う?」
「あぁ……じゃあ手伝ってもらっても良い?」
行きにタクシーを使って行けば言い訳も出来るし、帰りはシルエッタと一緒に帰ればすぐに戻ってくる事も可能だろう
「いつもゴメンね?」
「いいよ、気にしないで?」
暴走さえしなければシルエッタもかなり良い子なんだけどねぇ……
「じゃあ超特急で作っちゃうから待ってて!」
それから皆の分のお昼ご飯やお弁当を作った
「お部屋の掃除終わりまし……えっ?」
ディールが部屋から降りて来てキッチンを見たら嵐の如く料理している俺を見て固まっているみたいだ。正直誰かが来たのは分かったけど声を聞くまで誰が来たか分からなかった
「あぁゴメン!お昼は作っておくから勝手に食べててくれ!ちょっと急用が入ったから急いで行かなきゃいけない所があるんだ」
「なるほど……だからそんなに急いでるんですね?お手伝いは……今は邪魔になりそうですね」
ディールも流石に今の俺の作業に入ろうとはしなかった。結構俺もキッチン内を動き回っているので今お手伝いしようとするとかえって邪魔になると判断したのは良い判断だ
「それにしてもアレ、人間の動きですか?」
「あれは、クロトの、動き」
「なるほど」
おいそこ、今何か失礼な事を言わなかったか?
料理も佳境に入っていたのでキッチン外部の情報をシャットダウンして料理に集中していたからディールとシルエッタの会話はしっかりとは聞き取れなかった