野良猫デュエット
いったい何なんだ?この二人組……
片方は黒い軍服にコートを肩に掛けているが、あのコートは何故落ちないんだろう?魔法か?
もう片方はザ・巫女装束という恰好をしているが、左手にゴツいブレスレットがあり、それに十字架の様な形をした紙の束が刺さっている。
二人とも美形で見た感じ、高校生くらいかな?
「あー、なんか用か?」
俺を追いかけて来たって事は用があるんだよな?
「お、おま」
「おま?」
「お前が欲しい!」
マジで何の用なんだ!?
「ちょっと!落ち着いて、あっちも意味分からないみたいだから!」
黒軍服が巫女装束を落ち着かせようとしている。
話がしたいみたいだし、バイザーは開けておくか。
バイザーを開けると黒軍服がこちらに謝罪してくる。
「明星がすみません、要件は私達の仲間にならないか?って話でして……」
また勧誘ですか。
「悪いが勧誘は断ってるんだ、政府の子達にも勧誘されたけど断ったし」
あの巫女装束さんは明星っていうのか。
「我等は政府の奴らとは違い、野良として誇りをもって平和を守っている。だから君も我らの仲間にならないか?」
もう一度明星さんが説得してくるが答えは変わらない。
「悪いがノーだ。君らが誇りをもって平和を守っているならその誇りを汚す訳にもいかないしな」
まぁ気が付いてはいたけど二人とも魔法少女だよね、野良の。
「なんでだ~政府に属さないで裏で平和を守るってかっこいいだろ~?」
キャラ崩れてますよ明星さん。もう、なんか言ってやってくださいよ黒軍服さん
「そうだぞ!?影のヒーローみたいでかっこいいだろ?一緒にやろうよ~」
黒軍服さんもかよ。
「影のヒーロー云々は置いといて、こっちは名乗ったけど二人は何なんだ?」
聞くだけ聞いておくかぁ。
「私は魔法少女明星!」
「私は魔法少女マーシャル!」
「「二人合わせて野良猫同盟!!」」
マジでどう扱ったらいいんだこの二人……なんかポーズとか決めてるし……
二人が背中合わせでこちらに指を差しているがこの先どうしたら良いか誰か教えてくれ……
俺が悩んでいたら、マーシャルが話しかけてきた。
「こんなカッコイイポーズ中々やる機会なんてないぞ?どうだ、入りたくなっただろう?」
まずそのポーズ2人でやること前提だろ?それに俺が入ったらどうする気なんだ?
「いや、別に」
「そんな!?このポーズがやりたくないのか?嘘だろ?」
嘘でしょ?そのポーズで勧誘出来るって考える方がヤバいでしょ。
「こうなったら実力行使しかないか……おい、クロガネ!私達と勝負だ!」
その発想はおかしい。
「怪我した方が負けだ!勝ったらいう事聞いてもらうぞ!」
優しいんだかそうじゃないのか判断に苦しむが、だがこれは困った事になったぞ……
「勝てばいう事聞くんだな?約束だぞ?」
魔法少女の事を馬鹿にしている訳ではないが、俺の攻撃が怪我で済むのだろうか……
「あぁ!我々の仲間になりたいとか、私達に協力したいとか!聞くぞ」
聞く気あるのか?
「とりあえずここで始めていいよな?」
「あぁ」「良いぞ」
二人の返事が返ってきてからどうするか迷っていた。
どうやったら怪我ですませるのかを。
「私達の連携を甘く見ない方がいいぞ?」
「私達は二人でずっとやってきたんだ!」
「油断はしてないさ」
油断して怪我させられたらあの変な同盟に強制的に加入させられるのは目に見えている。
「では、始めるぞ!」
明星さんが仕切り、戦闘の開始を宣言する。
(ねえヴァイス?)
(どうした?クロトよ?)
今回はヴァイスの出番かな?
(一応腕部のリミッターはガッチリ掛けておいて?万が一で彼女達を引き裂いたりしたら俺立ち直れないから)
(う、うむ)
(あと、今回はヴァイスに頑張ってもらうけどそれでも良いかな?)
(我に頑張ってもらうという事は)
(今回は魔法主体で行く。俺は回避と防御でヴァイスは魔法で攻撃だ)
「2対1で卑怯と言うなよ?一人でやっていくならこういう事もあるのだから!!」
2対1……ね?残念だけど
((こっちも2人だから2対2だ!!))
そして、魔法少女と魔装少女の戦いが始まる。