弾丸ホームカミング
「「「ふへぇ……」」」
この溶けたアイスみたいになった3人は床に捨て置いて、ベルに話しかける
「大体こんな感じね?」
実際に1回やってあげて、3回見せてあげればやり方も分かっただろう。誰しも最初は初めてで練習しないと上達もしないから練習台になってあげるとしよう。じいちゃんも俺の料理の練習台になってくれたお陰で俺も料理が上手くなったのは間違いない事だし……
「やってみるです!どうぞ、です」
そしてベルの太ももの上に頭を置いた
「ゆっくり、軽く……カリカリっとです」
「おおぉ……」
耳の中をカリカリと丁度良い力加減で耳かきをしてくれた。気持ちいい
「そうそう、力の強さはそれくらいで良いよ。心配だったけどやっぱりベルは覚えるの早いし、上手いわ」
「そう言ってくれると嬉しいです!」
顔を動かす事は出来ないけど声色的に嬉しそうな声が聞こえた
「なんというか……幸せって奴だなぁ」
誰かに耳かきをしてもらうのはそんな気分だ。あぁじいちゃんがこっちに来た時に耳かきしてあげれば良かったなぁ……
「あ、そっか……行こうと思えばこっちから行けるじゃん」
皆とならそれこそ飛んでいけると耳かきされながら思いついた
「ふぅ」「おわっ!?何事!?」
急に耳に息を吹きかけられてビックリする
「さっきのお返しです!」
ちょっとドキッとしたけどベルは男だし俺にその気は無い。それから逆サイドの耳に移行する
「そういえば何を考えていたんです?」
俺が耳かき中に呟いた言葉をベルは聞き逃していなかった様だ。耳かきしたお陰か?
「ん?あぁじいちゃんにも耳かきしてあげれば良かったなぁって……それで皆と一緒ならじいちゃんの所まで飛んで行けるなって」
「なるほどです」
そしてまた耳かきを始める。次は息を吹きかけられても良いように身構えておく
「まぁじいちゃんが家に居る時に行かないとすれ違いが起きちゃうから旅行ついでに行く感じなんだよなぁ。家に居てって言って黙って家に居る様な人じゃ無いからねぇ」
自由人を体現したような人だからなぁ……
「それでどうするんです?」
「明日行ってみるか」
「えっ!?」
「ちょ!?」
俺の提案にベルが驚いて手がビクッと動いた。耳かき中にそんな事をされたらマジでビビる
「ベル……それは怖いよ」
「ごめんなさい!本当にごめんなさいです!」
鼓膜を破られなくて良かった……やっぱり耳かき中に不用意な発言は慎むべきだな……
「怪我してないから良いよ、これからは気を付けてね?」
「はいです……気を付けるです!」
ベルは一度深呼吸して自分を落ち着かせて、耳かきを再開した。再開と言ってもすぐに終わったが、最後の息だけは忘れていなかった
「ありがとう、スッキリしたよ」
「今度は絶対失敗しない様にするです!」
まぁこのやる気なら大丈夫そうだろう。途中のアレさえなければ気持ちいい耳かきだったからな
「ま、明日試しに飛んで行ってじいちゃんが居たらラッキー、居なかったら軽く観光してから家に帰ってくれば良いか」
基本的にじいちゃんの家はいつ誰が来ても大丈夫な様にしているから突然の訪問でも大丈夫なハズだ。むしろサプライズな方が喜ぶからじいちゃんの所に行く人は基本的に事前連絡をしないという他の人から見れば失礼な事でもそれも楽しむじいちゃんの所にお土産を持って行く人も多いのだ。出会えればラッキーな隠れキャラみたいな存在だよなぁ
「お?遊造殿の所へ行くのか?」
ヴァイスがデロデロアイス状態から復帰してきた
「明日皆の運試しも込みでじいちゃんの所……まぁ俺の実家に帰ってみるかなって話だよ」
「それは面白そうだ!」
ヴァイスもノリノリだ。とりあえず残った2人も起こして明日の計画を説明した後自分たちの寝床でゆっくりと眠った。ゲームとはいえ運動したからかじっくりと熟睡する事が出来た




