スカーレット・イグニッション
「ケケケ!」「ケケ!」
嗤いながら正面から攻撃してくる2体。速攻でこっちを囲むように立ち回ってくるので全員を視界内に捉えるのはかなり厳しい
「近接だって出来るんです!ファイアウィップ!」
炎のムチを操り近付いてきた2体を退けるスカーレット
「致命傷は避けましたか……」
「アツイ!」「イタイ!」
『でも効いてはいるみたいよ!』
炎のムチが手や足に当たったのか無くなっている。威力としては十分だが如何せん相手がすばしっこくて体の中心を捉えられず仕留めそこなった
「オサエロ!」「コロセ!」
他の2匹が後ろに回り込み鋭い爪で背中を狙ってくる。指示を出して背後を取ろうとしてくるあたり1型とは全然違う
「簡単にはやられません!」
背後に回ってきた奴に対してウィップで攻撃するが……
『ダメ!避けて!』
耳から中島さんの忠告が聞こえてきた。だが振るったムチは止まらない
「ケケ……バカメ」
1体を両断する事が出来たが、完全に釣られた。隠れていた2体が横から飛び出して地面に押さえつけられた
「ぐっ……どいて!」
「ジャマサレルマエニ、コロセ!」
何か邪魔されたくない事でもあるのか残った5匹が一斉にスカーレットを爪で引っ掻いてくる
「「「「シネシネシネ!」」」」
「キャァァ!!」
『礼奈ちゃん!』
イヤホンから中島さんの声が聞こえてくる。心配させたくないけどそんな余裕は無かった
「ど……どいて!!ファイアカッター!」
咄嗟に短杖から炎の衝撃波を飛ばし、丁度手と足が無くなっていた個体に当たって2体倒す事が出来た。そして反撃に驚いた奴らの隙を突き、何とか他の個体を振り払って立ち上がる
「はぁ、はぁ、痛い……」
全身に爪による切り傷や殴られた打撲痕が痛々しい
『大丈夫!?ドローンで支援するわ!』
空中からブーンと音を鳴らしながら4機のドローンが飛んで来た。中島さんが支援してくれるが正直魔力も無いドローンでは魔物を倒す事は出来ない
「ありがとう……ございます。こんな所でやられる……訳にはいきません!」
グッと力を入れ直し、残った3体に向き直る。3体とも怒っているのか顔が怒りによりとても醜い表情になっている
「オマエ、ユルサナイ!」「オマエ、コロス!」「ゼッタイ、コロス!」
『礼奈ちゃんはやらせないわ!』
中島さんの声の後、ドローンから何か魔物に向けて射出される
『時間稼ぎしか出来ないわトドメを!』
魔物に網の様な物が掛かり、動きを阻害する。2型の様に電波障害も無く、人と同じ様な形をしているからこそ出来るドローンによる支援。銃などは効かないので動きを阻害する事に焦点を合わせているネットランチャー装備のドローンだ。鋼の様な網で魔物達を覆うが、鋭い爪で切り裂かれて出てきてしまう
「作ってもらった隙は逃しません!ファイアスラッシュ!」
ウォンドから炎の刀身を生み出し、それを使って1体を切り捨てる
「コノ!」
網から抜け出した1体がネットランチャー装備のドローンに向かって飛び上がり爪を使って破壊する。そのままの勢いでもう1機破壊しようとするが
『これはどう!』
今度はワイヤーが射出する。両端に錘が付いていて魔物の足に巻き付く
「グオ!?」
だが魔物も何とか伸ばした爪が届きワイヤーショットドローンも破壊されてしまう
「せりゃあ!」
落ちてきた足に巻き付いたワイヤーを切ろうとしていた魔物を炎の刀身で切り裂く。これで残るは1体!
だが、その1体の姿が見えない。逃げ出したのか?
「中島さん!残りはどこですか!?」
『ごめんなさい!反応が消えたの!さっき網の所で倒した奴の近くに居たはずなのに!』
消えたと思われる魔物の痕跡を見つける為裂かれた網を見る。無い
「中島さん!私5体倒しましたよね!?」
『ええそうよ!5体倒したハズよ!』
「じゃあ魔石はどこです!?」
2体1組の2型は組になっている2体を倒したら魔石を落とすハズ……5体倒しているのだから2個は魔石が落ちていないとおかしい。それなのに魔石が無い
『まさか魔石を吸収した!?』
中島さんと礼奈の考えは一致した。そして答え合わせと言わんばかりに体が大きくなった2型が1体現れた
200話達成!