ウェルカムマジカルガール
「じゃあ皆行くわよ!」
渡されたシュークリームを皆、一口食べる。
「うまぁ!」「うん、甘くて美味しぃ」「この甘さ、クセになりそうです!」「お、美味しいです!」
魔法少女の4人は問題無かったようだ。
「これ、美味しいですね!」「そうですね!」「美味しいです!」
オペレーターの3名も大丈夫だった様だ。残るは……
「辛っ!!これ、ゴホッ、わさび、ゴッホッ、入れすぎでしょ!!」
梓さんアウトー
「だ、大丈夫ですか!今、飲み物持ってきますから!」
礼奈が梓さんに近寄り、ジュースを差し出す。
「はい、どうぞっ」
梓さんがジュースを一気に飲み、一息ついてポケットからメモを取り出していた。
「ありがとう礼奈さん。遊馬さん……恨むわよ……で、メモの続きは?なになに……箱を開けてみてね?」
そう言って、梓さんは鷲崎さんが持っていた箱を開け、顔に笑顔が戻る。
「遊馬さん……最高!!」
何やら料理を作ってくれたであろう人の評価がジェットコースターみたいに変わっている。
【当たった人のお口直し用】
カードに書いてある言葉、そしてそのカードと一緒に入っていたのは。
「ケーキだ!」
大きなホールケーキが入っていた。
「こんなに食べられないわよ……あら?ふふっ流石ね……」
カードを開いて何かを察した様な梓さんは笑って皆に振り返った。
「私一人じゃこんなに食べられないから皆も一緒に食べましょう?」
この提案に乗らない人は居なかった。シュークリームの時点で美味しいのに、ケーキなんて拒否するハズが無い。
ケーキを8等分に切り分け、皆一口食べる。
幸せの感情に包まれる。
「甘くて美味しい……駄目だ表現する言葉が見つからねぇ!」
白鳥さんの言葉に皆一様に首を振るしかなかった。
そして、ふと梓さんの読んでいたカードが箱の近くにあったので礼奈はこっそりカードの中を覗いた。
【シューが当たった人へ ごめんね?余興でロシアンルーレットをやってみたけど、当たった人が可哀想だし、新人さんも居るだろうから、そのお祝いって事でケーキ作りました。皆でケーキを分けて仲良くしてね?】
私が馴染みやすい様に配慮してわざと大きなホールケーキを作ってくれたんだ……
その時後ろから声が掛かる。
「さっきはジュースありがとうね、さ、礼奈ちゃんも一緒にケーキ食べましょ!」
梓さんが手招きをして、皆の輪に加わるように言ってくる。
「はい!」
それに従い、皆の元へ戻る。
「改めて皆さん今日からよろしくお願いします!」
自分からもう一度挨拶する。
「「「「「「よろしく!」」」」」」
皆から言葉が返ってくる。
今日から私は北海道第一支部の魔法少女、この町に居るこの料理を作ってくれた人も、ううん、皆を、私が護る!
「ところで、あと1ピース残ってるけど、誰が食べるの?」
皆の目が獲物を狙うハンターの様に光った気がした。
一方その頃、支部から脱出し森へ向かう1人いや、2人が居た。
(なぁクロトよ?何故このような森の中に来ておるのだ?)
「折角魔法少女が支部で歓迎会なんてやってるんだし、今のうちにクロガネの能力をチェックしようかと思って。」
初回の変身の時は自分の体なのに全く分からなかったからね。
「どんな能力があるか知っておいたら魔物と戦う時に困らないじゃん?」
(今なら邪魔が入らずにチェック出来ると……なるほどそこまで考えていたのか、恐ろしいな。)
「別にそこまで考えてなかった」
(な、なんだ、違ったのか……)
別にいつも先読みして生きれる程生き方上手くないよ。
「この辺まで来ればもう見えないかな?」
(うむ、もう周りには誰もおらん、変身して暴れても大丈夫だろう)
暴れるって……まぁいいや。
「じゃあサクッと確認しますかぁ!変身!」
全身が光に覆われ、自身の形が変わる。そして光が弱まり、消える頃にはその場に魔装少女クロガネが立っていた。
「さぁて、自己紹介と行こうぜ?」