プロローグ②
「魔法少女とな?」
「あれ?魔法少女知らない?」
「んー?魔女とは違うのか?」
「ちょっと待ってね」
魔王様は魔法少女を知らないのか……
徐にスマホ弄り多分今戦っているであろう魔法少女アルタイルの画像を出す。
「こんな感じの子とかなんだけど」
画像に写っていたのは青い髪で蒼いゴスロリの少しやせ気味の少女が両腕に鷲の様な鋭いクローを装備し、魔物を切り裂いているシーン
「魔法少女なのに近接戦なのか……いや見たことは無いな」
着眼点そこかいwまぁいいや
「じゃあこっちの魔物の方は?」
またスマホを弄り、次は犬型の魔物の画像を出す。
「魔物の方もこんなのは見たことが無いな」
まぁ他の世界って言ってたけど奴らと同じ世界の出身じゃないのかな?
「じゃあ魔王様はこの世界の敵って訳ではなさそうかな?」
「何を言うか!敵になってたまるものか!我はこの世界に観光に来たのだぞ!?」
今明かされる衝撃の真実ゥ!えっ?嘘でしょ?
「観光に来たなら何で行き倒れてたんだよ!!」
「いやぁ……それは」
ジーっと相手の目を見続けて返答を待つ これ結構効くのよね。
「我は臣下と一緒にこの地球に観光に行こうと準備していたのだ。ただ……」
「ただ?」
「観光が楽しみで色々準備していたらな……そのぉ勇者がな?」
あっ(察し)
「準備していた物は殆ど壊され、臣下達をゲートに押し込んで逃がしたは良いものの勇者がゲートぶっ壊してな……帰れないし、持ち物無いし、臣下は散り散りだし、魔王が異世界漂流しちゃってな……」
「それでアテも無く歩いて倒れてたのが家の前、と」
「うむ……」
まぁさぞ大変だったろうなぁ。臣下を先に逃がす辺りコイツの人の良さはかなり良いと思うし魔物の奴らとも関係は無さそうだし、仲間もどこにいるか分からないなら不安だろうしなぁ。
「仲間……見つかると良いな。」
「多分臣下ならこちらに飛ばされて来ても行き倒れはしないな!あやつらは優秀だからな!」
「もしかしてそれはギャグで言ってるのか?」
「ん?」
まぁいいやコイツは多分人の良さで皆の上に立つ者って認められたんだろう(頭の中身の評価は除く)
「そういえば俺はまだ名乗ってなかったな悪い。俺は遊馬玄斗、アスマでもクロトでも好きな方で呼んでくれ。」
「ではクロトよ頼みがあるのだが聞いてはくれまいか?」
十中八九あれだよなぁ……
「散り散りになった仲間探しか?」
「おぉ!流石だな言わずとも分かってくれるのか!」
「まぁ話の流れ的にそうくるだろうなって思っただけだけど、ただ答えはノーだな。」
「な、何故だ!」
まぁ普通は狼狽えるよね。
「第一その仲間の顔を俺は知らないし、探すと言っても魔王様じゃ多分探す前にまた何処かで倒れるだろうね。」
「だから手伝ってほしいのだ!」
本当に仲間思いだなぁ
「魔王様なら待ってれば仲間の方から来るんじゃない?それだけ仲間思いなら相手だって探そうとするんじゃないかな?」
「我が探しに行ったらすれ違いが起きると?」
「おっ分かってるじゃん。ならここで仲間が集まるの待ってたら?」
「えっ!?」
「だからウチで魔王様泊めてあげるから仲間集まるまでゆっくりしたら?」
なんかこの魔王様ほっとけないんだよなぁ
「でも、我は魔王、人間ではないのだぞ?その……地球のガイドブックには出来るだけ隠れて楽しみましょう!って書いてあったのだから、家に泊めるとか嫌なんじゃないのか?」
「そんなガイドブックは勇者様にでもぶっ壊してもらえ。俺は魔王様を悪い奴だとは思わないしそもそも観光が楽しみだったんだから箸使いを練習してさっき出した料理を箸で食べたんだろ?俺は見た目で人間じゃないから家に泊めたくないとかは言わない。だから家でこの世界を楽しんでいけよ。」
「うぅぅグスッ……クロトぉ、おぬし良い奴だなぁ……グスッ」
涙もろすぎない?この魔王様?