オーシャン・ドミネーター
「全く、何で貴女達がここに居るの!」
「あんな大きい魔物、貴女達だけだともしもの事があったら困るって梓さんが態々そちらの支部長に掛け合って私達を救援に行かせてくれたんですよ!感謝してください!」
言い争う2人。片方は第一支部所属の魔法少女アルタイルそしてもう一人は
「あいつ……余計な事を」
第二支部所属の魔法少女、魔法少女ビャッコだ
「まぁまぁ、ビャッコちゃん。支部長も私達の事を思って救援を受け入れたんだから、抑えて抑えて」
ビャッコを宥めるのは魔法少女ゲンブ
「あんな魔物に負けるつもりは無いわ!私達も軽く見られたものね!」
ぷりぷり怒っているのは魔法少女セイリュウ
「被害を、最小限にぃ抑えるにはぁ、数が多い方がぁ良いと思うのだけどぉ?」
ちょっと離れた位置から正論を言うのはベガだ。そしてその隣にはデネブも居る
「スカーレットも連れて来たかったけど流石に魔法少女が誰も居ない状況には出来ないって言われちゃなぁ……出来るだけ早く倒してさっさと帰ろうぜ?」
第一支部からやってきたベガ、デネブ、アルタイルの3人と第二支部のビャッコ、ゲンブ、セイリュウの3人。現在巨大な亀の魔物を討伐する為、この場には6人もの支部所属の魔法少女が集まっている
「こっちだって!スザクが待ってるんだからさっさと終わらせる!」
第二支部の支部長も一人は残しておくべきと判断して3名をここに向かわせたが、どうにも数名喧嘩になりそうな雰囲気がある
「まぁ早く倒すってのは同意だけど……どうやって倒すよ?」
デネブが当然の疑問を投げかける。6人居ると言っても相手は海の上、全員が亀の元まで移動する手段を持ち合わせている訳では無い
「うっ……それは」
ビャッコが狼狽える。セイリュウも目を逸らしていて、それを見逃すアルタイルでは無かった
「あれぇ?どうしたんですか?負けるつもりは無い!とか何でここに居る!とか大口を叩いていたクセにどう倒すかの算段も無いんですかぁ?」
「「うぐぐ……」」
「まぁまぁ、お互い熱くなり過ぎないで……」
煽るアルタイルに宥めるゲンブ。何とか喧嘩にならないで済んでいるのはゲンブのお陰だろう
だが、ここで新たな闖入者が現れる
「「フハハハハ!!」」
「何だ!?」
唐突に響く謎の二つの笑い声
「いったい誰だと聞かれたら!」「教えてやろうそうしよう!」
「「我ら野良猫同盟!只今参上!!」」
突如倉庫の上に現れた2人の人影、そしてその後ろに白と黒の小さな爆発が起きてお互いが背中合わせで指を魔法少女達に向けている
「貴女達!何でここに来たんですか!?」
驚いた表情のアルタイル。それもその筈、野良猫同盟が確認されていたのは第一支部の管轄の地域だ。今この場に2人が居る事は完全にイレギュラーだ
「それは、我らが盟友クロガネが助けを求めていたからな!」
「街の人がクロガネって子が亀討伐に協力してくれという情報をくれたので急いで来たぞ!」
クロガネが街の人に頼んでおいた救援要請は無事野良猫同盟の2人の元へ届いた。だが……
「「で、クロガネは?」」
当のクロガネはまだこの場に居なかった
「クロガネがこの場に来るんですか!?」
「誰だ?そのクロガネって」
第二支部のメンバーはクロガネの事を良く知らないので第一支部のメンバーからクロガネの情報を聞く
「くくく、なーんだ?さっきは随分な事言ってくれたけどアンタたち野良に助けてもらったの!?」
ビャッコが元気を取り戻す。反撃の機会を得た事でイキイキとしている
「それは本当です」
「えっ?」
てっきり狼狽える物だと思っていたのにあっさりと認められた事に拍子抜けなビャッコ
「クロガネは別格ですから……」
うっすら笑うアルタイル。そして遂に奴がやってきた
「イヤッッホゥゥ!ぐえぇぇ」
ドグシャァ!!っと、とてつもないスピードで空中から突っ込んできて顔面スライディングで着陸するクロガネ。止まるまでかなりの距離をスライディングしてしまった。これはもう恰好つかないぞ……




