オーシャン・ドミネーター
「これはやべーな……」
(何がじゃ?)
「だってエリュアス今の氷いくつ作れるよ?」
(ん?そんなものいくつでも……あっ)
そう、クロガネが水を作り出しそれを凍り付かせる。それだけでこの硬度の氷がいくつでも作る事が出来る。それに形も自由自在と来ればその力がどれほどの物か良く分かるだろう
(そうです!エリュアスもモノリスに触ってみたらどうなるです?)
モノリスって何だっけ……あぁそうだ。俺の中にある物でケル達が触れたらケルベートフォームになれる奴……これはまさか?
(モノリス?これか?)
「うぉぉ?マジで?行けるの!?」
エリュアスがモノリスに触れたのか、クロガネの体が光る
「おぉ!こうなるのか」
ケルベートフォームとは違い、頭に2本の角、上半身は黒いサラシ、下半身は腰から生えた大きな謎金属の尻尾と謎金属の翼が足に巻き付いて袴の様になった。腕部はかなりクロガネちゃんモードに近く、謎金属はブレスレットの様な小さな籠手位のサイズに収まっていた。エリュアスフォームとでも言う姿だな
(のぅ?さっきよりさらに力が上がった気がするんじゃが?妾怖くなってきたぞ……)
「俺は楽しくなってきたぞ!セイッ!」
大きな尻尾をブンッと振るうと木がぶっ倒れた。別に尻尾が痛いとかは無いからこれも立派な攻撃手段として使える
「これまた凄いな?そうだ!エリュアス、水をこの籠手から出して伸ばして固定出来る?」
(次はいったい何をするつもり何じゃ?ほれ)
不思議そうに思いながらもしっかり要望に応えてくれるエリュアス。手の甲から伸びた水……これだけだとちょっと足りないかな?
「そうだなぁ、これで凍らせてみるか?」
(ほほぅ?)
両手に出来た水は凍り付く
「おりゃ!よっと!」
先程尻尾によって倒れた木を蹴り上げ、両手の氷の刃で斬る
「おぉ!出来た出来た!」
輪切りにされた木が落ちてきて積み重なる。普通にこの氷の刃も凄いけど木を蹴り上げた脚力もヤバいな?
(クロト、人間辞めたくないと言って無かったかのぅ?妾にはどうももう人間辞めている様にしか見えんのじゃが?)
「クロガネの時はノーカンでお願いします……」
俺一人の力じゃ無いし、クロガネは魔装少女だから厳密に普通の人間って言って良いかも分からない
(む、むぅ、分かったのじゃ)
「まぁこれで氷も武器として使える事は分かったね。活用方法も色々あるしな」
ベルの魔法陣と組み合わせて氷を射出したり、シルエッタの影を使った奇襲等連携することで戦術的運用が出来るかな?
「よし、じゃあエリュアスとの訓練はこのくらいにして次は……ケルとベルの訓練やろうか」
(分かったのじゃ!これはそのまま出て良いのかのぅ?)
(はいです!そのまま出れば良いのです!ちょっと行き詰ってたのでクロトさんにも手伝ってもらいたかったのです!)
おぉ、この向上心、相談事ならすぐ乗ってあげるぞぉ?ベルは可愛いなぁ
(じゃあ早速フォームチェンジするです!)
「はいよー」
エリュアスフォームからケルベートフォームに姿が変わる。まぁ行き詰ってるって言ってたし、能力が最大で出せるケルベートフォームなら何か掴めるかもしれないな
「2人共上手く行ってない感じかな?」
(そうなの……)(そうです……)
二人同時は流石に難しいからまずはケルの方から聞いていこう
「まずはケルの方から行こうか、どんな感じで詰まってる?」
(光線を枝分かれするのは出来たけど操作が難しいの……それに威力も分かれて上手く行かなかったの……)
試しに近場の地面に向かって1回撃ってみたけど確かに光線は分かれたけどあまり曲がったりはしていないし、地面を少し焦がすくらいだった。このフォームでその威力なら特訓中は凹んじゃうのも分かるかもしれない
「これは……言った手前悪いけど同時に使う物じゃ無いな……」
誘導すると言ってもミサイルとは違う。弾頭1発1発が個別に誘導するのとは違い、ケルがすべてコントロールして誘導している。自分でやったら頭がパンクするかもしれない……こんな難しい事を要求していたのか
「ごめんケル。これは俺が悪かったよ」
(謝らないで欲しいの!私の力不足なの)
そんな事は無い。ケルは自分なりに努力して悩んだ結果こうなってしまっただけで、その原因は俺だ。なら解決策は俺が出すしかない
「ケル。この複合技は一旦分けて考えよう。誘導が上手いのは知ってるから広範囲攻撃だけ完璧に出せる様になってから誘導を加えてみたらどうかな?」
誘導性能は見せてもらったことがあるからその精度を知っている。だから広範囲攻撃の威力をすべて均一に安定させてから誘導を加える様に練習してみたらどうか?と提案してみた
(撃ってから誘導……なるほどなの!)
少し光明が見えたみたいだ。よし、次はベルだな




