オーシャン・ドミネーター
「やっぱり森の中だなぁ」
特訓するなら森の中、ある程度の広場は作ってあるし、邪魔が入っても逃げやすい。俺達にとって都合が良い事この上ない
「まずは何からしようか?」
練習出来る事はいっぱいある。何からやるのか迷うな
(おっ!妾!妾からやるのじゃ!)
エリュアスが最初に名乗りを上げたのでエリュアスの力がどうなったか試してみよう
「オッケー、じゃあエリュアスの力がどうなったか見てみよう」
(フッフッフ、妾の力を見るが良いのじゃ!)
エリュアスがそう言うとクロガネの両手に群青色の魔力が宿る
「おぉ!?何だ?」
(おぉ!?何じゃ!?)
え?エリュアスも良く分かってないの?
(妾が一人で訓練していた時よりパワーアップしているのじゃ!)
「この状態だと皆が強化されるからね。そういえばエリュアスはクロガネで力を使うのは初めてだっけ?」
クロガネに変身するのは数回あったけどこの状態でエリュアスが力を使うのは初めてだったか
(そうじゃな、初じゃ!これは……凄いのぅ?)
クロガネによる皆の力の強化を初めて経験したエリュアス。そのせいでビックリしてたのか
「とりあえず力使ってみる?」
群青色をした魔力を両手に纏ったままなのでそろそろエリュアスの力を見たい
(よぉし!まずは水を出すかのぅ)
水生成は特に変わらないだろうけどどうなったかな?
「手は前に出しておけばいいかな?」
こっちに向けておいていきなり水ブシャーとかならない様に前に向けておく
(そうじゃな、念の為前の方に向けておいた方が良いのじゃ!行くぞぉ?)
両手から水が生成される。生成された瞬間、目の前の木が1本倒れた
「ストップストップ!」
(おぉう……水を生成するだけのつもりじゃったんじゃが……)
強化された力が思いの外強かったみたいだ。水圧で金属を切るとかテレビで見た事あったけど実際に自分がそういう事をする側になるとは思わなかった
「もう一回やってみよう。今度は調整出来そう?」
(もちろんじゃ!)
もう一度手から水を出してみると今度はしっかり水の玉が生成された。調整は上手く行ったみたいだ
(今までは水の元を集めてそれに魔力を混ぜて作っておったのじゃがムラがあったのじゃ、じゃが前に教えてもらった水素と酸素で水が作れるという事を知ってからそこに魔力を込める事が出来てな?ムラがかなり減ったのじゃ!)
水を生成しても魔力が多い所と少ない所があったせいで氷を作った場合そのムラで若干耐久度が落ちていたんだろう。空港で旅客機を支えた時に氷が割れたのはそのせいか
「なるほどなぁ、じゃあこれで氷作ってみよう」
(よし来た!やってやるのじゃ!)
水が手から離れて前方5mくらいの位置で立方体になり、凍り付いた
「綺麗な氷だね、それに結構堅い」
若干色の付いた氷で叩いてみたけどちょっとやそっとじゃ壊れ無さそうだ
「どのくらい堅いかな?試してみるか」
まぁパンチ1発で壊れるだろう
「おりゃ!……え?」
クロガネの巨腕でパンチしてみたけど転がっただけで罅一つ入っていない
(おぉ!妾もそこまで硬くなるとは思わなかったのじゃ!)
エリュアスもビックリの硬度だったみたいだ。これはちょっとどのくらいで壊れるか試してみないとな……
「ヴァイス、ちょっと腕のリミッター外して、あの氷がどのくらいで壊れるか知りたい」
(うむ、我も少し気になっていたのだ。まずは10%だ!)
腕部リミッターが少し解除されてパワーが上がった感覚があったのでもう一度氷を殴ってみたけど割れなかった
(20%!)
割れない
(30%!)
割れない
(ぬぅ、40%でどうだ?)
「おりゃ!」
遂にバキンッと氷の立方体が割れた。今のクロガネの力でリミッターを40%解放しないと割れない氷……これは凄い物が出来たぞ?
「エリュアス、凄い物を作れたね!」
(それよりもその氷を殴って壊すお主もお主じゃと思うのじゃが?)
まぁ細かい事は気にしない。エリュアスの能力は間違いなく実戦で使えるパワーを持っている事がここに証明された




