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ウェルカムマジカルガール

「覗かないでくださいね……?」


その一言を聞いた時、梓はドキッとしてしまう。

「え、えぇ……料理頑張ってね。」


そして彼をその場に残し、自分は調理場から出る。


「ドキドキしたぁ……あのウィンク威力高すぎるわ。」

彼氏の居ない梓には玄斗のウィンクがとても高威力だった。


「にしても、覗かないで……か。」

この一言はとても蠱惑的な魅力があった。


人間、見ちゃダメと言われたら見たくなるものである。所謂、カリギュラ効果というものだ。

今の梓は己と戦っていた。


「すごく気になるけど、覗くのは駄目よね……でもちょっとだけなら……」

そんな風に調理場のドアの前で唸っていたら、背後から声を掛けられる。


「梓さん?何やってるんですか?」

振り返るとそこには3人の少女が立っていた。


「梓~そんなドアに手伸ばそうとしたり、引っ込めたり何してんの?」


「なにしてるんですかぁ?しぶちょ~?蒼音ちゃんみたいにつまみ食いでもしようとしてたんですかぁ?」


「私はつまみ食いなんてしません!」


この支部に在籍している魔法少女達だ。


「自分の中の悪魔と戦っているのよ……」

この扉の先がどうなっているのか知りたいけど……


「ん?今は調理場に遊馬さんだけですか?」


「えぇそうよ」


「実は私も遊馬さんの料理している姿って見た事無いんですよね。」

蒼音ちゃんの口からそんな言葉が出る。


「ねぇねぇ?その遊馬さんってだぁれ?」


「私が連れてきた歓迎会の協力してくれる人だよ」


「じゃあそのアスマ?って人が料理してんのか?見てみよーぜ?」

その言葉を待っていた自分が居たような気がした。


「駄目よ、覗かないでって言われたのよ。」

そう、覗くなと言われたのだ。そして……


「覗くなって言われたら覗きたくなるよなぁ?」

そう、覗くなと言われたら覗きたくなる。これは最早抗えない言葉の暴力なのだ。故に致し方ない。


「コソっとならバレないってー」


「そ、そうかしら?」

そして、他の人も一緒なら抑える力が弱くなるのもまた心理。


「どんな人がお料理してるのかなぁ?」


「遊馬さんの料理……見たい!」


4人は扉に手を掛け、そっと開き中を覗く。


美味しそうな匂いが広がり、そちらに意識を持っていかれそうになるが、中に居た人物にすぐに注目する事になる。

トントントントトトトトトン!

残像が見える程の包丁捌きでキャベツがあっという間に千切りにされてしまった。


「うわっすっご!?」

誰かが声を上げた。


トントント……

包丁の音が止む。彼がゆっくりと此方を見つめ、そして。


「みぃ~たぁ~なぁ~?」

嗤っていた。




「恥ずかしいから覗かないでって意味だったんですがねぇ。」

彼は特に怒った様子は無くて、料理している姿が恥ずかしいから覗かないで欲しかったらしい。

かわいい。


「いやぁでも遊馬さんの包丁捌き凄かったですよ!」

それは同感だ。あの速さは中々真似出来るモノではない。


「褒めてくれる事はありがたいんですが、そちらの方達はいったい?」

彼にはまだ紹介していなかった2名の事を訊ねてきた。


「じゃあアタシから、白鳥黄衣シラトリキイ、12歳。魔法少女デネブやってるぞ!」


「私はぁ、翡翠琴乃ヒスイコトノ、黄衣ちゃん達と同じ12歳。私はぁ魔法少女ベガをやってまぁす」


まだ紹介していなかった魔法少女の2人を。


「じゃあ俺も自己紹介しようか、遊馬玄斗25歳。今日は歓迎会に協力する為に来ました。」


「「えぇ!?俺?25歳?」」

見事に驚きをシンクロさせた2人。私もさっきまでそうだったので何も言わない。


「とりあえず、4人には覗いた罰が必要だよね?」

二人の驚きは気にも留めず、彼はそう言ってきた。


「料理抜きだけはご勘弁を……」

蒼音ちゃんが震えている……そんなに?


「そんな事はしないよw4人への罰は味見です!」

そうして屈託の無い笑顔で私達に味見するように言ってきた。

かわいい。


「んー美味しい!」「イケる!」「これどうなってるんですかぁ?」「私より断然美味しい……」


味見して各々の感想を言っていると、彼にまた笑顔が浮かぶ。

かわいい。


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