ウェルカムマジカルガール
「遊馬さんの力を借りたいのです!」
「力を借りたい?俺の?」
クロガネだってバレた訳じゃなさそう?
「はい!私の中では遊馬さんしか居ないんです!」
うーん?ちょっと話が見えてこないぞ?
「と、とにかく。協力するにしても内容を聞かないと協力出来るか分からないよ。」
なんだ?何が目当てだ?
「あの、遊馬さんは料理好きですよね?」
出来るだけだよ?まぁ美味しく食べてもらうのは好きだけどさぁ?
「どちらかといえば好きかな?」
「今度北一支部に新しい魔法少女が来るので歓迎会をしたいんですが、遊馬さんの料理を皆にも食べてもらいたいと思いまして……勝手な事で申し訳ないんですが協力して欲しいんです!」
新人歓迎の一環として料理を出したいけど自分じゃ自信が無いから、料理上手な知人に協力を求むと。
「そういうことなら協力しても良いけど俺が北一支部に行っても良いの?」
「はい!大丈夫です!既に許可は取ってますし、遊馬さんの事も皆さんに紹介したいです!」
既に許可取ってるって断れないじゃん?
「分かったよ。俺を紹介する必要があるのか疑問だけど、断ったら蒼音ちゃんが困っちゃうだろうしね。」
何かやりたいなら許可取る前に説明して欲しいが、まぁ相手は子供だ。頭ごなしに怒るのも可哀想だし、大目にみよう。そうだよ菩薩メンタルだよ菩薩メンタル。
「で?いつその歓迎会を開くんだい?」
「明日です!」
早くも俺の菩薩メンタルに罅が入る。
「もうちょい早く言ってほしかったかなぁ?」
「ごめんなさい!でも、遊馬さんの家に来て良いのは日曜日のお昼だけって約束だったので、それを破るのも……」
うーん、こう言われちゃうと俺が悪いよなぁ。
「そっか、その約束を守る為前日に急に報告になっちゃったか。そりゃあ俺が悪いな。」
「いえ、そんな事は!?」
「いやいや、約束を守るのは大事だよ。それに、子供のおねがいを聞くのは大人の役目ってね。」
料理を作って欲しいっておねがいを叶えるくらいなら出来るしね。
「遊馬さんがそれを言っても背伸びしている様にしか見えないです。」
おおぅ……グサリと刺さるぜぇ……だが、気にしちゃいけない。
「背伸びしている様に見えようが大人だからね。買い出しに行ってくるよ。大人だからね!」
気にしてないよ全然。
「私も一緒に行きます!歓迎会の為の購入なら経費で落ちるハズです。」
ちゃっかりしてるってよりはしっかりしてるんだよなぁ。
「じゃあ一緒に行こうか。」
「はい!」
「あっ、モールってもう修復された?」
「はい、もういつも通りですよ?ってアレ?モールが壊れたのどうして知ってるんです?」
あっやば。
「い、いや実はあの時モールに居てね……」
事実100%だから嘘ではない。ただ、モールの何処に居たかを言っていないだけ。
「そうでしたか、モールとの位置関係でここには警報を鳴らす必要が無い区域だったのでどうして知っているのかと。」
怖い。この子怖い。
「さっさと逃げちゃったから、後の事は分からないけど、モールで買い物出来るならモールに行こうか。」
「はい! それと、見た所怪我も無さそうですし、良かったです!」
心配は嬉しいけど心肺はバクバクです。
そして、蒼音ちゃんとモールへ行き、歓迎会用の食材を買いに向かう。
「おぉ元通りだ、やっぱ魔法ってすごいねぇ」
そう、魔法少女達は魔法で地形の修復などする事が出来る為、今までなら何日も掛かる修復作業もあっという間に完了してしまう。
「ふっふっふ!!凄いでしょう?」
すごいニヤニヤしている。多分蒼音ちゃんが修復したのだろう。
「もしかして蒼音ちゃんが直したの?」
聞いて欲しそうだったから聞いてあげよう。
「はい!何処が壊れていたか分からないでしょう!?」
ドヤ顔である。
「流石だねぇ、で?そんな蒼音ちゃんは歓迎会で何が食べたいんだい?」
「肉です」
即答する物が女の子らしくないぞ蒼音ちゃんよ……
「じゃあ鶏のから揚げとか?」
「あぁ~良いですねぇ!想像したら涎が……」
明日まで果たして待てるのだろうか……
「ほらほら、明日の為に買い物に来たんだからさっさと買う物買っちゃおう。」
「はっ!そうですね!」
ちょっと忘れてたな?
そして蒼音ちゃんと買い物して、明日の歓迎会に備えるのであった。