クロスドレッサー・ゲームセンター
「大体、分かった、こう、でしょ」
さっき見せた反射ショットをシルエッタがやってきた。一応ガードしようとするが……
「あっゴメン!」
ガードし損ねてマレットの横の部分に当ててしまってベルのマレットに当たり、自陣のゴールに入る
「やった!」
「やられちゃったです」
「はっはっは、そんな調子では我らには勝てんぞ?」
まだ始まったばかりだし、そもそもヴァイスはこのホッケーがなぜパニックホッケーなのか分かっていないだろう?
「次だ次、というかこれからだぞ?」
パックがこっちに出てきたのでベルに攻撃させる
「やるです!」
真っ直ぐ、だがその狙いはヴァイスのマレットを目掛けてパックを打つ
「甘い!」
そのままカウンターをするが、ベルはしっかり反応する
4人それぞれパックを打ち返し、良い感じにラリーが続いていたが遂にギミックが作動する
「ぬわっ!?パック二つだと!?」
パックが得点盤の所から出て来た事によりラリーの激しさが増す
「あわわ、あわわわ」
「忙しいです」
カコッカコッと4人がパックを打ちあいながらもゴールを決めたり決められたりと得点を取り合い、制限時間が半分を切った所でまたギミックが作動する
「パック4つ!?」
「それだけじゃ無いぞ!」
単純にパックが増えるだけではない。真ん中の仕切り部分の一部が閉じる
「真ん中が通らないです!弾かれちゃうです」
相手ゾーンでは無く、自分のゾーンで弾き返る事で反応が遅れ、パックの数が増える事で注意力が散漫する
「多少のミスは気にするな、相手ゾーンに入れちゃえばきっとヴァイスがミスする」
「な、なんだとぉ!言ってくれるな!?」
ヴァイスをちょっと煽り、ミスを誘うと見事に真ん中の壁にパックを当て、自滅ゴールしていた。ちょろい
「ヴァイス様、落ち着いて、クロトに、乗せられてる」
シルエッタはパックが増えた事であわあわしていたけど、ヴァイスが煽られてミスしていたのを見て冷静さを取り戻した様だ
「す、すまぬ……」
「そろそろラストスパートだぞ!」
制限時間が残り1分を切った辺りで最後のギミックが起動する
「なんだこの壁は!?うねうねではないか!?」
毎回ギミックにリアクションしてくれるのなんか楽しいなぁ
ホッケー台のサイドの壁が波の様に動き始め、反射する角度が一定では無くなった為、どう反射するか分からない。ただし、真ん中の壁が小さくなったので相手ゾーンに通しやすくはなったけどパックは遂に5枚になる
「忙し過ぎる!」
「反射も分からないです!」
「でも」
「「「「楽しい!」」」」
白熱したホッケーも残り時間も後わずか、最後まで得点は表示されないのでどっちが勝っているかも分からない。そもそも得点盤なんか見てる暇が無い
『3、2、1、しゅーりょー!』
ゲーム機から電子的な声で終了を告げられ、皆マレットを置く
「何とも忙しくも楽しいゲームであった!」
「楽しかった、けど、壁の、うねうね、嫌い」
「真ん中の壁が強敵だったです」
じいちゃんと前にやった時は1対1だったけど2対2じゃ全然違う。もちろんじいちゃんとホッケーしたのがつまらなかった訳じゃ無い。4人で遊べるというのがそれだけ楽しかったのだ
「さて、どっちが勝ったかな?」
得点盤の数字がドラムロールと共にランダムな数字を映し、ドラムロールが止まると最終的な結果が出てきた
『62対65』
「やった!勝ったです!」
割とギリギリだった。パック5枚だからすぐひっくり返される可能性があったな
「結構危なかったね」
「「ぐぬぬ」」
負けた二人は仲良く悔しそうにしていた
「ふぅ、俺は少しそこのベンチで休むよ。皆はあげたお金使って遊んできなよ」
ちょっとしかあげてないけど大体遊んだし、気になる物とかもう一度遊びたいとかなら自由にさせてあげよう
「うむ、しっかり楽しんでくるぞ!」
「行って、くる」
「行ってきますです」
「行ってらっしゃーい」