クロスドレッサー・ゲームセンター
「くぅ~負けた!」
「やったぞ!クロトに勝ったぞ!」
カーブのポジション取りをミスってしまったのでヴァイスに負けてしまった。やっぱコントローラーとハンドルだと感覚が違うなぁ
「私、1位、褒めて?」
シルエッタが座席から降りて、俺の方に寄って来る。俺も座席から降りてシルエッタ褒める
「流石だね、シルエッタ。凄いよ!」
頭をなでなで、やっぱシルエッタの髪の毛はサラサラで気持ちいいな
「ふふふ」
シルエッタは褒められて嬉しい、俺はサラサラの髪を撫でられて気持ちいい。お互いwinwinだ
「もう少し回ってみようか」
「うむ」「はいなのー!」
皆が座席から降りて、他のゲームを見に行く為俺に付いてきてくれる
「そうだなぁ、次はケルが好きそうなのでも行こうか」
FPSで強かったし、これは銃を使うゲームをやらせてみよう
「どんなゲームなの?」
「銃を使うゲームだよ」
「狙うのは得意なの!」
そういえばケルは光線魔法が得意とか言ってたからそういう関係で狙う事が得意って事なのか
「じゃああれ、やってみようか」
指差した先に有るのは銃型コントローラーで画面上の敵を狙うガンシューティングゲームだ
「あの銃で敵を撃って、弾が無くなったら画面外に向けて銃を撃てばリロードされるからそれで戦うんだよ」
「分かったの!もちろん一緒にやるの!」
俺の手を引っ張り、ゲーム機に近付いていく。逃げるつもりも一人だけでやらせるつもりも無かったからそんなに引っ張らなくても良いのに
「はいよー、これ、結構難しいらしいから頑張ってやってみよう」
結構難しいと噂でボスを倒すまで1クレジットでクリアするのが大変だとか。俺とケルで行けるかなぁ?
「難しいなら余計に燃えるの!」
ケルの目に闘志が宿っている。これはガチっぽいな、こんなケルの隣で手を抜く訳にはいかないので俺も本気でやらなきゃ
「何やら二人からオーラが出ている様に感じるぞ?」
「あれは、やる気」
後ろからも見られているんだ。手を抜くとか考える事が間違っていた
「よし!ケル、ボスまで死なないで行くぞ!」
「やるの!」
そしてゲームが始まる
ゲームがスタートすると奥の方からゾンビが歩いてくる。基本頭を撃てば早く倒せるので狙いは頭に集中する。
「の!の!なの!」
ケルの撃つ弾はゾンビの頭に集中する。どんどんゾンビを倒すのでこっちも負けずとゾンビの頭に弾を撃ち込む
「弾が無くなったら!」
「画面外なの!」
画面端に出ているマガジンの残り弾数が無くなるとすぐ画面外に向けてトリガーを引きリロードする。動作が早くてまるでマシンガンみたいだ。でも適当に撃っている訳では無く、きっちり頭を狙っているのでポイントも恐ろしい速度で加算されていく。やべぇよ、追いつけねぇ
「あの敵は光ってる所が弱点だから!」
「膝もらいなの!」
道中頭以外が弱点の敵や、跳んで来る岩を撃ち落とさないとダメージを受けたりするギミックを越え、ルート選択の所まで来た
「ケル、簡単なルートとめちゃ強いボスが出るルートどっちがいい?」
もうどっちを選ぶとか分かり切ってるんだけどね
「そんなのめちゃつよルートに決まってるの!」
ボスルートの方を選ぶ為、赤黒く縁どられた明らかに難しいですよと主張する矢印をケルが撃つ
「ここからが本番……ってマジか!?」
ボスルートを選んで進むと撃ち落とさないとダメージを受ける岩が一気に20個程出てきた。これが鬼畜ステージとか言われてた理由か……
「一気に増えすぎなの!?」
俺もケルも岩を撃ち落とし、何とか岩ゾーンを突破したと思ったら今度は謎の缶が画面中央に現れ、『落とすな!』の文字が
「おいおい、難易度上がりすぎだろ!」
缶を落とさない様に銃で缶を撃ち、さらに襲ってくるゾンビを倒す。忙しい事この上ない
「あわわ、あわわわわ……」
二人でやっているので缶を同時に撃とうとしたり、それでゾンビへの攻撃が疎かになったりと中々エグい難易度の上げ方をされ、苦戦しながらも漸くボスの元にたどり着いた
「役割分けよう!ケルは撃つの早いからボスに攻撃、俺は缶が落ちない様にするから!」
「任されたの!」
ボスのHPゲージが画面上部に現れたと同時に減り始めた。やっぱ凄い速さだ
ケルがボス攻撃、俺が缶の保持で役割を分けたお陰で焦る事が無くなった。ケルの攻撃でボスのHPゲージが半分を切った辺りで岩攻撃も混じってきたので缶を撃ちつつ岩の破壊は俺が受け持った
『缶を弱点にぶつけろ!』
ボスのHPを削り、残り5%くらいになった時に画面にその表示が出て来た。この缶ってその為のアイテムだったのか!
「ケル、決めて!」
缶を撃って良い感じにボスの頭辺りまで跳ねたのでトドメはケルに決めてもらう
「終わりなの!」
ケルの放った1発が缶に当たるとムービーになり、缶が爆発する。ボスも爆発に巻き込まれ倒されてエンディングと色々突っ込みどころはあったが、何とか1クレジットでクリアすることが出来た
「やったね!」
「やったの!」
二人でハイタッチしながら喜びを噛み締めた