プロローグ①
「えっ!?……何あの白いの……?」
晩御飯の為の買い物に行った帰りに見た謎の白い人間?
最初ソイツを見た時の遊馬玄斗の印象はその一言だった。ただ、明らかに普通の人間では無く、
白い髪に白い肌の人間っていっても色素欠乏症の人だって居るだろうしね?
ただね?蟀谷の辺りから生えている角や明らかに悪魔っぽい尻尾とか見ちゃったら……ねぇ?
これで人間って言ったらかなり気合の入ったコスプレ野郎ですよ?
そんなコスプレ野郎(仮称)が家の前で倒れてるんだから放置する訳にもいかず声を掛ける
「こんな所で行き倒れかい?お兄さん?」
「うぅ……腹が減って動けんのだ……すまぬが助けてはくれまいか?」
こいつマジか言動まで気合入ってるよ。まぁ人が倒れてるんだし、とりあえず助けてあげないとと思い肩を貸す。
「放置するのも忍びないしとりあえず簡単な物で良かったら食べさせてあげるよ、立てる?」
「なんと!?ありがたい是非とも頂こう!」
まぁ悪い奴じゃなさそうだな、折角だし確か冷蔵庫に下処理しておいた豚肉があるから生姜焼きでもササっと作ってあげるとしよう。
そして真っ白なお客さんを我が家に招き入れ、居間で待ってもらおうと思ったが、
そういえば行き倒れてたんだっけ……? すぐに食べられる物を何か出してあげるか……
とりあえず味噌汁でも出すか
「ほーいとりあえずこれでも飲んで料理が出来るまで待っててくれるかい?」
「おぉ!これは確かミソシールとか言ったか頂こう!」
「味噌汁ね、ありきたりな豆腐とわかめの味噌汁だけどゆっくり食べなよ?」
じゃあこっちは生姜焼きの調理でもしますかねぇ
まぁ調理って言っても味付けは終わってるし、後はほぼ焼くだけなんだけどね。
調理中居間の方から「これは海藻?こっちの長方形の物は何なのだ?」って聞こえてきたけど、箸もキチンと使えてるみたいだし益々コスプレ疑惑が濃厚になってきた。
「おぉ……染み渡る!そして生き返る!旨いもう一杯!」
「気に入って貰えてなにより。そんじゃおかわりと生姜焼き、それに白いご飯だ」
「おぉぉぉぉ!良いのか?食べても良いのか!?」
「遠慮しないで食べて食べて、お腹減って倒れてたんでしょ?」
「あぁぁ(感涙)存分に頂くぞ」
泣く程かよ。
そんなこんなで騒がしくもいつもの一人より楽しい昼飯時、自分も一緒に食べるとしようか。
「それじゃ頂きます。」両手を合わせて食べ物に感謝しつつ自分の分の生姜焼きやご飯を食べる。
うん美味しい。市販の物も良いけど自分で作った物はやっぱ違うね
そんなこんなでご飯も食べ終わり後回しにしていたけど重要な事を真っ白君に聞く。
「ところでなんで倒れてたの?」
「あ、あぁ世話になったのに何も説明していなかったなすまぬ。我はヴァイス!別の世界から来た魔王だ!」
わぁお、すっげぇ情報出ちゃったよ。
その一言を聞いて頭を抱えてしまった。
うーんこれは扱いに困ったぞ……
異世界からやって来た。 それを一概に嘘だと言えない事情が今の世界にはあるのだから。
何たって……
「現在F町の駅前公園に小型の魔物が出現しました。近くに居られる方は速やかに避難して下さい」
スマホから緊急警報が鳴る。
そう、今の世界には魔物が居るのだから。そして
「ん?魔物だと?近いのか?」
「あぁ特に気にしないで良いよ」
「えっ?避難しろと今その機械が喋っていたではないか?」
「大丈夫この近くだけど小型なら逃げる必要はないよ」
「何故だ?」
「何故ってそりゃあ魔法少女が居るから」
そして、今の世界には魔物が出現してから現れた魔物を屠る者(魔法少女)達が居るのだから。