表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリガーワールド  作者: エクレアサンダー
鮫島、大地へ立つ!!
7/25

少女の決意と誠意



 俺は立ち上がり、ネルの後をの後に続く。

 ゾーラも、俺の後ろを歩いているが、槍の穂先は俺に向けられてはいない。だいぶ警戒心をとかれたのかもしれない。


 「どう、リズ?」

 大人二人が両手を伸ばして抱えられる位の木の根元

で、ダンカンとジェイルの応急措置をしながら、リズが振り向く。

 「ダンカンは打撲だけだけど、ブレストプレートがオシャカかな。ジェイルの方は、骨が折れてるわ。狩りに来た早々残念だけど、街に戻りましょう。」


 「こんな日も、たまにはある。あまりあってはいいものでは無いが、今回は運が悪かった。」

 ダンカンはため息をついた後、口をヘの字にして背中を木にもたれ掛かかる。

 骨折した肩に添え木とともに、厚手の帯の様な包帯で、身体に右腕をグルグル巻きに固定されているジェイルは、言葉を発する事無く項垂れている。


 「ネルの方は、どうするか決まった?」

 と、リズは俺を見つめながらネルに問いかける。


 「言葉は通じるけど、どうも発音がうまく出来ないみたいなんだよね。」

 ネルも、そう言いながら、俺の方を振り返る。


 「ゴグギガガンガ(どうしたもんか)……。」

 移動中会話をする度に、止まって筆談するわけにもいかないよなぁ。


 そんな事をしていると、ロイが弓を携えて戻ってきた。

 「今日はもう戻るだろリズ。ほら、これ。」

 「ありがと。当然こんな常態で、奥に狩りに行くなんて、自殺しにいくようなもんね。」

 「そりゃそうだ。」

 ロイは肩を竦めて、苦笑をうかべる。


 「ネル、ソイツをどうすつもりだ?」

 ロイが、考え事に夢中になっているネルに訪ねる。


 「勿論、街に連れて行くわ。」

 ネルはそう答えると、真剣な眼差しで俺を見つめ口を開く。


 「マサ、ここに置いて行かれたくは無いよね?」

 「ガガッ(ああッ)。」

 「だけど、街に魔物は街には入れない。」

 「ガゴグガ(だろうな)。」

 「でも、特別に一つだけ魔物が街へ入れる方法がある。」

 「ゴンゴグガ?(本当か?)。」


 ネルは指揮棒をとりだして、それを俺に向ける。

 「動物や魔物を、使役する魔法でアナタを隷族させるって方法なんだけれども。」


 俺の頭の中『隷族』と言う単語とともに、幼い頃にテレビの再放送で、『キンタクンテ』と言う、奴隷が主役だった海外ドラマを思い浮かべた。

 そのドラマは、アメリカに奴隷が、どのように連れて来られ、強制的な重労働に加え、モノであって人間では無いと、差別的な扱われてていたのが、記憶によみがえり思わず、溢れた嫌悪感で、ネルを睨んでしまった。


 「くぅッ…。」

 ネルは一瞬怯えながらも、真剣な表情に戻り話かける。

 「マサの、屈辱的な気持ちはわかる。これは、悪魔でもマサを街に連れて行く為だけに、使役魔法をかけるんだ。勿論、私はマサを不当に蔑む行為はしないし、皆にもそんなことはさせない。」


 俺は瞼を閉じ腕を胸で組んだまま、ネルの言葉を噛み締めるように、頭の中でこの世界へ連れて来られた事、魔物の姿になってしまった事、そして死ぬまで奴隷の様な扱いわれてしまうかもしれない事を、改めて考え直す。


 いくらなんでも理不尽過ぎる事ばかりで、この現状を産み出した得体の知れないアイツに、苛立ちが沸々と煮え湯の如く溢れける思考に支配されかかる。


 「マサ、私は決して裏切らない。会ったばかりで、何言ってるんだと思うかも知れないけど、私を信じて欲しい。」

 誠意の籠った、ネルの真っ直ぐな感情が、俺のやさぐれた心を強く暖かなモノで包み込む。


 俺は瞼を開き、ネルを見つめ返しながら、自分自身の小ささに呆れかえる。


 こんな小さな少女に、俺は何を八つ当たりののようなことをしてんだよ。


 「ガガッガ。ゴゲガ、ゲグガギンギグ(わかった。俺は、ネルを信じる)。」

 俺はそう答えると、両膝を地に着け、聖者が祈りを捧げる様して、ネルに頭を垂れる。


 「信じてくれて、ありがとう。」

 ネルは、はにかみながら静かに優しくささやいた。


 それからすぐに、ネルは俺に使役魔法を唱えはじめる。


 そして俺は、『隷族』受け入れる覚悟のまま、ただ強くネルを信じろと、自分に言い聞かせて、ネルの魔力が感じられるかのような、優しい言葉の旋律が終わるのを待った。


 





 

 私が高校生ぐらいの頃だっただろうか。父親が『ルーツ』と言う。アメリカのテレビドラマのビデオテープを、私に薦めてきた。

 『マッドマックス』や、『ランボー』のように、派手なアクション映画ばかり、好んで見ていた父親が、薦めて来たのでてっきり、またド派手なアクション映画だと思って、そのビデオテープを見のだが。

 物凄くシリアルな話の内容で、過去の時代に人が『奴隷』を、どのように集め扱い、そして解放されて行ったのか。

 奴隷の主人公が何代も世代交代しながら、物語が続いていき、最終話の最後で主人公の末裔が出てきて、視聴者に向かい自己紹介とともに、『奴隷』と言う人達の存在を問いかける場面で終わる。


 私は物凄いカルチャーショックをうけました。


 【小説家になろう】での、奴隷が扱っている作品を、読んでいると、いつも『ルーツ』が頭に浮かぶのです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ