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トリガーワールド  作者: エクレアサンダー
鮫島、大地へ立つ!!
6/25

日本語って、本当に………



 何とか俺はネルに、自分が人間である事。姿の無い何かに、ここへ無理矢理連れてこられた事、気が付いたらマッチョな大男になっていた事を説明した。


 「ネル、それでどうするの?」

 少し気の抜けた感じで、リズがたずねる。


 「だいたいアナタの言っている事はわかった。だけど、中身が人間であろうと、見たクレが完全に魔物、オーガなのよね。」

 ネルは俺に視線を向けたまま、左耳の耳たぶを弄りながら思案する。


 「チッ、取り敢えずコイツと直接的にやり合った訳じゃねぇし。チョイと、俺はジェイルを拾いにいってくる。後は任せた。」

 そう言うロイは、構えていた剣を下に下げ、踵をかえす。


 「リズ、ダンカン、チリョウ。ネル、ワタシ、トナリ、マモル。」

か細く聞き取りづらい声で、ゾーラが槍を構えたまま、ネルの側に近付く。


 「ダンカン、応急措置をするわ。そこまで来て、傷口を見せて。」

 「ああ。」

 「ネル、ゾーラ、後よろしく。」

 リズとダンカンが、近くの木の影に向かう。


 「そう言えば、名前は?何て呼んだらいいの?」

 名前を聞かれた俺は、『正義』と書き示しす。


 ネルは、眉間に皺を寄せ、少し悩んだ後。

 「ごめん。古代サンプレゼ語系統の文字なのはわかるのだけれど、その文字を何て発音したらいいかわからないわ。」


 俺は次に平仮名で、書き綴ってみた。


 「それは、サンプレゼの速記文字ね。アナタ、ただでさえ複雑な古代サンプレゼ語を、扱えるみたいね。」

 ネルは興奮したように、俺に詰め寄る。


 カタカナ以外での筆談では、此方の意思を伝える事は難しいようだ。

 カタカナだけの手紙とか、凄く読みづらいと思うが、今のこの状況では仕方ない。と、考え込んでいたら、首筋にヒヤリとしたモノが触れる。


 「ハナレロ。チカイ。」

 ゾーラがネルを庇い、槍の穂先の腹の部分を、俺の首筋に押し当てていた。


 ネルは、慌てて歩幅で一歩ほど離れ、

 「ごめん、私が悪い。」

 「ムチュウ、キモチ、ユダン、ダメダ。」

 ゾーラは、バツが悪そうな表情のネルに、真面目な顔で苦言をさとす。


 ネルの安全を確認したゾーラが、冷や汗と緊張で固まった俺の首筋から、穂先を外す。


 「グウゥゥ~ッ」

 俺の口から安堵のため息が出る。

 俺はネルの足跡でぐちゃぐちゃになった文字を、手のひらを使って消し、改めてカタカナで 『マサヨシ』と書き示した後、『ヨシ』の部分を拳で擦り消した。

 「マサヨシじゃなくて、マサでいいのね?」

 ネルの問いに、俺は頷く。


 「私はネル。そして、…」

 「ゾーラ。」

 ネルとの会話に割り込むように、ゾーラが言った。


 俺は頷き、『リズ』『ダンカン』『ロイ』『ジェイル』と、地面に少し離れた他の者達の名前を、書き連ねてみる。


 「此方からの会話は、問題なく理解されちゃってるのね。」

 ネルは、何だか拗ねたようにして立ち上がる。


 「マサ、ついてきて。」

 そう言って、一通り聞きたい事は済んだのか、ネルはそのままリズ達の方へ歩き出した。






 漢字、カタカナ、平仮名、ローマ字と、日本語って同じ語句の表記方法に種類が多いですよね。

 それぞれ単体での印象と、一つの文章の一部としての印象、また文章全体での印象に、何重の意味合いが込められたり、同じ発音の別の単語の意味まで込めてしまったり。


 日本語って、本当に面白い(笑)



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