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トリガーワールド  作者: エクレアサンダー
鮫島、大地へ立つ!!
4/25

剣と魔法の世界なの?



 いきなりの頭の中を刺す様な痛みに襲われ、片膝をついて両手の親指でこめかみを強く押さえつつ悶絶する。

 しかし一瞬で痛みは消え去り、代わりに言い争う声と動物の様な咆哮、硬いモノで叩き合う様な音がする。

 周囲を見れば、薄暗い森の中だ。


 「ジェイルがやられたッ!ダンカンッ、前に入って押し上げてッ!」

 「イガルグガルアァーーッッ!!」


 目の前では、ファンタジー系のゲームや小説に出てくる様な姿をした6人の男女が、2体のみすぼらし腰布以外は全裸だろうな、人の倍ほどありそうなボディビルダーみたいな巨人達と闘っている。

 

 ジェイルらしき、バイキングみたいな鎧を着た赤毛の男は、先ほどボディビルダーAに、右肩を力任せに引き抜いたであろう木の根の部分でぶん殴られ、コマの様に回りながら吹っ飛んでいった。

 代わりに前へと、金属製のハンマーを持って出てきたのがダンカンだろう。

 しかし、ダンカンの錆色の鎧もベコベコだ。


 もう片方のボディビルダーBには、槍を持った軽装の女と剣と丸い盾を持った【ザ⋅戦士】な男とが入れ替わり立ち替わりに、ボディビルダーBにちょこまかと翻弄させながら、少しずつ削る様にダメージを与えている。

 ふた手を相手取るボディビルダーBは、焦れて苛つき動きが散雑になり、持った丸太棍棒も大振りなって当たらない。


 「ネル、あとどれくらい?」

 先ほどから、指示を出していた弓矢をつがえた女が、隣の小柄なポンチョを纏った少女に問いかける。

 弓矢女に、ネルと呼ばれた右手に指揮棒を持った少女は、目を閉じたままブツブツとか細く呻きながら。左手を弓矢女に向け、指を1本横に指した後すぐに4本上へたてる。


 「ダンカンッ!こう少しもたせてッ!」

 そう言うと弓矢女は素早く弦を爪弾き、つがえた矢をダンカンと打ち合っている方のボディビルダーAに放った。

 左手に残った弓を自身の背後に放り、腰から短めの剣を抜き放ちながら、槍女と戦士達の方へ、全力で駆け抜けていく。

 放たれた矢はダンカンの左脇を抜け、ボディビルダーAの右脇腹にツスッと突き刺さる。

 「ガッ」

 「どぉぉりゃぁッ!」

 相手の痛みで出来た隙衝いて、ダンカンがハンマーを両手に力一杯込め、顎に叩き込む。


 「パラライズソーンッ!!」

 先はど目を瞑り呻いていたネルが、幼さの残る声で叫ぶ。


 「「……アガアゥアッッ!?……ガガァッ!!」」

 どうしたことか?ボディビルダー達が、光る茨のようなモノで拘束されていて、身動きがとれなくなっているようだ。


 「ロイッ!ゾーラッ!仕止めるよッ!」

 剣に持ち代えた弓矢女が、ボディビルダーBの両目を一閃すると、ロイとゾーラと呼ばれた男女が、逸機に攻勢かけてボディビルダーBをメッタ差しにしていく。


 さらに弓矢女も加わり、身動きの取れないボディビルダーBに、抗う事など出来ず。しばらくして、ボディビルダーBは、自身の血の海に倒れ動かなくなる。


 その間ボディビルダーAも、ダンカンのハンマー一方的に殴られまくって、すでに抵抗すらない。更に四人に増えた相手に、呆気なく倒された。


 俺は、いきなりのこんな状況を見せられて、呆然と突っ立っていたが。

 ふと、ポンチョ少女と目が合う。


 ポンチョ少女は、驚愕した表情で。

 「うそ……。もう1匹いるの。」


 「「「「えッ!」」」」

 「ガッ!」


 「リズッ!奥に、オーガがもう1匹いるッ!!」


 五人の視線が、俺に突き刺さる。


 オーガって?

 俺の事か?

 俺って、殺されるの?


 あたふたとしている俺へ、肩で息をしながらも囲うように、ジリジリと近付いて来る。


 「ゴグガッ!ゴグガーッ!!(降参ッ!降さ~ん)」と。

 俺は、両手を上に挙げ、無抵抗を示した。 


  



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