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トリガーワールド  作者: エクレアサンダー
鮫島、大地へ立つ!!
15/25

若かりし頃の残像



 無事に二人の治療を終え、夜の戸張も降りた街を、揃って来た道を戻る。

 現代のように、街頭が当たり前のようには無く。

 通り沿いは、人の居る建物から漏れる、僅かな光りだけが、仄かに周囲を薄暗くもの寂しく照らすのみである。


 「随分と遅くなってしまったけれども、ギルドに簡単な報告だけでもしておきましょう。」

 リズの【ギルド】と言うのが、詳しくはわからないが、皆が所属する職業組合みたいなモノだと推測する。

 「そうだな。オーガがまだ、森の深くにもいるかもしれねえから、ギルドを通して、他のギルドに戒告をしといてもらおう。」

 【ギルド】から【ギルド】が、具体的に何を指しているのか、混乱する前に確認をする事にした。


 「先程から、ギルドと言っているが、ギルドとはいったいどのような組織なのだ?」

 「ギルドと言うのは、私たちが所属している冒険者ギルドって言うのと、各地域、各町村主導の職業ギルドの概ねふた手に分類されてるの。冒険者ギルドは、国境超えて大概の国や地域に存在するわ。依頼主からの様々な仕事の斡旋、他のギルドとの仲介や交渉、所属している人たちの金銭管理や、移動に伴う手形などの配布。魔物などの駆逐討伐。まあ、言い方を変えれば、何でも屋よ。」


 んん、雑多過ぎて良くわからん。


 「職業ギルドって言うのは、林業、狩猟、商人などの職種毎に、利権や資源を守る組織。規模も様々ね。」

 「大小様々な職業ギルドを、冒険者ギルドが仕切っているって事か?」

 「所属しているこちらから見れば、そう見て間違いじゃないわ。私たちが依頼を受ける時には、すでに他のギルドと話がついた状態で、依頼内容が提示されてるからね。」

 

 為替市場の《ノミ屋》みたいなモノかな。


 「マサの使役証明札も、冒険者ギルドで発行してもらうから、少なからずこれからも、接点のある組織だからね。」

 「そのようだな。」

 魔物の俺も、所属組合員になれるのか?と疑問に思えど、一人で街すら勝手に歩く事も憚れる以上、今は気にしてもしょうがない。


 「ロイ、行くわよ。」

 「はいよ。」

 「皆は、ここで少し待ってて、すぐに終わらすから。」

 「俺って、必要か?」

 「貴方、チームーのリーダーでしょ。」

 この集団のリーダーは、リズではなく、ロイだったようだ。

 リズの周囲への気遣いや、狩りでの指揮伝達などを見てきたからか、リーダーとしてのロイの存在が希薄に感じてしまう。


 今のやり取りも、リズにの後を、しぶしぶとロイが着いていくあたり、なんだろうか。長年連れ添った夫婦みたいと言うか、転移前の職場での、妻子持ちの同僚うが重なって見えてしまう。

 独り暮らしを始めてから、ずっと独身だった俺には、ロイが羨ましくも悲しく映る。


 冒険者ギルドでの簡単な説明は、時間も遅かったとはいえ、本当に簡単に終わってしまった。

 勿論、俺の使役証明札も、明日に登録、発行手続きを行う事になった。


 「じゃあ、ホームに帰ろう。」

 リズの掛け声を合図に、養生所のある方へとって返す。

 「ねえリズ、マサはやっぱり厩舎に寝泊まりする事になるの?」

 ネルが、不服そうな顔で訪ねる。

 「普通、使役した魔物は厩舎の方へ、預けるのが決まりだけど。マサの場合は、少し考えちゃうわねえ。」

 「主のネルなら、自分の部屋に連れて行けるけどなぁ……。」

 どうやら、俺は家畜や使役した魔物か、少女とは言え女性であるネルと、同宿になりそうなんだが、どちの選択肢でも、さすがに厳しい。

 「取り敢えず、一日ぐらいなら敷地内の空いてるスペースで、野宿でもいいからな。」

 これが無難だろう。

 「フフフフッ。ネルの事、ちゃんと女性として扱っているのね。」

 リズが、茶目っ気たっぷりで、冗談を言う。

 「じょ、じょ、女性ですよッ!私は、凄ぉーく女性なんだからッ!!」

 「「「「「アハハハハハ……」」」」」

 女性と言われ、恥ずかしかったのか、ネルのあたふたが可愛く、皆が笑い声をあげる。

 「なんだよぉーみんなして意地悪ぅッ!!」

 ひとり拗ねてそっぽを向くネル、そのネルに仲間たちが、笑いながら謝るが、その事でネルがさらに拗ねる。


 そんな皆を見ていると、若き日の自分もこんな風に、仲間たちとじゃれあっていたなと、落ちてきそうな夜の星空に、ラムネ色の月を見ながら、俺は懐かしさにうら寂しく思い更けるのだった。





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