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トリガーワールド  作者: エクレアサンダー
鮫島、大地へ立つ!!
10/25

かなりローカルな世界のようだ。



 結局、ゾーラ以外がグロッキーになり、街まで行かずに、街道の途中で一休みする事になった。


 太陽はまだまだ沈む気配は無い。半日掛かる距離の約三分の二程を逸機に走破したようである。


 「いくらほとんど揺れないからとは言え、あんなスピードで走られちゃたまらんよ。」

 ロイが、地面にへたり込みながら、緊張からの解放と疲労にガックリとしながらぼやく。

 「体感速度的に、あの倍以上のスピードで、丸一日位は走れないと、仕事にならなかったんだけどな。到着予定時刻を少し前倒しで走らないと、路上でのトラブルは簡単に遅れに替わる。積み荷が遅れれば、届けた荷物を仕分けしたり、最終到着地まで運ぶ連中の余裕が無くなるから、出だしの大型輸送はスピードが大事になる。」

 俺は、過去の長距離輸送時の体験を、思い出しながら話し返した。


 「いったい、どんだけの量を一度に運んでたの?」

 ネルが、竹の様な材質で出来た水筒を、皆に配りながら問うてきた。

 「扱う車輌によるが、長距離だと4トンから10トンだな。それ以下だと、輸送コストが赤字になる可能性がある。」

 運ぶモノによるが、概ねそんなもんだろう。

 「【トン】って、マサの居た国の単位?なのかなぁ。いったいどれくらいの量なんだろう?」

 そうか、モノの数の数え方や、計量法にしたって、基準になる対象が違うんだろうな。

 「そうだなぁ……。ジェイルが十人分で1トンぐらいだから、ジェイル四十人から百人てなところかな?まぁ、凄く大雑把な計算だが。」

 「「「「ええぇぇ~ッ!!」」」」

 「俺百人分の物量って、戦争でもしようってのかよッ!!」

 皆の驚きもあれだが、トラック一台の輸送量で、戦争なんか出来ないだろう。

 よく考えてみれば、荷車の車輪にゴム製のタイヤじゃ無く、木の車輪のまんまだと気づく。

 皆の様子を改めて観察してみると、持ち物に電力を電源にした、モノが一つも無いようだ。


 まさかなぁ……


 俺は、不安になって皆に聞いてみる事にした。


 「なぁ、生活する上で火を使うだろ?」

 「ああ、火を使わなきゃ、暖もとれないからな。」

 「なら、その火の燃料は、何を使っている?」

 「薪だろうが。魔法でも火は起こせるが、燃やし続けるには薪が経済的だろ。」

 「炭とか油、石油は使わないのか?」

 「炭はあるが、いい値段をする。貴族や裕福層でも無い限り、簡単には使えない。油なんてもっと高額だ。あと、石油ってのは、石炭の事か?それならば、鉱山の近くにある町とかなら、薪の替わりに使っているぞ。」


 こりゃ、街に行っても、電気何て無いんだと、思っていた方がいいな。


 「あと、荷物を運ぶとしたら、荷車になるのか?馬車みたいな、家畜に荷馬車を引かせたりとか………か?」

 ガソリン何て無いんだろうから、これぐらいしか方法が無いよなぁ……。


 「馬は贅沢品だ。貴族や裕福層の奴等が、競い合うように集めてる。農家とかなら牛やロバあたり。それ以外だと、大型の獣や気性の穏やかな魔獣辺りが、一般的だ。」

 「地域によっては、何人かの奴隷や、戦争捕虜に引かせているって聞いた事はあるわ。」

 「戦争とかだと、皮膚が鎧みたいな、ロックリザードとかを、使役してたりするよ。」

 「ゾーラノ、フルサト、ゾウ、ハコブ。ゾウ、オオキイ。」


 明らかに、科学や工業何てモノは、発展途上以下のようだ。


 「因みに、オーガは輸送の労働力とかに、利用されてたりするのか?」

 俺は今後、生活の糧を得るための、就労先の情報を尋ねてみた。


 「オーガは、使役する以前に討伐対象よ。」

 リズがすまなさそうに、俺を見ながら答える。

 「俺、街に行っても大丈夫なのか?」

 「今までに、オーガを使役した例は、少なからずあるわ。使役した後の用途まではわからないけどね。」

 何だか、とても不安な答えが返ってきた。


 「マサが、使役者と共に行動する分には、街の規則には引っ掛からないから。くれぐれも、一人で街の中を迂闊に彷徨かないように。」

 最後のは、何かヤバい事になるって感じだな。


 「皆、大分落ち着いたでしょ。軽く食事でもしない?ネル、お願いね。」

 「うん。簡単なモノでいいよね?」

 「頼むわ。」

 リズとネルのやり取りを合図に、ダンカンとロイが、荷台後部に縛り着けてあった枯れ枝の束を、持ってくる。

 「んッ、テンダー」

 それに、ネルが指揮棒を向け、一言で火を点ける。

 「それも、魔法なのか?」

 俺は、意図も簡単に、枯れ枝に火を点けたネルに訪ねる。

 「うん。一番簡単な火系魔法だよ。」

 ネルは、答えを返しざまに、ポンチョの内側に隠れていたであろうウエストバッグから、食材と鍋等の調理器具を出した。

 「おいおい、そんなバッグから、こんなに色々出てくるのはおかしいだろ!?」

 ネルが、腰に着けたバッグの容量を、明らかに超えた物量を、当たり前のように出して、それを誰も気にしてないのに驚く。

 「このバッグはねぇ。魔法道具なんだよ。だいたい32カゥ……えっとぉ、四分の一ジェイル位の量を、収納出来るんだ。」

 そう言うと、ネルはコロコロと可笑しそうに笑う。


 魔法道具が、どういう原理だかわからないが、俺と出会ってからのジェイルの扱いが、笑いのネタになってしまったようだ。


 それからも、皆で面白可笑しく喋りながら、塩味の根菜と鶏肉らしきスープと、チーズを挟んだしっかりとしていて、酸味のある黒いパンを食し、素朴で暖かな雰囲気に、気持ちも胃袋も満たされていったのであった。


 



 食事に出てきた黒いパンは、プンパーニッケルという、ドイツで今も食べられてる、伝統的なパンをイメージしています。

 深夜のBSで、NHKが特番の中で、温泉の源泉から出る蒸気を使って、長時間低温で蒸していたのが、私の中で印象に残っていて、凄く素朴で牧歌的な食事に、興味をそそられました。

 結構保存が効き、チーズの他にも、サーモンやサワークリームを挟んだりするみたいです。


 私なら、ベーコンとレタスと、トマト(B⋅L⋅T)に、ブニュッとマヨネーズを絞って、モシャモシャしたいですね(笑)




 

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