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  #02 ?(1)

 上宮斉明の『使い「手」』と『使い「手」作り』が完成したことについては、当然、盗聴を行っている青年も知っていた。

 あれから三年が経っている。動くなら今だろう。少し派手な事をしても、委員会は殲滅事件と関連付けた捜査はそれほど行わない筈だ。

 第一、以前と今からやろうとしている事では、性質が違いすぎる。こちらは解創とは無関係かもしれない事件だ。

 一応、無関係な人間も巻き込んでおくとしよう。バレれば問題だが、逆に言えば、これが目くらましになる。一般的な通り魔の犯行に見せかけることも可能だろう。

 デメリットとして、これが上宮斉明周辺の警戒を強めることになる可能性だが、風化すれば警備はおざなりになる筈だから、さして問題は無い。

 時間は、対象の人物が監視カメラなどのない場所を通る時間で、かつ、篠原久篠乃が一般の追求者との会談に出ており、アリバイが取れない時間を選択した。この事件が発覚してから、まず疑われるのが篠原久篠乃という事だ。久篠乃を疑わせようという意図に気付く情報員もいるかもしれないが、焦点さえ久篠乃に行けばいい。どちらにしろ、こちらの存在は嗅ぎつけられない。

 件の少女については、調べを進めておいた。今からこの道を通る少女は、調べ通りに姿を現した。今年で高校生一年生になるらしい。

 場所は路地裏――入り口には、古びた電柱が立っている。周囲に建物が隣接しているが、人が少ない建物は、外部からの視線を遮断する暗幕の代わりとして機能している。

 だが平凡で平和な地方都市の住民は、そのことに危機感を抱かない。そして対象の人物も、それは同様らしい。時間通りに一人で歩いてきたのは、追求者や解創のことなど、ほとんど知らない女子高生の姿だった……その姿に、彼は何の感慨も抱かなかった。心拍にすら変化がない。我ながら冷徹なものだと思う。

 建物と建物の間の陰に隠れて少女の目に付かないように隠れる。彼女は普段通りの反復行動をしているだけだ。さして周囲に警戒を払っている様子はない。まるで見つかる様子無く通過すると、電柱の陰からそっと出て――無防備な背中を、持っていた得物で切りつけた。

 悲鳴が聞こえたが、小さなもので周囲に響くことは無いだろう。

 監視カメラのないルートはすでに見つけてある。彼は覚えているルートを辿って現場から逃走した。

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