第7話
「これ?」
黒くなった痣を触りながら僕はつぶやく。
「覚えてるか? おまえは撃たれて気を失ったんだよ」
「いや、撃たれてって……」
眉間に穴が開いていないか確かめるように触っていると、白衣を着た男がしゃべり出した。
「キミの着ていた黒いスーツ、まぁスーツではないんだけど、あれは拳銃の弾くらいじゃ貫通しないんだよ。知ってたかい?」
「知らなかったです」
「ほら、こいつ覚えてるだろ」
おおっ!
周りから声が上がる。
バレてるっぽかったからシラを切るのを忘れてしまった……
「何でこんなことになってるんですか?」
自分に掛けられた手錠を見ながら思ったことを質問する。
「それは俺たちが知りたいんだよ。とりあえず先に飯の続きにするか。飯が終わったら事情聴取にするからな。山崎! 手錠あと3つ持って来い!」
「はい!」
帰ってきた山崎から手錠を受け取る。
「おら! 足出せ!」
カチャッ! カチャッ!
布団から引っ張り出した片足に手錠を掛け、ベッドへと繋ぎ止める。
「何やってるんですか!」
「犯罪者が逃げないようにしてるんだろう。当たり前だろ!」
もう片足、さらに腕に掛けた手錠ごと手錠でベッドの柵へと繋がれてしまった。
集まった人達が部屋を出て行く。
「そんな……」
訳が分からなくなって頬を涙が伝う。
「うっ……うっ……」
涙が止まらない。
「大丈夫ですか?」
部屋を出ずに残っていたらしい女の子が、僕の涙をハンカチで拭いてくれる。
「お腹空いてません? ご飯お持ちしましょうか?」
「ぐすっ……うん、お願いしようかな」
「はい! 少し待っていてください!」
たいしてお腹は空いていなかったが、何か食べないとやってられない。
女の子は一つ微笑み、ご飯を取りに部屋を出て行った。