第5話
奥には扉があり、いくつかの部屋に繋がっているようだ。先に入った仲間たちによって扉は全て開け放たれている。
扉を潜り通路を進むと、奥の部屋から声が聞こえる。
「何かあった?」
覗き込むと数人の仲間に乱暴に髪の毛を掴まれた2人の局員がいる。
「イイーッ」
部屋には金庫があった。局員に開けさせようとしているらしいが、2人はガタガタと震えるだけで開けられそうにない。
「また開けてもらうか」
僕は通路を引き返した。
戻ってくるとホールの真ん中に立っている隊長が見える。
「ゴリさーん! こっちに金庫ありましたよー!」
隊長は腕を組み仁王立ちしたまま微動だにしない。聞こえていないようだ。
僕は隊長の側まで走り寄り話しかける。
「あっちに金庫ありましたよ!」
「ドウシタ? アッタカ?」
腕を解き、ようやく隊長が動き出す。それに続いて僕も行く。
だがすぐに隊長は足を止めた。
ん?
いや、隊長だけではない。僕の足も止まっている。
音が聞こえない……
静寂の中、顔だけが微かに動く。
目がそちらへ吸い寄せられる。
そこには先ほど壁に叩きつけられた警備員がいた。
一人は床に倒れ気を失っている。
もう一人は壁に背を預け座って、手を上げている。
手の上には穴。目を凝らす。
……拳銃?
正面から拳銃なんて見たことないから、すぐに分からなかった。
警備員の手には拳銃が握られている。
穴の奥まで良く見える。
ヤバい! ヤバいヤバい!!
逃げようとするが体が全く動かない……
あぁ、死ぬのか……
死ぬ間際、走馬灯がよぎるというのはよく聞く。たしかにこれだけゆっくり時間が過ぎれば過去を振り返る時間はあるだろう。
パッ!
そのとき拳銃の穴が輝いた。
静止された時間の中、猛スピードで弾丸が迫り来る。
振り返ってる時間ないって……
弾丸は僕の眉間を貫いた。