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戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の仕事
28/73

第27話

「ありがとうございました」

 お互い肩で息をしながら礼をする。

 桃子は自分の荷物が置いてある方へ戻り、タオルで汗を拭いている。


 今日は結構長い時間戦っていた気がする。

 僕は壁際へ行き座り込んだ。

 集中が切れたときの疲労感が半端でない。相当体力を消費している。




 煙に包まれ姿が元に戻った。

 パンツ姿に戻ってしまったが疲れて動けない……

 姿が元に戻った事によって周りの視線は集まっている。

 みんなから与えられる羞恥心を力に変え、なんとか立ち上がり服を取りに行く。


 着替え終わったので村井の方へ歩いていく。

「今日はずいぶんお疲れだね」

「頑張りました」

 村井の元に桃子も合流する。


「お疲れ様」

「前田さん、すごいですね! 全然当たらなかったですよ! 私、結構自身あったんだけどなー」

「最近、体動かしてるから調子良かったのかな。それでも避けるのギリギリだったよ」

「うん、前田君は良い動きしてたと思うよ。室谷さんって薙刀で全国大会で上位入賞するくらいだからね」

「そうなんですか?」

 僕は驚き桃子を見る。桃子は照れてエヘヘと笑っていた。


 薙刀って競技人口はどのぐらいなのだろうか?

 やっている人は見た事ないけど……

 まぁ、全国上位だから凄いのに違いないのだが。


「前田君、今日はありがとう。特に怪我してないよね?」

「はい、疲れてるくらいで大丈夫です。じゃあ部屋に戻りますね」

「うん、ゆっくり休んでね」

「お疲れ様です!」

 僕は会釈して体育館を後にした。


「かなり動きが速いんですね」

「そうだね。彼は慣れてきたから良い動きをしたっていうのもあるけどね。あれくらいの動きを想定しながら戦えれば、不覚を取らなくて済むから丁度良かったと思うよ」

「試合じゃなくて実戦を想定すると、どうしても大振りしないといけないんで避けられてしまうんですよね」

「そっか。でも相手も実戦だと、なかなか避けるのは難しいんじゃないかな。一度試してみて、改めて調整しようか」

「そうですね」

 二人は、すでに姿の見えなくなった男の方を向きながら話していた。




「主任、準備できました」

「よし、じゃあやろうか」


 夜、僕は眠っている。

 疲れていたからか、はたまたお腹いっぱいになるまで食べたからだろうか。

 食堂から帰ってきたら眠気に襲われ倒れるように眠ってしまった。

 睡眠が深すぎて、部屋に忍び込む足音に気が付かないくらいに……


 カツッ、カツッという足音は僕の枕元で聞こえなくなった。フワッと口元に何かが当てられる。


 呼吸をするたびに脳が蕩けていく。

 ドロドロになるまで。

 何も感じられなくなる程、ドロドロになるまで。


「そろそろかな?」

「行きましょうか」


 僕は何の抵抗も出来ない状態のまま、連れて行かれてしまった。




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