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戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の仕事
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第17話

 体育館の前には村井と一人の男が立って談笑していた。


 僕が近づいていくと二人は会話をやめ、こちらを向く。

「やあ、今日は2時からだよね?」

「そうですね。それで今日は何を……」

 今日何をするのかも気になったが、隣に立つ男の事も気になりチラリとそちらを見る。

 それに気付いた村井が紹介してくれる。

「こちらは府警から来てる赤井さん。この後、協力してもらうつもりだからよろしくね」


 年齢は40歳くらいか。身長は村井より頭半分くらい高く190cmくらいありそうだ。体も筋肉質で100kgは超えているんじゃないだろうか。

「よろしく!」

 赤井はそう言って右手を出してきた。

 挨拶のときに握手をする習慣なんて無い僕は一瞬動揺するが、とりあえず両手で出された右手を握り返す。

「よろしくお願いします」

 赤井のゴツゴツした右手が軽く添えるだけの握手をしていた僕の手をがっしり掴む。

「いたたたっ!」

 赤井にとっては普通のようだが、僕は体育会系のノリにうんざりする。

 村井を見るとニヤニヤ笑っていた。


「じゃあ中で準備しながら話そうか」

 村井は体育館のドアを開け入っていく。僕と赤井もそれに続く。


 中には数人の研究員がいて、体育館の真ん中に格闘技で使うリングが設営してあった。

「リングがありますね」

「うん。今日は赤井さんと軽く戦ってもらおうと思って作ったんだ」

 赤井はリングの側に近づいて、リングの固さ・ロープの張りなどを確認している。

 隣にいるひょろひょろの研究員と比べると全く体格が違う。

「僕、人を殴った事とかないんですけど大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。スーツの時のキミの方が強いから」

 村井は笑っている。

 赤井は話が聞こえていたようで、こちらを向き睨んでいる。やる気十分だ……


「ルールは総合格闘技みたいな感じで。総合格闘技見た事ある?」

「ありますけど細かいルールまでは……」

「急所攻撃無しの何でもありって思えば大丈夫だよ」

「何でもありって大丈夫じゃないですよね?」

 赤井を見るとストレッチを開始している。すごく強そうだ……。


 村井は他の研究員からグローブを受け取り、僕に差し出してくる。

「じゃあ服脱いでこれ付けて」

「服脱ぐんですか?」

「脱がないとあのスーツの性能が落ちちゃうから」

「そうなんですか」

 しぶしぶパンツ一丁になりグローブを付ける。グローブは指が出るタイプのオープンフィンガーグローブと言われるやつだ。


 とりあえず僕もその格好でストレッチをしたりしながら時間まで体をほぐす。




 時間になり僕は赤井と向かい合って立っていた。

 赤井は上半身裸にハーフパンツ・ヘッドギア・グローブ・シューズという格好をしている。その格好に違和感が無いので着慣れているのだろう。

 対して僕はパンツ一丁にグローブだけだ。

「あの、僕のヘッドギアは?」

「キミはスーツ着るから大丈夫だよ」




 僕は不安に包まれながら、足元から噴き出した煙に包まれた。




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