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戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の仕事
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第16話

 宇宙科学研究所。


 ここが今僕がアルバイトしている(軟禁されている)場所だ。

 国からの予算を使い、方々から研究者を集い、宇宙進出を促進する為の施設だ。

 と、外向きにはなっているらしい。


 人の出入りを極力制限し情報の漏洩に努めるため、基本はここで働く者は居住スペースを用意され、そこで生活する事になっている。




 6月1日。

 僕がここに連れてこられてから1ヶ月程が経とうとしている。

 体の調子も大分良くなり、数日前から働き始めていた。




 朝6時。


 まだ覚めぬ頭のまま、僕は外に出る。

 このフロアの端にある台車の付いたかごを取りに行き、各部屋の前に置いてある洗濯物を回収していく。

 このフロアは独身男性(ここに勤めている者はほとんどが独身なのだが)用の居住スペースになっており、僕もここの一室に住んでいる。


 一階に降り、回収した洗濯物を洗濯機へ。スイッチを入れると次は本館へ向かう。


 本館一階にある食堂のドアを開け、さらに奥のキッチンへ入る。

「おはようございます」

 そこではすでに2人の女性が働いていた。




 一人は室谷桃子。

 彼女も僕と同じく、普段はここで働く者達の身の回りの世話などの雑務をしているらしい。

 警察学校を卒業し、看護士の資格も持っている。僕も先月はかなり世話になってしまった。

 大阪府警から出向していて階級は巡査で地方公務員だ。

 僕とは全然給料が違うのだろう……


 もう一人は長沢さゆり。

 ここでは不規則な生活をしている者が多く、いつでも食事が出来るように常に準備をしてくれている。

 みんなからは親しみを込めて「おかあさん」と呼ばれている40過ぎのおばちゃん(独身)だ。

 彼女も大阪府警から出向していて階級は巡査部長ということらしい。地方公務員だ。

 僕とは全然給料が違うのだろう……




「おはよー」

「おはようございます!」

 二人から挨拶が返ってくる。

「何かすることありますか?」

「今、桃ちゃんがやってる皮剥きやっといてくれる? 桃ちゃんは魚捌いといて」

「はーい。じゃあこれお願いしますね」

 二人は忙しそうに作業を進めているので、僕も黙々と皮を剥く。

「剥き終わったらどうします?」

「その人参と大根は豚汁用だから食べやすいように切っといて」

「わかりました」

 前に中華料理屋のバイトをやっていた事があるので難なく一口サイズに野菜を刻んでいく。

 キッチンの中には出汁の匂い、調味料の匂いが漂い出していた。まだ朝食を食べていないので食欲をそそる。

 切った人参と大根をそれぞれざるに入れ、まな板を洗いながら長沢に声を掛ける。

「切り終わったのここ置いときますね。洗濯終わったんで干しに行ってきます」

「うん、じゃあ3時頃にもう一回来てもらっていい?」

「あ、今日の2時から実験あるんで……」

 僕は苦笑いしながら言うと、長沢も理解して苦笑いになる。

「そっか。じゃあ無事だったらお願いね」

「わかりました」


 洗濯物を干し終え、8時半朝食。


 その後、昼まで適当な場所を掃除して回り、昼食を取る。


 一息ついて午後1時半、僕は敷地内に設置されている体育館へ向かった。




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