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戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の組織
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第10話

「前田君はあの黒いスーツの事、どれだけ理解してる?」

「あのスーツですか? あれ着てる時は体が軽いですね。あと力もかなり強くなってると思います」

 僕は強盗・窃盗していたときの事を思い出しながらスーツの事を話す。

 今更だが罪悪感が襲ってきて気分が落ち込む……


「今その状態になれる?」

「今はなれないです。指示が来た場所で時間になると急に足元から煙出てきて、煙が晴れたらあの状態になってるんです」

「そうなんだ。あのゴリラみたいなのについては?」

「あの人が隊長なんですけど、何回か現場で一緒になった事があるくらいです」

 ふんふんと頷いてメモを取る。


「すいません、みなさんって警察の方ですよね?」

「ああ、そうだぞ。俺が南でこいつが部下の山崎だ」

 さっきから後ろに立っているだけの山崎が会釈する。

「あとこの人が科学者の村井さんだ」

「ボク一応科学者じゃなくて工学者なんだけどね。どっちも似たようなもんだけど」

 村井は話し終えると、また手元に視線を戻し何かを書き込んでいる。


「おまえら奪った金はどうしてるんだ?」

「隊長がいるときは纏めてどっか持って行っちゃいます。空き巣とかする時は、駅にあるダイアル式のロッカーに入れて帰ってます」

「指定のロッカーがあるのか?」

「いや、適当に入れて帰ってます。どうしてるんでしょうね?」

「おまえ、かなり下っ端だな」

「すいません」

 舌打ちした後、睨まれてしまった……


「山崎! 空き巣とかあった場合は、その最寄駅のロッカーに怪しい奴が来ないか見張らせとけ!」

「はい! ちょっと本署にも顔出してきますね」

 返事をした山崎は村井に会釈し出て行った。


「あの、僕はどうなるんでしょうか?」

「そうだな……」

「前田君のマイクロチップがどの程度故障してるのか気になりますね。まずは通信が来るのを待つのがいいんじゃないでしょうか? 数日中には来るでしょうし」

「そうするか。じゃあまぁ今日はこんなもんで行くか」

「えっ? 僕はどうしとけばいいんですか?」

「テレビでも見とけばいいんじゃないか?」

 南は椅子から立ち上がり、出て行こうとする。

「ちょっと待って! この手錠外して下さいよ!」

「……まぁいいか」

 ベッドから手足が開放される。固まった筋肉を軽く揉み解す。

「あの、これも」

「それはそのままだよ! 逃げるなよ!」

 両腕に付けられた手錠はそのまま外されず、南は出て行ってしまった。

「何か変わった事があったらすぐに知らせてね」

 村井も続いて出て行く。




 残された僕は、とりあえずテレビのリモコンを手に取った。




 右腕に鋭い痛みが走ったのは2日後の午後6時の事だった。




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