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戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の組織
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第9話

「口拭いてもらっていいですか?」

 部屋には南、山崎、そして白衣を着た男性の3人が戻ってきていた。

「あぁ? 何でそんなに汚れてるんだよ」

 南はハンカチを出し、乱暴に僕の口元を拭ってくれる。

「痛い痛い!」

「おら、これでいいか! じゃあそろそろお前の知ってる事、話せ!」

 南はベッド脇の椅子に座り尋問を開始する。

「いやでも、なんでこんなことになってるのか僕にも分からないんです」

「郵便局のことは覚えてるんだろ?」

「……はい」

「じゃあ何が分からないんだ?」

「あの……なんで強盗なんかやってたのか……指示があって、強盗しに行くことが当たり前のような気がして」

 後ろに立っている山崎はメモを取りながら聞いている。


「誰に指示されてたんだ?」

「誰なんでしょう? 場所を指示されてただけなんで」

「ん? 指示してきた奴には会ってないのか? どうやって指示されてたんだ?」

「いきなり声が聞こえてきたんですけど……」


 そのとき、後ろに立っていた白衣の男が話し出した。

「前田君、今キミの頭の中と首の後ろにマイクロチップが埋め込まれてるから、それを通して聞こえてたんじゃないかな」

「はぁ!? マイクロチップ? なんで?」

 白衣の男は淡々と話す。

「今まで捕まえたキミ達のグループの人はみんな埋め込まれてたからね。それ使って何かやってるんじゃない?」


 ガシャン!

 触って確認したいが縛られた手錠によって腕を動かせない。

 もどかしい!


「今までの奴らは事件のことも覚えてなかったからな」

「僕は何で覚えてるんですか?」

「キミ、撃たれたときに頭が後ろに弾かれてたから、たぶん首の方だと思うけど故障したんじゃない?」

「たしかに首が痛いです」

「あとでコルセット持ってきてあげるよ」

「ありがとうございます。それよりマイクロチップ埋め込まれてるんですよね? 大丈夫なんですか?」

「ハハハ。大丈夫じゃないんじゃない」

 白衣の男は楽しそうだ。

「ちょっと何笑ってるんですか! それなら取ってくださいよ」

「取らない方が良いと思うよ」

「何でですか!」

「今まで何回か取ろうとしたんだけどね、爆発しちゃうから」

「えっ……爆発するんですか?」

「うん」

「爆発したらどうなるんですか?」

「……」

「……」

「……」

「それより前田君はあの黒いスーツの事、どれだけ理解してる?」




 爆発したらどうなっちゃうんだろう……




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