5話 近代兵器で冒険者?
いつまで毎日更新がやれるか、それが問題です。
人工建造物の正体は町の壁だった。つまり、あの中に町があると。町の中に入るのも良いが、まずはレベルアップをしようと思った。別に疲れている訳じゃないしね。てか、元気もりもり、若さっていいね・・てな感じだ。それにしても重かったはずだ。マシンガンが3丁もある。マガジンもわんさかだ。これ、重いからパスしようと脇に置いておいたリュックじゃないか。その代わりに、用意しておいたバランス栄養食のリュックが無い。はぁぁ、間違えたぁぁぁ・・
気を取り直す。無い物は諦めよう、そしてある物は有効活用しよう。てな訳で、マシンガンで狩りしてみよう・・これに決定した。試し撃ち・・タタン・・タタン・・良い感じ。ええと、魔物は何処だ・・【索敵】・・おお、頭の中にマップのようなものが・・赤い点が敵か、よしよし。しっかしファンファーレが無くても充分にゲーム的だなこれ。まあそれに慣れないようにすれば良いか。
そうして推定ゴブリン・・緑色の身体は某野菜王子の漫画で見た、触覚の生えたあの方みたいで、特にチビのほうにそっくりだ。向かってくるので・・タタン・・うは、即死か。なむなむ・・お、お前も来るのか。無理だと思うがなぁ・・タタン・・さようならだね。後はサイトで見たけど、解体して部位を確保する事と、魔石とやらが身体の中にあるはずだ。お、これか、小さいなこれは。豆粒かよ。次に部位だけど・・よく見るのは左耳だよな。けど、違ってたらヤバいから、それっぽい・・両耳と、牙と、角、これぐらいかな。
さて、これを何に入れようか。ビニール袋はかなりあるけどパスだ。石油製品とか不思議な袋って言われるだけだ。となると、それが入っていた紙袋、これも拙い。異世界は羊皮紙しかないってのが相場だからと、わざわざコピー用紙の大箱を持って来たぐらいだし。となると、タオルにするか。もったいないけど仕方が無いよな。よし、ちょっと半分にしよう。ええと、サバイバルナイフ・・あったあった。これこれ・・日本じゃ確実に銃刀法違反なんだよな。セーフハウスから出せなかった大降りのナイフだけど、まさか使える日が来るとはな。うん、切れ味抜群だ。耳とかスパッと綺麗に切れる。角もゴリッと、欠けるなよ、頼むから。牙は柄でコンコンと、よし、取れた。タオルに包んで、とりあえずこの袋に入れて、腰に括り付けて・・これで良し。さあ、次、言ってみよう~
こういう時に叫ぶのかな、あの台詞を。オレはさすがに嫌だけど、ちょっと、この、何だ、衝動が・・ちょっとだけ良いかな、うん、そうだよね。ヒャッハー・・誰も居ないよな。聞かれたら恥ずかしくて死にそうになるからな。ゴブリンが大量に出たから、フルオートで一掃しちまったんだけど、衝動に耐え切れずに叫んじまったと・・ちょっと自己嫌悪。身体の若さに精神が引っ張られたって、よくサイトで見たもんね。つまりは事故だ。不可抗力だ。
それはともかく、これで冒険者ってインチキだよな。まあ、オレは来たくて来た訳じゃないし、ある物の有効活用だし、まあ、良いかな。タオルに入りきれないぐらいに部位が溜まり、袋に直接入れる事にした。つまり、使い捨てだ。そうなるからタオルに入れてたのに、使い捨てはもったいなかったな。やっぱり町で色々買い揃えるべきだったか。まあいいや、さて、町に行ってみますかね。
「身分証明を出してくれ」
「あー、その、つまりな」
「無いのか?お前、まさか」
「いや、そのな、襲われたんだよ、魔物に。でな、戦ってたんだ。ほら、ナイフに血が付いてるだろ。でな、応援が来てな、ヤバいから逃げる時に荷物が重くてな、殺されそうになったから荷物を魔物にぶつけてな、その隙に必死で逃げたんだ。本当だぞ」
「そんなに必死に言われると、逆に怪しく思われるぞ」
「だって殺されるかと思ったんだぞ」
「ああ、分かった分かった。だが、身分証明が無いとちょっと面倒になるのは分かるよな」
「全てお任せします」
「よし、なら冒険者ギルドで再発行からか」
「あいや、冒険者になってないんだ。オレ、ずっと田舎の村で住んでたし、小さな村だからギルド無くてさ」
「町で一旗揚げようと思ったか」
「死ぬまであんな小さな村とかあり得ないって」
何とか誤魔化せたようでなによりだ。でも、門番は付いて来るんだよな。つまり、身分証明が無いとこうやって監視が付くんだな。そこまでするって事は、大抵の者は持っていてしかるべきアイテムだと。となると、商人も住民も誰も彼もが持っていて、持ってないのは泥棒とか、前科者とか、そんな感じなんだろう。うん、それなら監視の意味も分かる。
「で、門番さん」
「サキュエラだ、サクと呼ばれている」
「んじゃサクさん」
「なんだ」
「ギルド何処」
「お前、知らずに歩いてたのか」
「だって村から来たばかりだと言っただろ」
「オレもおかしいとは思ったんだが、お前、ズンズン歩くから知ってるのとばかり思ってな」
「で、何処」
「あそこの通りを右に曲がってな、4軒目の右手の建物だ」
「ありがと、サクさん」
「ほれ、とっとと行くぞ」
「あいよ」
「しかし何だな」
「うえっ」
「妙に変わった服だな」
「田舎の村に商人が来てな、これが都会の流行とか言われてよ」
「お前、騙されたんだな」
「うぇぇ、違うのかよ」
「そんな服は見た事が無いぞ」
「あの野郎、今度会ったら芋で叩いてやる」
「何だそれは」
「うちの田舎の懲罰でな、芋で叩かれた奴はしばらく誰も口を利いてくれないんだ」
「また変わった決まりがあるんだな」
よしよし、かなり辺鄙な村だと思ったな。服の誤魔化しも何とかいけたし。しっかし、ツアーで口八丁やってたせいか、妙に口が巧くなってる気がするな。こっちの事は全部嘘でした、なんて言ったら半殺しにされそうだな、クククッ。おっとここか。酒場風じゃないな。でも役所って感じじゃない。さて、テンプレだと絡んで来るんだよな。ああ、門番が居るからそれは無いか。
「いらっしゃいませ」
「新規登録一丁」
「くすくす、はい」
「これで良いのかな」
「えと、何て書いてあるのですか」
「あー、田舎じゃこれ使ってけど、古文書の文字なんだよな。だから使えないかもって、やっぱりそうか」
「それでしたら代筆になりますね」
「頼むな。村人全員これだからさ、誰にも教われなかったんだ」
「相当田舎、失礼、だったのですね」
「いいよ、本当の事だし」
「まずは名前ですね」
「セガールだけど、セガって縮めるのは禁止な」
「あはは、はいはい。それで、住まいと年齢ですけど」
「宿屋住まいで、年齢は内緒」
「そういう方も居ますけど、見た感じ・・22ぐらいですかね」
「それでお願い」
「くすくす、もっと上なんですね」
「うっ・・」
「まあ、構いませんよ。こういうのは参考ですから」
「ありがとー」
「はい、それで終わりですけど、登録料はどうなんでょう」
「ああ、こいつ、荷物置いて逃げて来たらしい」
「となると、貸金契約ですか」
「お前、知らないと思うから言ってやるが、貸金契約は阿漕だからな」
「私もそう思いますけど、これが決まりなので、ごめんなさいね」
「全部合わせていくら」
「銀貨20枚ですけど、10日後に倍にしてください」
「10日で倍?」
「な、阿漕だろ」
「都会の厳しさを知りました」
「良いか、どうても作れなかったらオレを頼れ。特別に助けてやる」
「ありがとう、サクさん」
「払えないと奴隷落ちだからな」
「こりゃ必死で作らないと」
「当てはあるのか」
「爺さんに貰った遺跡で取れた財物が少し」
「ならな、ギルド裏手の買い取りの店がある。良いか、2軒並んでいるから右側だぞ」
「分かりました」
「ではこれに指を入れてください」
「あいよ・・あいたっ」
「くすくす、ごめんなさいね。血で登録するので」
「舐めときゃ治るさ」
チュパチュパと指を舐めながら説明を聞く。冒険者には初級、中級、上級、そして最上級という種別があると。そしてランクが1から10までになっていて、初級の1が最低ランク、10になったら中級試験を受けて受かれば中級の1になるらしい。そして中級の10で上級試験を受けて受かれば上級の1になり、そして10になった時・・その後が問題だ。最上級になるには特別な試験を受けるのだと。参考までにと教えてくれたのが、受験資格。これは、王都民以上である事、ドラゴンの討伐経験がある事、王都に住居がある事。大体、ドラゴンなど倒せるものではないので、これは幻の種別に近いのだと教わった。
とにかく、冒険者になりました。
異世界案内人って、詐欺だったんですね。嘘から出た真になったみたいです。