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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
最終章 世界と未来と日常と
44/45

番外編 2×××年

可能性のひとつとしての話です。



「この提案書に目を通しておいてください」

「これが生徒の要望という訳か」

「それをまとめたものです」

「分かった」



それにしても変な事を考えたものだ。全ての競技を肩車をしてとか無理だろうに。それに危険でもある。例えはリレーで肩車は良いが、転倒した場合、上の者は避けようがないぞ。確かにパン食い競争で、上の者に食わせるようにすると言うアイディアは面白いが。ただ、身体の小さな子が人気になるという、この点だけは良いアイディアだとは思うな。普段は身長の事を悩んでいる子も、この日だけは花形になれるのだ。体重が軽くて小さな子ほど、引っ張りだこになるだろう。それで仲良くなれば、普段の生活にも影響が出れば・・いじめ対策にもなりそうだな。ううむ、どうするべきかな。


これもまた変なアイディアだな。全員性別逆転での競技と言われてもな。身頃の似た者で制服交換な・・確かに面白いとは思うが、これで変な趣味に目覚められても困るぞ。もっとも潜在的な興味はあるだろうし、大っぴらにそれがやれる機会を与えてやるという、その趣旨も面白くあるが・・まだ男装のほうは良いが、女装が拙くないかな。あれぐらいの子は敏感だからな、制服だけなら良いが、下着にまで拘る子が出ないとも思えない。そんなものを着用するだけで、変な気になるのではないか。


な・・何だこのアイディアは。却下だ、却下。何を考えている。誰が考えたのだ、こんなもの。しかもこれが要望をまとめたもの?冗談ではないぞ。こんなものを採用したら、上が黙ってないぞ。下着で体育祭など却下だ。大体、教師には地獄になるぞ。普段でも若い肢体に目のやり処に困る事が多々あると言うに、そのような姿での競技などされては・・見てみたいがな・・


これもふざけておるとしか思えん。これは要望ではなく、欲望だろうに。このような物は除外してくれねばな。選考にも値せんぞ。このような我慢大会など、上に知られれば即座に中止になるだろうし、そもそも父兄が黙ってはおるまい。全く、どんなエロガキが考えたのかは知らんが、女生徒の色気で男子生徒を誘惑し、射精をしたほうが負けとか・・こんなものを企画するだけで、下手をすると捕縛にもなりかねん。ふうっ、理性はそうだが、本能は訴えるな。若い者の発想と言うのは全く・・


ううう、どうなっておるか。あれぐらいの年頃は、これ程までに欲望が強いのか。ワシの若い頃はこれ程ひどくは・・まあなぁ、ワシらの頃は泡の国もありはしたし、今ほどにきつくはなかったからな。かく言うワシも中学の頃に近所の姐さんに・・今はどうしておるかの。何度かはしたが、あれっきりになって・・今なら確実に・・


ほんに今の法はそれこそ我慢大会にも等しいな。あれ程に縛られては、さぞかし辛かろう。本来ならその手の発散もさせてやりたいが、こうも雁字搦めではどうしようも出来ん。しかもこれで少子化とか言うのだから、ふざけているとしか思えんな。結婚可能年齢の引き上げから始まったあの狂ったような法改正は、今ではもう狂気の法と外国での噂にもなっているという。


現在の法では男女とも20才になるまでは結婚出来んし、未成年の性行為は重罪だしな。まさか高卒の男女の性行為で懲役8年の実刑などと・・これでどうやって人口を増やせと言うのだ。世間からその手の情報は失われ、ネットでもチラリとでも出せば即座に検挙されると聞く。しかも少子化対策というのも狂っておるし、この国の未来はどうなってしまうのか。


少子化対策法案か・・こんなもの、まともな頭の持ち主の考えではあるまい。世間からその手の情報を締め出し、あぶれた者を検挙し、重罪にして投獄し、牢獄では男女共に服を着る事もなく、ひたらす生殖させられて・・これでは家畜ではないか。


しかも世間ではあれを楽園と称しておる者まで居ると聞く。わざと性犯罪を犯し、投獄を望んで家畜の身となるのを望むか。あの中には人権すら無いと言うに、それでも望むとは、本当に世も末だな。


「それで、考えはまとまったか」

「うむ、もう未練は無い」

「そうか、なら来い。あっちは大らかだぞ」

「あの子らも後には望むかの」

「望めば脱出させてやるさ、こんな狂った国からな」

「確かに狂っておるが、そなたも原因のひとつではないかの」

「ふふん、規制するのが悪いんだ。規制しなければ逃げる事もあるまい」

「して、どれぐらい送ったのだ」

「あっちには日本人主体の町が8つはあるぞ。それぞれ人口は数万と言ったところか」

「好奇心の強い、また活力の強い、そういう子達を誘致した結果、今のこの国になったのではないかの」

「それはこの国の責任だ。魅力の無い国に誰が住みたがる。性欲など人の三大にまで入る欲だぞ。そんなものを抑制など意味が無い」

「それは分かるが、あっちではどうなっている」

「結婚年齢すらねぇよ」

「なんだと」

「双方が望むなら、5才同士でも結婚出来るって言ってんだ」

「だがそれでは生活出来まい」

「だからそれが自然と決まりみたいになってんのさ。法で規制するんじゃなくて、生活が可能になったら結婚するってな」

「確かに合理的だな」

「あっちは命が軽いからな、下手な犯罪は殺されちまうしよ」

「とんでもないのぅ」

「やっぱりな、そういうムチは必要だと思うのさ。殺されるから犯罪をしないってのもひとつの抑制だろ」

「極論のようだが、一理あるか」

「ま、あんたも行けば分かるさ」

「うむ、お願いしよう」



   ○●○



「決まったか」

「うん、オレ達、全員お願い」

「全てを捨てる覚悟はあるんだな」

「僕ね、美代ちゃんと結婚したいんだ」

「美代子はどうなんだ」

「当然ね。それを許さないこの国に未練は無いわ」

「よし、今日の夜、ここに来い。いいか、見つかるなよ」

「「はいっ」」



世界人口調整委員会は未来でも活動しているようです。


これは移民か亡命か・・

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