番外編 ちょっと危険な会話
「もうこの辺りも終わりだな」
「次は何処にする」
「北はちょっとな」
「となると西か」
「このまま終わりでも構わんが、送りだけは継続せんとな」
「魔物の巣窟送りか」
「別に構わんだろ。魂だけあれば構造体の構築など容易いんだろ、上にとっては」
「そりゃそうだけどよ」
「ありゃ確かに難しいが、構造を熟知すればやれない事も・・」
「うお、マジかよ。お前、あれは管理のスキルだぞ、本来」
「なんだ、やれないのか?ハモン」
「いや、まあ、オレは一応な」
「いやな、なんと言うか、あの新型錬金術にもかなり慣れてな、普通の構築はまともにやれるようになったんだが、生物の構築がイマイチでな」
「いや、だから人間の構築は難易度が高いんだってばよ」
「お前、あんな世界にも経験があるのかよ」
「え、オレ今、何か言ったか」
「しかも主人公とはまた、クククッ」
「待てよ、オレ、何か余計な事を・・」
「知らないってばよ」
「うおおおおお、しまったぁぁぁぁ」
「そうだよな、元は刀鍛冶、そういうのにも憧れると言うか」
「い、いやな、それはな、短時間と言うかな、すぐに交代になっちまってな」
「そりゃそうだろ」
「そりゃそうってどういう意味だ」
「あの主人公が刀フェチとか、寡聞にも知らないぞ」
「フェチじゃねぇぇぇ」
「なら、お前の部屋のあるあの刀の数は一体なんだ」
「あれはな、作者ごとに色々と味わいがあってだな、いわゆる参考資料と言うかな」
「そういうのをフェチと言うんじゃないのか」
「ゆくゆくは造りたいんだよ、自分の刀をよ。だからその為の資料と言うか」
「お前なら魂の篭った刀が作れそうだな」
「そ、そうか、そう思うか」
「今の評判はあんまり良くないが、立派な刀を造って見返してやれ」
「おっしゃ、造ってやるぜぇぇ」
「頑張れよ、評判の挽回を」
「あんな世界には行ってねぇぇぇぇ」
「お前、ちょっと過敏になってねぇか」
「お前こそ、わざと言ってねぇか」
「偶然に反応されてもな」
「けどよ、魂の篭ったとか、そのつもりで言ったんだろ」
「普通、言わないか?そういう言い回し」
「そりゃ言うけどよ、あの場合はは違うだろ」
「まあ待て、お前の過敏度テストをしてやろう」
「また何か企んでねぇか」
「それこそ過敏って事だが、まあいい。連想テストな。オレが言った言葉で思い付く事を考えずに言うんだぞ」
「お、おお、まあ、良いけどよ」
「延暦寺」・・「比叡山」
「天狗」・・「鞍馬山」
「菅原道真」・・「くわばらくわばら」
「レールガン」・・「れいが・・てめぇぇ、やっぱりわざとだろ」
「そうか、あんな世界も体験したのか」
「やっぱりかよっ」
「いや、悪かった。ちょっと、調子に乗ってな」
「もうその話は無しだぞ」
「元はと言えば、お前が誘い水を撒いたからな」
「あんなもんに普通、気付くかよ」
「周囲があんな奴らばかりなんでな、ついついそういうのを探すようになっちまってよ」
「いかにも自分は違うと言いたげだな」
「ほお、否定しないとはな。つまり認めているんだな、自分がその手の趣味持ちだと」
「いや、それはな。くそぅぅ」
「そうかそうか、あの時は後輩の趣味に付き合っているだけと言ってたが、本当は自分の趣味で」
「うがぁぁぁぁ」
「落ち着け、ハモン」
「はぁはぁはぁ」
「実のところを言うとな、オレも人の事は言えなくてな」
「お、認めたな」
「おうっ、オレはロリコンだ」
「そんなのとっくに分かってるぞ」
「あれ、そうだったか」
「今更の話だ」
「最近、新しい女が出来てな」
「ほお、何才だ」
「まず年齢から聞く奴はロリコンって統計があってな」
「オレはロリコンじゃねぇぞ」
「普通はどんな女だ、って聞くんだよ」
「だから違うと言ってるだろ」
「いーや、お前はロリコンだ」
「絶対に違う」
「ならお前、ここじゃあ女が出来ないな」
「出来ないじゃなくてな、作らないんだ」
「そうだよな、お前がこの星の最年長だし」
「待てよ、それって、魂の年齢の話かよ」
「なんだい、お爺さんや」
「やーめーろー・・精神が老けたら終わりなんだぞ。だから殊更に若い言葉使ってんのに、そんな話はやめろー」
「ねぇ、新しい彼女って何の事?」
「それはこのナイフだ。この滑らかな曲線といい、冷たい感じといい、実にそそるだろ」
「そうね、どんな人が造ったんだろうね」
「てめぇ、オレの部屋から持ち出しやがったな」
「おう、悪かったな、お前の彼女なのに」
「だからフェチじゃねぇと言ってるだろ」
「じゃあもらって良いな」
「そ、それは、待て、それは高かったんだ」
「だから大事に枕の下に敷いて寝てんのか」
「うわぁ、キモーい」
「あれは違うっ、ただの癖だ」
「そうなんだってばよ」
「あはは、そういう訳なのね」
「くそぉぉぉぉぉ」
「それでな、こいつ、連想ゲームに弱くてな」
「あん時だけだ」
「なら言うぞ・・芸能人」・・「スター」
「スターの生命線」・・「人気」
「大勢の」・・「敵の・・うっ、くそぅぅぅ」
「あははは、本当に弱いのね」
「うがぁぁぁぁ」
「連想ゲームに弱いのは致命的だぞ」
「そこまで言う事はねぇだろ」
「簡単に誘導尋問に乗っちまって、ペラペラと白状する。そんなんで犯人代行とかやれる訳ねぇだろ」
「いや、だからな、そこはアリバイがあるからいけるだろ」
「犯人はお前だ「そんな世界には行ってねぇぇぇ」
「本当に過敏ね」
「そうだろ、オレの話を遮ってあんな調子なんだよ」
「まだ続きがあったのかよ」
「犯人はお前だ、と言われて動揺して、すぐに激高してバレちまう。今みたいにな」
「うっく・・」
「確かにアリバイという逃げ道もあるけどよ、共同正犯の片割れを探されたら厄介だろ」
「そんなの探されてもお前には行かないだろ」
「オレは人消し、そして犯人も消える。さてその関連は?」
「う・・それは」
「確かにオレのほうも証拠はねぇけどよ、アリバイもねぇんだよ」
「どうしてだよ」
「現場で穴を開けてるからだ」
「あれ、スマホの映像で開けてなかったか」
「あれ、きついんだ。やっぱ自分の目で見ないとな」
「いや、そもそも、オレの周囲は分かるんじゃなかったのか」
「つまりな、コントロールの問題でな、自分がそこに行く場合は良いんだけど、現地での穴の場合は誤差があってな、゜お前の下に作ったらヤバいだろ」
「うおぃ、いきなり足の下に穴とか、さすがに防げねぇんだぞ」
「だからだよ。だからお前の近くにオレが飛んで、直視で穴開けてんだ。だからアリバイ作りながらとかやれねぇから、関連だけはヤバいんだってばよ」
「うっ・・分かったからその語尾やめろ」
「本当に過敏だな」
「けどよ、転移なんてものの立証とか、普通はやれないだろうし、とぼけたら証明出来ないから、それまでの話だろ」
「だからな、お前はまだ良いが、オレには別件があるんでな。異世界観光って名で人を消してるからな、拉致だの監禁だの誘拐だのと疑われるのは拙いだろ」
「それこそただの疑いだろ」
「人が行方不明になるたびに捜査されてみろよ、いちいちウザいだろ。ツアー企画に毎回来られたら、とぼけるのも大変だぞ」
「いや、付いて来られたらそもそも無理だろ」
「いいや、そん時はな、そいつにこそっと指示を送るんだよ。あそこにあるから、オレ達と離れて潜れと」
「餌撒きはやれんな」
「だから終わりになっちまうから、もう送りだけにしてもって最初の話になるんだろうが」
「オレ関連でそうなるって話かよ」
「無差別なら話は簡単だぞ。刑務所の中に穴を開けてやれば、時々人の消える恐怖の刑務所になるからな」
「そりゃ確かに簡単な話だな」
「まあそういう陽動をやりながらって手もありはするが、とにかく、関連だけは探られないようにしないとな」
「もう捜査員消しちまえよ」
「お前も危険な奴だな。そんな事をしたら治安が下がるだろ」
「お前がこの国の治安について考えるほうが変だぞ」
「妙に公僕に敵意を持ってないか?その手の世界を巡り過ぎて、過敏になってるとしか思えんな」
「もうその話はやめろー」
「とにかくだな、現行の法で無理でもな、現行犯って抜け道があるんだよ。おとりで異世界に行きたいとか言われたら、防ぎようがないだろ」
「そんなのは消しちまえば良いだろ」
「ペアで片方が消えるところを盗撮されて送信されて、その場で現行犯でもか」
「だからそいつも送ればよ」
「情報の送信者まで消えちまったら、立証は出来なくても確定になっちまう。そうしたら元々裏の商売って事で、別件で攻めて来るに決まってるだろ」
「お前、税金はどうなってんだ」
「そんなの払う訳無いだろ」
「ちゃんと払えば問題無いんだろ」
「事業内訳とか書けないだろ。転送って何だと言われたら終わりだ」
「観光ツアーで良いだろ」
「あれ、認可だろ、くれると思うのか」
「うっく・・」
「個人的な観光案内で、メル友の友好での一環で、金は現地での食事代や交通費を払ってくれている、って事になってんだからよ」
「額が額だからヤバいと」
「ああそうだよ。500万とか300万とか、国内日帰り旅行でそんな金、あり得ないと言われるだけだ」
「あのブログがヤバいんだろ、そもそも」
「あんなのは絵空事で通じるんだよ。それを本気にしてくれるからこそ、助かってるんだろ。あれ無しにとかどうやって宣伝するんだよ」
「あのな、小説サイトってのがあってな、そこに小説風に連絡先を書けばいけると思うんだがな」
「じゃあ何か、異世界ツアーとかって名前の小説書いて、連絡先をチョロッとさりげなく書けばいけると思うんだな」
「おう、その手の奴らはそういうのに興味を持つからな、もしかしてと連絡してくる可能性は高いぞ」
「ただな、オレには描写の才能が無くてな。先日の娘の結婚式の祝辞もやれなくてよ」
「うっく・・」
「しかもネーミングセンスもまだ治ってないだろ。そんな奴が小説書いたとして、人気なんか出ると思うか?」
「ならよ、とりあえず小説書いてよ、人気が出た頃に連絡先ってやれば良いだろ」
「練習かよ」
「おう、やれば巧くなるってばよ」
「また水を撒くのかよ」
「な・・嘘、また、うがぁぁぁぁ、しまったぁぁぁ」
「やれやれ」
えー、連絡先は・・嘘です、ごめんなさい。




