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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
最終章 世界と未来と日常と
43/45

番外編 ちょっと危険な会話

 

「もうこの辺りも終わりだな」

「次は何処にする」

「北はちょっとな」

「となると西か」

「このまま終わりでも構わんが、送りだけは継続せんとな」

「魔物の巣窟送りか」

「別に構わんだろ。魂だけあれば構造体の構築など容易いんだろ、上にとっては」

「そりゃそうだけどよ」

「ありゃ確かに難しいが、構造を熟知すればやれない事も・・」

「うお、マジかよ。お前、あれは管理のスキルだぞ、本来」

「なんだ、やれないのか?ハモン」

「いや、まあ、オレは一応な」

「いやな、なんと言うか、あの新型錬金術にもかなり慣れてな、普通の構築はまともにやれるようになったんだが、生物の構築がイマイチでな」

「いや、だから人間の構築は難易度が高いんだってばよ」

「お前、あんな世界にも経験があるのかよ」

「え、オレ今、何か言ったか」

「しかも主人公とはまた、クククッ」

「待てよ、オレ、何か余計な事を・・」

「知らないってばよ」

「うおおおおお、しまったぁぁぁぁ」





「そうだよな、元は刀鍛冶、そういうのにも憧れると言うか」

「い、いやな、それはな、短時間と言うかな、すぐに交代になっちまってな」

「そりゃそうだろ」

「そりゃそうってどういう意味だ」

「あの主人公が刀フェチとか、寡聞にも知らないぞ」

「フェチじゃねぇぇぇ」

「なら、お前の部屋のあるあの刀の数は一体なんだ」

「あれはな、作者ごとに色々と味わいがあってだな、いわゆる参考資料と言うかな」

「そういうのをフェチと言うんじゃないのか」

「ゆくゆくは造りたいんだよ、自分の刀をよ。だからその為の資料と言うか」

「お前なら魂の篭った刀が作れそうだな」

「そ、そうか、そう思うか」

「今の評判はあんまり良くないが、立派な刀を造って見返してやれ」

「おっしゃ、造ってやるぜぇぇ」

「頑張れよ、評判の挽回を」

「あんな世界には行ってねぇぇぇぇ」





「お前、ちょっと過敏になってねぇか」

「お前こそ、わざと言ってねぇか」

「偶然に反応されてもな」

「けどよ、魂の篭ったとか、そのつもりで言ったんだろ」

「普通、言わないか?そういう言い回し」

「そりゃ言うけどよ、あの場合はは違うだろ」

「まあ待て、お前の過敏度テストをしてやろう」

「また何か企んでねぇか」

「それこそ過敏って事だが、まあいい。連想テストな。オレが言った言葉で思い付く事を考えずに言うんだぞ」

「お、おお、まあ、良いけどよ」

「延暦寺」・・「比叡山」

「天狗」・・「鞍馬山」

「菅原道真」・・「くわばらくわばら」

「レールガン」・・「れいが・・てめぇぇ、やっぱりわざとだろ」

「そうか、あんな世界も体験したのか」

「やっぱりかよっ」





「いや、悪かった。ちょっと、調子に乗ってな」

「もうその話は無しだぞ」

「元はと言えば、お前が誘い水を撒いたからな」

「あんなもんに普通、気付くかよ」

「周囲があんな奴らばかりなんでな、ついついそういうのを探すようになっちまってよ」

「いかにも自分は違うと言いたげだな」

「ほお、否定しないとはな。つまり認めているんだな、自分がその手の趣味持ちだと」

「いや、それはな。くそぅぅ」

「そうかそうか、あの時は後輩の趣味に付き合っているだけと言ってたが、本当は自分の趣味で」

「うがぁぁぁぁ」

「落ち着け、ハモン」

「はぁはぁはぁ」

「実のところを言うとな、オレも人の事は言えなくてな」

「お、認めたな」

「おうっ、オレはロリコンだ」

「そんなのとっくに分かってるぞ」

「あれ、そうだったか」

「今更の話だ」





「最近、新しい女が出来てな」

「ほお、何才だ」

「まず年齢から聞く奴はロリコンって統計があってな」

「オレはロリコンじゃねぇぞ」

「普通はどんな女だ、って聞くんだよ」

「だから違うと言ってるだろ」

「いーや、お前はロリコンだ」

「絶対に違う」

「ならお前、ここじゃあ女が出来ないな」

「出来ないじゃなくてな、作らないんだ」

「そうだよな、お前がこの星の最年長だし」

「待てよ、それって、魂の年齢の話かよ」

「なんだい、お爺さんや」

「やーめーろー・・精神が老けたら終わりなんだぞ。だから殊更に若い言葉使ってんのに、そんな話はやめろー」





「ねぇ、新しい彼女って何の事?」

「それはこのナイフだ。この滑らかな曲線といい、冷たい感じといい、実にそそるだろ」

「そうね、どんな人が造ったんだろうね」

「てめぇ、オレの部屋から持ち出しやがったな」

「おう、悪かったな、お前の彼女なのに」

「だからフェチじゃねぇと言ってるだろ」

「じゃあもらって良いな」

「そ、それは、待て、それは高かったんだ」

「だから大事に枕の下に敷いて寝てんのか」

「うわぁ、キモーい」

「あれは違うっ、ただの癖だ」

「そうなんだってばよ」

「あはは、そういう訳なのね」

「くそぉぉぉぉぉ」

「それでな、こいつ、連想ゲームに弱くてな」

「あん時だけだ」

「なら言うぞ・・芸能人」・・「スター」

「スターの生命線」・・「人気」

「大勢の」・・「敵の・・うっ、くそぅぅぅ」

「あははは、本当に弱いのね」

「うがぁぁぁぁ」





「連想ゲームに弱いのは致命的だぞ」

「そこまで言う事はねぇだろ」

「簡単に誘導尋問に乗っちまって、ペラペラと白状する。そんなんで犯人代行とかやれる訳ねぇだろ」

「いや、だからな、そこはアリバイがあるからいけるだろ」

「犯人はお前だ「そんな世界には行ってねぇぇぇ」

「本当に過敏ね」

「そうだろ、オレの話を遮ってあんな調子なんだよ」

「まだ続きがあったのかよ」

「犯人はお前だ、と言われて動揺して、すぐに激高してバレちまう。今みたいにな」

「うっく・・」

「確かにアリバイという逃げ道もあるけどよ、共同正犯の片割れを探されたら厄介だろ」

「そんなの探されてもお前には行かないだろ」

「オレは人消し、そして犯人も消える。さてその関連は?」

「う・・それは」

「確かにオレのほうも証拠はねぇけどよ、アリバイもねぇんだよ」

「どうしてだよ」

「現場で穴を開けてるからだ」

「あれ、スマホの映像で開けてなかったか」

「あれ、きついんだ。やっぱ自分の目で見ないとな」

「いや、そもそも、オレの周囲は分かるんじゃなかったのか」

「つまりな、コントロールの問題でな、自分がそこに行く場合は良いんだけど、現地での穴の場合は誤差があってな、゜お前の下に作ったらヤバいだろ」

「うおぃ、いきなり足の下に穴とか、さすがに防げねぇんだぞ」

「だからだよ。だからお前の近くにオレが飛んで、直視で穴開けてんだ。だからアリバイ作りながらとかやれねぇから、関連だけはヤバいんだってばよ」

「うっ・・分かったからその語尾やめろ」

「本当に過敏だな」





「けどよ、転移なんてものの立証とか、普通はやれないだろうし、とぼけたら証明出来ないから、それまでの話だろ」

「だからな、お前はまだ良いが、オレには別件があるんでな。異世界観光って名で人を消してるからな、拉致だの監禁だの誘拐だのと疑われるのは拙いだろ」

「それこそただの疑いだろ」

「人が行方不明になるたびに捜査されてみろよ、いちいちウザいだろ。ツアー企画に毎回来られたら、とぼけるのも大変だぞ」

「いや、付いて来られたらそもそも無理だろ」

「いいや、そん時はな、そいつにこそっと指示を送るんだよ。あそこにあるから、オレ達と離れて潜れと」

「餌撒きはやれんな」

「だから終わりになっちまうから、もう送りだけにしてもって最初の話になるんだろうが」

「オレ関連でそうなるって話かよ」

「無差別なら話は簡単だぞ。刑務所の中に穴を開けてやれば、時々人の消える恐怖の刑務所になるからな」

「そりゃ確かに簡単な話だな」

「まあそういう陽動をやりながらって手もありはするが、とにかく、関連だけは探られないようにしないとな」

「もう捜査員消しちまえよ」

「お前も危険な奴だな。そんな事をしたら治安が下がるだろ」

「お前がこの国の治安について考えるほうが変だぞ」

「妙に公僕に敵意を持ってないか?その手の世界を巡り過ぎて、過敏になってるとしか思えんな」

「もうその話はやめろー」





「とにかくだな、現行の法で無理でもな、現行犯って抜け道があるんだよ。おとりで異世界に行きたいとか言われたら、防ぎようがないだろ」

「そんなのは消しちまえば良いだろ」

「ペアで片方が消えるところを盗撮されて送信されて、その場で現行犯でもか」

「だからそいつも送ればよ」

「情報の送信者まで消えちまったら、立証は出来なくても確定になっちまう。そうしたら元々裏の商売って事で、別件で攻めて来るに決まってるだろ」

「お前、税金はどうなってんだ」

「そんなの払う訳無いだろ」

「ちゃんと払えば問題無いんだろ」

「事業内訳とか書けないだろ。転送って何だと言われたら終わりだ」

「観光ツアーで良いだろ」

「あれ、認可だろ、くれると思うのか」

「うっく・・」

「個人的な観光案内で、メル友の友好での一環で、金は現地での食事代や交通費を払ってくれている、って事になってんだからよ」

「額が額だからヤバいと」

「ああそうだよ。500万とか300万とか、国内日帰り旅行でそんな金、あり得ないと言われるだけだ」

「あのブログがヤバいんだろ、そもそも」

「あんなのは絵空事で通じるんだよ。それを本気にしてくれるからこそ、助かってるんだろ。あれ無しにとかどうやって宣伝するんだよ」

「あのな、小説サイトってのがあってな、そこに小説風に連絡先を書けばいけると思うんだがな」

「じゃあ何か、異世界ツアーとかって名前の小説書いて、連絡先をチョロッとさりげなく書けばいけると思うんだな」

「おう、その手の奴らはそういうのに興味を持つからな、もしかしてと連絡してくる可能性は高いぞ」

「ただな、オレには描写の才能が無くてな。先日の娘の結婚式の祝辞もやれなくてよ」

「うっく・・」

「しかもネーミングセンスもまだ治ってないだろ。そんな奴が小説書いたとして、人気なんか出ると思うか?」

「ならよ、とりあえず小説書いてよ、人気が出た頃に連絡先ってやれば良いだろ」

「練習かよ」

「おう、やれば巧くなるってばよ」

「また水を撒くのかよ」

「な・・嘘、また、うがぁぁぁぁ、しまったぁぁぁ」

「やれやれ」


えー、連絡先は・・嘘です、ごめんなさい。

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