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番外編 描写の才能
『それは長い冬から解き放たれて、目覚めの時を迎えた可憐な花のように、今、少女は芽吹きの時を迎えて・・』
『はい、ボツ』
またである。毎回、持参しても数行でボツになる。今回は特に酷かった。僅か1行でボツにされ、理由を聞くと妙に情けなくなってくる。
『あんたは描写が下手だと言ったでしょ』
『だからそれはこうして』
『なんかさ、下手な奴がこねくり回している感じがミエミエなのよ。もっと自然な描写を勉強なさい』
『そう言われても、こちらとしては精一杯・・』
『とにかく、こんな調子じゃ、とても使う訳にはいかないわ』
『頑張ってきます』
『もう、来なくて良いから』
『そんなぁ・・』
いよいよ最後通牒を受け取ってしまったか。もう少し何とかなると思ったが、才能が無いらしいな。
「ねぇ、書けた?」
「ボツにされた」
「もう、諦めたら?」
「しかしな、大事な娘の結婚式の祝辞だぞ」
「そりゃ、自分の言葉で送りたいのは分かるけどさ、向き不向きってものがあると思うのよ」
「あーあ、残念だなぁ」
ブルマン家は今日も平和です。
描写の才能かぁ、欲しいなぁ。




