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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
最終章 世界と未来と日常と
40/45

番外編 叫び声の正体

まさかの経理部長さん再登板。でも相変わらず名前はありません。


 

『ぐああああああ・・』






どうしても癒着の実態が掴めなかった経理部長は、それでも何とかあの領地のアラを見つけようと、密かに潜入を試みようとしていた。

別に彼に特別な何かがある訳ではなく、ただ黒金貨5000枚という莫大な額を、一括で出せる新興貴族の財力の一端を掴もうとした、ただの興味に端を発していただけの思いであったが、さっき聞こえてきた叫び声によって、やはり何かあるのでは無いかと思い始めていた。






『もう・・許してくれぇぇぇ』






またである。人里離れたこんな森の奥で、一体どんな惨い事が行われているのか、彼はそれを掴もうと森に侵入を試みる。

だが、そこには妙に触れると痛い金属のラインが施されていて、トゲトゲのそれには何かの肉片がこびり付いていた。

それを被害者の物だと思った経理部長は、これこそがこの領地の恥部であると確信し、何とか潜り込もうと躍起になる。






『勘弁してくれぇぇぇ』






早く助けてやろうと、少し無理した経理部長は、背中にギザギザが触れて痛みを覚えていた。

じくじくとした痛みの中、叫び声が聞こえた辺りに向けてじりじりと進んでいく。

どんなひどい現場でも耐えてみせると覚悟しながら・・







『うわぁぁぁ、死ぬ、死ぬ、死んでしまうぅぅ』







今行くぞ、待ってろよ・・えっ・・なに・・これは・・なに・・それの・・どこが・・悲鳴を・・上げる・・必要が?・・えええっ?








「まさかケモナーって、魔物すら愛する存在とは知らなかったよ」

「まあそうなんだけど、こればっかりは乗り越えないといけないのよね」

「まあ、洗礼だな。殺さないとレベルは上がらないんだし、上げないと善良なあいつらは守れない」

「ジレンマね」

「まあな・・」



ケモナー達は今日も耐えてます。


普通は何でもない事でも、人によっては苦行だったりするようです。

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