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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
4章 元世界・観光編
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24話 何か変なのよ

近所の人達はオレが何をしても驚かない。工房のヌシみたいになって色々と変な物を拵えては動かしているので、また何か作ったみたいだぞ・・これで終わる話なのだ。それでもたまに暮らしに役立つ品も出るので、比較的好意的受け取られているようだ。かつて造った【シールド】の魔道具を応用した魔道傘など、今では隣の商会の主力商品のひとつになっているぐらいだ。他にも【浮遊】魔法を利用したタイヤの無い荷車も人気商品になっている。重量制限はあるものの、どこにでも引っ張っていけるし力もそんなに要らないと、今では国中から需要が相次いでいる。商会に対しては売り上げの数パーセントを受け取る契約になっているので、2つの商品の収益は莫大なものになっている。先日の静穏型魔道馬車の量産にも着手していて、宰相さんに商品の情報を報告に行って予約制にしますと言ったところ、王宮から既に数台分の予約が入っている。動力については既に、圧力式の事は説明してあり、オリジナル魔法として王宮の記録に残すそうだ。そして使ってみて調子が良いようなら、ロイヤルタイプの特注品の発注もあるかも知れないと言われている。隣の国との交流に乗って行きたいとか思っているらしい。何かと色々な物で張り合っているらしいし・・


既に圧力式動力は隣に渡してあり、それを組み込む手はずも整っている。充填済み人工水晶もかなり渡してあるので、しばらく戻らなくても問題無いだろう。あれからミカとあちこちで買い物をし、世間の注目を浴びまくった。たまに郷愁にも似た視線を感じたが、ついぞ出て来る奴は居なかった。良い作戦だと思ったのに、何がいけなかったんだろう。国中を巡って様々な物資を大量に買い込み、そろそろと思って【変装】を変える。さすがに既知の奴らの多い世界で、あんな恥ずかしい格好は出来ん。髪と瞳を黒に変えた後、服装も地味な物に変える。カッターの白とスラックスの黒。これなら学生のように見えなくもあるまい。ミカもOLみたいな格好に変わっている。しかしなぁ、それは危険だぞ。ミカは気付いてないようだから言わないけどさ、姉弟のようにすれば良いが、腕組んで歩いたらきっと間違えられるぞ、ショタに・・


ミカの実家は九州らしく、その佐代子と言うのも九州に居るらしい。なのでとりあえず実家経由で佐代子の家を目指すが、今度も前と同じと思えば痛い目をみるのはあっちだ。オレは遠慮はしないので、手を出したら消える事になるだろう。あの国の法律では死体が無いと証拠にはならない。状況がいくら合致していても、肝心の被害者の行方が分からないんじゃどうしようもない。探しに行くか?異世界まで。かつて見つけた魔物の巣。あそこにでかい岩を作って、その上に転移するように記憶を残した。いきなり魔物に襲われるのも何だろうと、ひとまずは周囲の状況を冷静に見られるようにしたのだ。もしかしたら気が変わるかも知れないし。こちら側になってくれるなら帰してやっても構わない。裏切って手引きをしてくれるならオレも楽だしな。ゆくゆくは関係者を全員送るにしても、手先になる人間が居たほうが楽だ。あの時の状況からして、セーフハウスの中は想像がつく。恐らく実家も滅茶苦茶にされているだろう。いや、そもそも実家が残っている保証はない。なんせ行方不明で7年を超えている。とっくに死亡と届出がなされている可能性が高い。関西のほうの実家の連中が接収した可能性もあるしな。まあもう縁を切っているから関係は無いが。さて、行きますかね・・


「結局、出て来なかったな」

「もしかしたら満足してるのかもね、今の生活に」

「何回かは感じたんだがな、郷愁の視線を」

「もう7年以上だもんねぇ、とっくに諦めているのかも」

「奴隷生活7年か」

「ほら、奴隷と言ってもそこまで酷くないじゃない」

「政府の奴隷から個人の奴隷になったようなものか」

「うわぁ、それちょっと皮肉が強過ぎない?」

「それは良いが、オレ達、行方不明7年以上だな」

「そうね、佐代子とか久しぶりとか言われるかな」

「今は知らんが、当時の法律じゃ、行方不明7年で死亡扱いだ」

「うえっ、じゃあアタシ、死んだ事になってたり」

「政略の駒が7年紛失したらどうすると思う?」

「ああ、確実にされてるわ。それどころか、存在すらも消されてるかも」

「こっちは離婚の時に縁を切っているからな、元々天涯孤独だ」

「何か言われたんだ」

「外聞が悪いとか言ってな」

「酷い話よね」

「まあいいや、さて、行くか・・あいよ」


2人で【浮遊】して足元に穴を作り、そのまま潜り抜ける。イメージしたのはセーフハウスのマンションの屋上のはずなんだけど、しっかりと更地になってました。分譲なのに・・遥か下にはパーキングがあるが、オレの権利とか死亡届けと共に消えちまったんだろうな。そのまま【短距離転移】で近くのビルの屋上に跳び、それを何回か繰り返して人通りの無い路地裏に到達する。そうして何食わぬ顔をして雑踏に混ざり、オレ達は列車で九州に向かう事になる。ミカは飛んで行けば早いと言ったんだけど、こういう旅も久しぶりだろうと言えば、それもそうねと・・そうして関東から中部を経て関西へ。縁を切った実家など無視してそのまま西へ西へ・・久しぶりに食べる米のメシを楽しみ、各地の名物の駅弁はたっぷり倉庫の中に収まった。駅に着くたびに買い占めた訳で・・もちろんすぐに移動は出来ず、ショップでカエデのコインを換金した訳だが。まさか向こうでの資金のつもりのコインを、こっちで換金するとは思わなかった。バンクで預金を調べてもらおうしたら、口座抹消になってると言われた。推定12億はどうなった。里の奴ら、死亡届を出して接収しやがったか。まあいい、用事が終わったら色々と意趣返しはしてやるさ。さてそろそろ海底トンネルを抜ける頃か。列車の旅ばかりと言うのも芸が無いが、魔道バイクで行くのも何だよな。あれってはっきり言えば自転車と同じなんだけど、原動機があるから原チャリの燃料が無い状態・・どうなんだろう。それにしても、久しぶりだと言うのにこの国は変わらないな。何と言うか平和だ。どこを見ても魔物の影すらなく、盗賊が跳梁跋扈している訳でもない。揺れない乗り物に高速の移動。旅の醍醐味は食い物だけか。新緑の季節とは言うものの、町中に緑の少ないの何のって。せめて王都ぐらい緑があれば良いんだが、人口が違うから仕方が無いんだろうな。ふうっ、何て言うか、オレもすっかり異世界人になっているみたいだな。


「ねぇ、懐かしいはずなのに、何か変なのよ」

「白米、美味かったか」

「懐かしいけど、イマイチね」

「もっと高い米なら美味いか」

「そりゃ食べてると甘味を感じるけどさ、それがどうしたって感じなのよ」

「オレもお前もすっかりあっちの人間になっちまったって事だろ」

「ああそっか、それでなのね」

「果物食うか」

「マイタン、あるよね」

「ほい」

「うん、アタシはこれが良い」

「甘味の主流だな」

「うん、やっぱり甘くて美味しいわ」

「人工なんちゃらとか、合成なんちゃらとか、農薬すらも皆無だしな」

「それそれ、きっとそれよ。だから味が変に感じたのよ」

「健康的な生活だな、あっちは」

「あは、そうね」

「ソビアンもあるぞ」

「またレアなのを持ってるわね」

「見た目バナナ、味はイチゴ」

「後でちょうだい」

「ああ」


思ったより長引きました。

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