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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
3章 異世界・王都編
24/45

23話 2人を頼むぞ

あれは夢だったのか?いや、そんなはずは。確かにキツネさんだったはず。となると使えるのか?確か、こう言ったんだ・・


『また送ってくれるとありがたいんだけど・・つまりそれはまた向こうに行くって事なのか・・いやいや、君にスキルとして付加しようと思ってね・・じゃあ好きに穴を作れたりするのか・・うん、そして行き先もちゃんと地球の上限定にしとくから、後は行きたい場所の記憶と言うか、イメージだね。それで行けるようになるよ・・それはありがたいが、送るだけで良いのか・・ちょっと向こうで問題が発生してね・・その手伝いか・・特に急ぐ訳じゃ無いんだけど、何かがあった時にボクが気付けない可能性があるんだ。だから君に連絡の許可を与えようと思ってね・・連絡?・・この通信さ。君も奥さんとの対話でかなり慣れたろう?・・うえっ、あれとこれ、同じなのか・・うん、思考通信だから同じだね・・そんな事になってたとは・・ただし、緊急だけだよ。それ以外は連絡は禁止だ・・そちらの決まりなんだな・・聡明でありがたいよ・・分かった。行き来の能力の代償に、送るのと警告を発するのをやる・・ああそうそう、穴の事だけどさ、特に何人でも可能だから・・前に1人で消えてたのは?・・まさか君が送ってくれるとは思ってなくてね、たまに間違って人が落ちる、いわば使い捨ての落とし穴のつもりだったんだよ・・それですぐ消えたのか・・でも君が積極的に送ってくれるなら、君が消すまで何人でも送れるから問題無いよ・・場所の指定はイメージがあれば自由なのか・・そう言う事、じゃあよろしくね・・分かった』


って感じだったはずだ。だけどさ、同じ思考通信ならさ、きっと盗聴してたと思うのさ。地球限定とか、オレとミカの会話の中に、月の世界とかって話が出てたし、だからそう言ったって事は聞いていたって事になる。だけどきっとハイクラスな存在だろうから、そんなの当たり前に出来るんだろうし、言わばオレ達が大声で世間話してたようなものかも知れない。だから聞く気が無くても聞こえたって感じなのかも知れないと思う訳だ。昨日は何とか湯当たり芝居でやり過ごしたが、このままじゃいずれ・・奥さんであるミカが賛成する以上、断る理由が無いんだけど、既にオレの子だと言う気持ちになってる以上、あいつの気持ちには答えられないんだよな。この際、フェンリルが2人娶らないかな。同じ獣人族だから出産も問題無いだろうし。下手にオレが抱いて、万が一にも妊娠したらハーフが産まれる事になる。今更テンプレも無いだろうけど、ハーフって色々問題があるっぽいし。ちょっとフェンリルと話してみるか・・


「ちょっと良いか」

「はい、兄さん」

「お前さ、2人を娶る気は無いか」

「えっ・・」

「どこまでいってもお前とあいつらはオレの子なんだよ。あいつには言ってないが、あいつの気持ちには答えられないのさ」

「それは・・」

「そりゃ何も考えずに性欲のままに抱けば可能だ。だがそれじゃあいつの気持ちはどうなる」

「そう・・ですね」

「あいつら興味でオレ達のアレ見てただろ。だからな、お前とミクリアの行為を見せてやれ。もしただの欲求不満ならそこでお前に流れる可能性もある訳だ」

「はい・・」

「別に嫌いじゃないんだろ」

「それはもちろんです」

「それにさ、妊娠したら抱けないぞ。゜お前、我慢出来るか?」

「そ、それは・・」

「それにな、オレとミカはある計画があってな、しばらく居なくなるんだ」

「え・・それってどういう事ですか」

「オレとミカの故郷でな、ミカが子供を産める努力をしようと思うのさ。今のままじゃ子供は産まれない。確かにミカはそれでも良いと言うけど、可哀想だろ。特にお前の子供が出来た時に、寂しい想いをすると思うんだよ」

「そう・・ですね」

「この屋敷の中なら安全だし、メイド達も優しいだろ」

「はい、本当にびっくりするぐらい優しくて。外じゃ色々大変なのにここは全然違う・・んです」

「だからな、オレ達が居ない間に2人共、好きにさせちまえ」

「あれを見せれば良いんですか」

「ただの興味か欲求不満か、そのどちらかだ。もうあいつも15才、獣人族としては遅いぐらいだろ」

「そうですね」

「お前達の行為を見ても、それでもオレが良いと言うなら、ミカが身篭った後で抱いてやるつもりだ」

「分かりました。何とかやってみます」

「お前ももう21才なんだ、奥さんが2人居ても問題無いさ」

「そういうの、あんまり無いので」

「そりゃ生活力の問題だ。お前は男爵嫡子だぞ」

「えっ・・」

「ミカに男の子が出来ればまた変わるかも知れんが、今のところお前が跡取りだ」

「でも、ボクは獣人ですよ」

「そんなの関係あるかよ。それに名誉男爵だから、お前が何か功績を立てないとそのまま没落するだけだ。だけど、そうなるまでは男爵の名前が使えるからな、そこらの平民や王都民じゃ太刀打ち出来んぞ」

「そうなんですね」

「ああ、何か言われたら言い返してやれ。男爵嫡子だと」

「は、はい」

「2人を頼むぞ」

「分かりました」

「ああ、仲良くする時は離れでやるんだぞ」

「良いんですか?あそこは父さんと母さんの・・」

「いいさ、使ってもな」

「はいっ」


ひとまず何とかなったか。後はミカに話してあっちで体外受精だ。早速、ミカに【思考通信】で顛末を話し、確かにそれで収まるなら一番だわねと、彼女も納得したようだった。後は昨夜の事を一部話し、また向こうに行けそうなので、体外受精に挑戦すると共に、フェンリル達だけにして自然と仲良くなるように仕向けたいと言い、既にフェンリルには因果を含ませてその気にさせてある事を話した。そして向こうに持って行く物をあれこれと購入した後、穴を作ってその場から転移する予定なので、準備して工房に来てくれと話した。手回しが良いわねと、ミカは準備して向かうと話して通信を切った。ミカを待つ間に向こうで売る為のアイテムを作成する。例の超高純度人口水晶の極小版(1センチの珠)を大量に拵え、在庫として置いてある短い杖の先に付けただけだ。魔力が無くても魔法が使える杖だ。これは以前からの構想もあり、隣から短めの杖を大量購入して在庫にしておいたのだが、売れそうなら後々の交易の主力商品にしても良いかと、見本としてある程度持って行くつもりで拵えていく。のだが、それにしてもミカは遅いな・・


100本作っても来ないので、保険のアイテムを作り始める。黒金貨が実はマナ貯蔵に最適なのを発見した事もあり、それをミスリルの板で囲むような品を大量に発注しておいた。いわばロケット(中に写真とか入れるやつ)風にして、中に黒金貨を入れて密閉する。そしてマナを限界値まで入れると、MP10万もの保険になる。マナが枯渇する前にネックレスから流れ込むので、精神力の保つ限りはマナが尽きないように見せかけられ、強大な魔法使いを演出出来る。もっとも、ミカの場合は既に58000ぐらいあるので、保険以前に強大な魔法使いなんだけどな。これは数を作っても仕方が無いので、とりあえず10個作って終わりにする。


ううーん、あいつ、何してるんだよ。仕方が無いな、更なる構想に取り掛かるか。バイク用魔道エンジンを使用した、自力供給式の魔道バイク・・マギクロスの製造に着手した。なんだか昔、テレビゲームで見た魔法の名前に似ているが、ただの偶然である。四輪タイプどうしよう。バギータイプのモトクロス・・その名も・・はぁぁ、別の名前を考えよう。あんまり来ないので、遂には変な物の発想になっちまう。邪神の卵から邪神像を作ってみようなどと・・おどろおどろしい顔と何本もの腕、頭には髪の毛が蛇となって大量に生えている。どうにも仏像とメデューサを足して2で割ったようなイメージで作ったので、バチ当たりと言われそうだ。完成したのは良いが、余りにも禍々しいのでそのまま倉庫に死蔵する事になる。いかんな、興味のままに造って毎回死蔵してると、そのうち倉庫の中がヤバい物で満載になるかも知れんな。はぁぁ、やっと気配が動いたか。まさか化粧とかしてたんじゃないだろうな。さて、それじゃあちょっと【変装】しますかね・・【ヘアカラーチェンジ】と【アイカラーチェンジ】でオレンジの髪と黒い瞳にした後、魔法使いのローブを羽織り、大型の魔法杖を股に挟んで【飛行】魔法で工房内をふよふよと飛んで遊んでいるとミカが来た。


「うえっ・・びっくりしたじゃない」

「やあ、ミカさん、こんにちわ」

「あははははは・・ちょっと、それ、ヤバいって」

「いや、こっちじゃこんなの誰も知らないだろ。だからこれで買い物しても特に問題は無いと思ってな」

「そりゃそうかも知れないけど・・あれ、もしかして、他に目的があったり」

「いや、鋭いな。実はな、お前もそうだったと思うが、いきなり言葉の通じない世界に放り出されて、それで成功するって稀だと思うんだよ」

「ああ、救済すんのね」

「口で万遍言うよりは、これで一目瞭然。て言うか、見たら必ず接触して来ると思うんだよ」

「確かにこっちに自分から来ようなんてのはその手の趣味に多いから、そんなの見たら警戒心消えちゃうかも」

「邪推で隠れられたらどうしようもないし、後からどうして自分だけ省いたとか言われるのも嫌だし」

「まあそれなら見かけたら、まず確実に何かしてくるわね」

「私にも魔法を教えて、とかさ」

「あははっ、ありそうな話だわ」

「それでそういうのを見かけたら、屋敷と工房の間にある住居を斡旋すると」

「あれってその為だったのね」

「お前でも住めるぞ。魔道水道完備、小さいがバストイレ完備だ」

「まるでワンルームマンションね」

「まさにそれだ、それをイメージして作ってもらってある。大工さんも珍しい家とか言ってたな」

「そりゃそうでしょうね」

「あの敷地内に4階建てにしてギッチリ住めるようになっててな、部屋数は驚きの500だ」

「うえっ、それってウサギ小屋とか言わない?」

「雨風避けて安心して眠れて、バストイレが付いて、驚きの安さ」


「え、売るの?」

「いや、売らないと貸してどうすんのさ。この世の中の大多数には人気の無い部屋だぞ」

「それで、いくらで売るのさ」

「白金貨1枚」

「と言う事は・・1千万は高くない?」

「王都に住める権利が1千万は高いか?」

「他にも賃貸とか、そもそも宿屋もあるしさ」

「他にはバストイレが無い」

「いや、バスはともかくトイレあるじゃない」

「ほお、水洗トイレとか見た事無いんだが」

「あははは、そこまで凝ってるのね」

「あの便器作るのには苦労したんだぞ。特に暖かい便座とか、尻を洗う水の出る魔道具とか」

「うわ、アタシが住みたいかも」

「部屋の敷地面積、4畳しか無いんだ」

「えらく半端よね」

「横にペタペタ4枚敷いた感じの部屋で、1枚分がバストイレだ」

「じゃあ実質3畳しか無いのね」

「それでもきっと知れば売れると、オレは思っているんだがな」

「お金があれば欲しがるとは思うけど」

「まあいい、そういうのはまたゆっくりとな」

「そうね、それで、どこから行くの?」

「まずは王都の生鮮市場から、そして西周りで一通りだな」

「あいよ」

「よし、横乗りしろ。いいか、杖を離すなよ、落としたら洒落にならん」

「あはははは、杖は飾りなのよね」

「さあ、行きますよ、ミカさん」

「ちょ・・その・・口調・・やめ・・あははははっ」


ちょっと危険な格好です。

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