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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
3章 異世界・王都編
23/45

22話 化けてます

あの変な研究で充填済みを20個失ったがまたマナ量が増えており、作業をしながら4日で充填出来るようになる。遂に3桁になったマナ量だが、留まるところはあるのか無いのか・・ちょっと嫌な事を思い出した。確かに使えば使うほどに増えるマナだが、20才を超えると伸び率が減り、40代までには止まってしまうとか。つまりこの見た目15才の身体の場合、ひたすら増えていくんじゃないかって・・けど、外ではちゃんと20才に見える変装を使っている。さすがに変わらないとか、ますます魔王扱いされそうで。そのうち耳を細長く偽装する必要が出そうな予感だ。高純度の未充填の数がかなり減り、充填済みの在庫が228個になった頃、ミカから連絡が入る。卒業したと・・ミカ23才、フェンリル21才、ミクリア15才、クラリエ15才になったんだな。街乗り用の魔導馬車で迎えに行くと、派手に注目を浴びた。これは魔導エンジンは使わないものの、水圧式を採用していてとても静かなのだ。街乗り用にと開発した静穏型の魔導馬車になる。なのでその分、警笛は強力になっており、さっきも派手に鳴らして通行人を驚かせてしまった。さてと、全員乗れるはずなので、横のドアを上に押し上げる・・


「卒業おめでとう」

「ガルウイングかよ」

「何その反応」

「あ、ごめんごめん、つい突っ込んじゃった」

「いや、これだと雨の時に屋根になるからと思ってね」

「でも静かですね、兄さん」

「うん、これはちょっと変わった動力を使っていてね」

「ちなみに?」

「水圧駆動式だ」

「うえっ、何それ」

「水に圧力を掛ける魔法なんだけどさ、そいつで駆動軸の水車を回すんだ。トルクがメチャ高いから、水車も小さく出来たしね。まあ、分かり易く言うなら油圧式の水版だ」

「ああ、成程、そう言う事なのね」

「水を発生させて圧力を掛けて、水車を回したら貯水槽に溜まっていく。それを使って車内の冷房を」

「この5年で凄く進化したんだね」

「そうかもね・・おっと、邪魔だな」

『チャララーララ』

「チャルメラかよ」

「よし、避けた」

「何か変な方向に進化してない?」

「この音を出すのにかなり苦労したんだよ。だけど懐かしいだろ」

「そりゃ懐かしいけどさ、食べたくなるじゃない」

『チャララーララ』

「本当によく避けますね」

「「おもしろーい」」

「街乗り用静穏魔導馬車だ。これが最新だぞ」

「王宮でも最近、研究してるって聞くけど」

「劣化版を献上した」

「ああ、それでなのね」

「宰相さんを乗せて走ったんだよ」

「そうなんだ」

「なんか子供みたいに面白がっていたけどね」

「意外と無邪気なのかしら」

「まだ若いんだ。おもに精神が」

「そういや、20才ぐらいになってるけど」

「はい、化けてます」

「やっぱり変わらない?」

「困った事に」


屋敷まで走り、水管反転レバーを回して、後進に切り替えてバックで車庫に入れる。この反転にも苦労したけど、何とかなって良かった。洒落でバックブザーとバックライトも付けたので、いかにも自動車のような気分になる。多少流線型を意識したこの街乗り用は、廉価版としてそのうち売りに出そうかと思っている。水圧用の魔法ぐらいなら表に出しても良いと思うからだ。車庫の中で排水口に、貯水槽の水を捨てる。郊外を走るなら垂れ流しでも構わないが、町中を水浸しにする訳にはいかない。もっとも、雨の日は楽だけど。さて、標準小売価格をいくらにするべきか、それが問題だ。


「「お帰りなさいませ」」

「やあ、久しぶりだね」

「あれ、家に帰ってなかったの?」

「工房で寝泊りしてた」

「あはは、すっかり物作りに嵌まっちゃってるのね」

「ああ、やればやる程だよ。さて、メシの支度、良いかな。あと風呂も」

「はい、ただいま」

「兄さん、お風呂一緒に良いかな」

「ああ、どれだけ逞しくなったか見てやろう」

「あは、楽しみです」

「「わたしたちもー」」

「よし、どんなに色っぼくなったか見てやろう」

「「わーい」」

「アタシも」

「よし、風呂の中でやろうか」

「あははっ」

「今更の話だが、フェンリル」

「何ですか、兄さん」

「お前の故郷ってどの辺りだ」

「それは・・隣の国です」

「そうか・・いやな、お前も年頃だ。里に連れてって伴侶でもと思ったが」

「ボクはこのままが良いです」

「相手は要らないのか?」

「はい」

「そうか、ならずっと一緒で良いさ」

「はいっ」


「次の奥さん」

「ミカ、どうなっている」

「いやそれがね、クラスでコイバナとかやっててさ、アタシはもう相手が居ると言ったら2人も居るって言ってさ」

「養女だしな」

「でも見た目は似たようなものだし、別に良いんじゃい?」

「そうは言うがな」

「卒業したらパパから旦那になるの」

「うーん、そうだなぁ」

「あたしはパパのままで良いよ」

「お、そうなのか」

「フェン兄とかタイプだし」

「どうだ、フェンリル」

「うっ・・」

「もしかして・・」

「フェン兄、あたし嫌い?」

「い、いや、その、つまり・・」

「顔が赤いぞ、フェンリル」

「はぁぁぁ、参ったなぁ・・ミクちゃん、ボクで良いの?」

「やったね」

「妹のほうのミクリアはフェンリルの嫁さんになるとして、クラリエはオレの奥さんか」

「ダメかな・・」

「よし、風呂で見てからだ。ちゃんと女っぼくないとダメだ」

「ええええー」

「おやぁ、自信が無いのかな」

「ううう・・」


これ、冗談じゃ無いよな、本気だよな。どうすっかな・・フェンリルとの話は賛成だが、さすがになぁ・・マジどうすっかな。風呂云々で誤魔化したが、ミカも賛成となりゃ断る理由も無い訳で。けど、肉体年齢はまだしも、精神年齢は36だしな。そんなこんなでメシを食い、皆で風呂に入る事になる。うちの風呂は大浴場並に広くしてあり、例の魔導水道を設置してある。火魔法も組み込んだ温水も可能な屋敷用なのだが、使う前にこうして・・


「よし、充填完了」

「やっぱり早いわね」

「よし、こっちも終わりだ。お湯を入れるぞ」

「はーい」

「大きくならないよ」

「そんなに欲しいのか」

「うん、早く欲しい」

「ミカが先だ」

「うん、我慢する」


おっかしいな、双子の姉妹なのにどうしてこうなっちまった。妹のほうはフェンリルが好きになり、姉のほうはオレかよ。確かに見た目は同い年だけどよ。精神の年齢がなぁ・・弱ったな。ミカをだしにして時間稼ぎをしたけど、もう限界だぞ。何とかならないものかな。誰か相手が居れば良いんだけどな。まあ、とりあえずミカと・・


「こういうのも新鮮だわね」

「ミカに抱かれて抱くのも新鮮だ」

「あはは、確かにそうなっちゃったわね」

「知らない奴が見たらこう言うんだろうな。ショタだと」

「あわわ、冗談じゃないわ」

「ねぇ、まだぁ?」

「もうちょっと待て」

「もう我慢出来なーい」

「どうしよう、ミカ」

「良いじゃない、抱いてあげれば」

「もう時間切れか」

「はいはい、そろそろ交代ね」

「ミカお前まだイッてないだろ」

「良いのよ、後で」

「ならな、ちゃんとベッドでだ」

「はーい」


《往生際が悪いわよ・・心の中では既にオレの子だ・・まあその気持ちは分からなくもないけどさ・・ミカももう23か・・何よ、年増と言いたいの?・・そうじゃないさ、もうじき母体としてはヤバくなるだろ・・けど、無理なんでょ・・そうなんだよなぁ・・アタシはこのままで良いわよ・・科学なら何とかなると思うんだが、魔法じゃどうにもならん・・えっ、科学って?・・ほら、体外受精さ・・ああ、そういうのがあったわね・・あれならもしかして、だがな・・もう戻れないしね・・ああ、せめて行き来出来ればとも思うが、こればっかりはな・・勇者召喚で320万でしょ、たから戻るほうも同じでいけると思うのよね・・確かに充填済みはかなりあるが、目隠しして行くようなものだからな、何処に到着するか見当も付かん。北極海のど真ん中とかに落ちたら終わりだぞ・・あれ、でも魔法は?・・確かにそうだが、近くに船でもいたらエイリアンだぞ・・確かにそうだわね・・まあ、殺せば良いだけなんだが、重要人物に見られて殺したら戦争になるかもだしな・・町中とか議事堂の中とかだと洒落にならないわね・・最悪、変装しての移動ならギリキリだけどよ、お前も行くんだぞ・・あ、そうだったわ・・家族全員でいくならどんだけ使う・・うわ、とんでもない量だわ・・まあそれでも手が無い事もないが・・あれが1つで1人だったら人数分あればいけそうね・・いや、倉庫に入れればさ・・ああ、それで良いじゃない・・着いた先が地球じゃ無かったどうすんだ・・あうっ、その可能性もあるわね・・あくまでも世界だからな、月の世界とか、木星の世界なら終わりだぞ・・そうなると大変ね・・もし本当に行くなら、勇者召喚をして、帰りに同行ぐらいじゃないと道標が無いしな。かと言って他人を巻き込むのもなんだし・・良いわよ、アタシはこのままでさ・・ふうっ、弱ったなぁ》よし、ここはひとつ、湯当たり作戦だ。ぐだぁとしてれば、1日ぐらい・・


娘と認識したので、とことん往生際が悪い彼でした。

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