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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
3章 異世界・王都編
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15話 人違いだ

それなりの宿を1ヶ月借りた。1泊1部屋で金貨5枚ってちょっと高い宿。日本円で50万円ぐらいと言えば相当に高いけど、お・ふ・ろ・・の誘惑に負けただけなのだ。宿はちょっとしたスイートっぽい感じで、各部屋に風呂がある。どのみち学校もすぐに行ける訳じゃないし、そもそも王都民にならないと実現しない話だ。何も言われなかったと言う事は、無理かも知れない。その時はドラゴン素材でも売ってみるつもりでいる。多少の知名は変装で誤魔化せるし、上げたほうが家族が安全になる。そりゃメチャ上げるとかえって危険になるけど、それなりの知名は必要だと思う。そりゃ単独ならスラム住民にでもなって地味に暮らしたいが、今はもうそういう訳にはいかない。となればそれなりに動くしかないと。あの宿は高いだけの事もあり、メシは好きに食えるらしい。しかも、言えば部屋に届けてくれるらしい。そんな訳でオレ以外は、宿に篭りっきりになっている。うっかり拉致されたら大変と思っているらしく、その行動は正解だろう。


特に獣人に対する扱いはあんまり宜しくないからな。解放した今となっては、下手に動き回らないほうが良い。寄宿舎に入れば更に安全になるから、それまでは宿から出ないほうが良い。さて、何処の商会で売ろうかねぇ・・あれ、行き止まり?おっかしいな、てっきり壁際に道があるもんだとばかり。それで空き家になってんのか。そうだよな、この家とか真後ろが門前なのに、コの字に回らないと門に行けないんだし。ふむ、確か王都民はここいらの通り沿いとか言ってたから、それも含めて纏めて買って、勝手に区画整理しちまうか。


壁際に私道を作って、行き止まりを貫通させて私道に連結させて、右と左に建物を造る。この場合、門前のほうに商会でも作って、反対側を屋敷にしてやりゃいけるだろ。んで、更に商会側の中央に私道作って、隣との間に路地を作れば。うん、中々良い感じ。ざっと図面におこしてみたんだけど、このまま進めても良いかもな。馬車が余裕ですれ違えるぐらいの道にしても、私道貫通しても、敷地としては充分の広さが得られるはすだ。んで、商会の裏手の敷地に従業員用の住まいを作って、かつてこっちに送った奴らでも雇ってやりゃ・・うん、いけそうだな。となると商会の名前は地球の家族。テラファミリアで良いか。ちょっと長いけど、何とかいけるだろう。ミカの特訓で少しセンスが磨かれたような気もするし・・気のせいだとは思うけど。


「クロウ君、しばらく見なかったけど、また遠征に行ってたのかい?」

「アンタ誰だ」

「え、クロウ君・・だよね」

「人違いだ」

「え、そんなはずは」

「オレは最近ここに来たばかりで、アンタとは今初めて会った」

「そう・・なのかい。それは悪かったね」

「で、アンタは何者?」

「申し遅れたね。ボクはアムラガ商会の長をやってます、ローリ=アムラガと言います」

「セガールだ」

「そうなのですね」

「そうだ、ちょうど良かった。アンタさ、ワイバーンとか捌けないか」

「最近、確かに高騰していますが」

「ちょっとワケアリでさ、冒険者ギルドに回せないんだ」

「そう言う事ならうちのほうで何とでも出来ますが。ここじゃなんです、うちに来て下さい」

「悪いな、魔物がわんさかあるんでな、処分に困ってたんだ」

「そういうところもそっくりですよ」

「他人の空似はそこまで及ぶか」

「殆ど本人ですけどね」


この身体の本当の持ち主とかじゃねぇだろうな。あいつが持ってたって事は、そのクロウってのは死んだんだろ。死因は何か知らないけど、要は魂が抜けちまった身体を保持してて、オレの身体がしょぼいからこいつと交換したってな感じだろ。そういうの簡単にやれるような雰囲気だったし。けど、製造者が誰であれ、使用者はオレなんだ。成り済ますにも限度があるんでな、オレはクロウとやらに成り済ます気はない。これを言うとミカはオヤジギャグって言うんだけど、苦労しそうだし・・あれ、こいつの商会って、空き家の隣なのかよ。ならこの空き家、買えたら隣同士になるな。んでここから向こうの通りまでを買って区画整理して・・うんうん、良い感じ。


「それで、どれぐらいの量なんですか」

「この商会にギッチリ詰めて余るぐらいだ」

「それは・・またとんでもない量ですね。と言う事はやはり、マジックボックスですか」

「同じの持ってんだな」

「貴方、最近、頭打ちませんでした?」

「記憶喪失だと思うのか」

「だってそうでしょ。同じ顔で同じ背丈、同じ髪の色に同じ瞳の色。同じスキルを使っていて、やる事も同じ。これで他人と思えと言うのは無理が無いですか」

「じゃあさ、他人だと思ってくれよ」

「ワケアリですか、分かりました」

「悪いな、他人にならないといけないんだ」

「はい、もう言いません。それでですね、そこまで大量にあるなら、もしかしてオーガの魔石とかありませんか?」

「あるぞ、大量に」

「それは助かります。最近、入手が滞りがちになってまして」

「100個か?200個か?」

「凄いですね・・でしたら、50個良いですか」

「裏の解体場で良いか」

「あ、はい、お願いします」


(何か理由があるんですね。ならば聞かないほうが良いでしょう。だけど、裏に置くとか、他人なら聞かないと、くすくす。どうにもボロが出そうですね)


王都は上空から調査して地図にしたから、何処に何があるかは判るんだが、あれは聞くべき案件だったかな。まあ、勝手に本人にされちまったから、あのままでやるしか無いけど、この分じゃそのクロウとやらの故郷とかに行ったらまた何かしら言われそうだな。何処だかは知らんが、気を付けないとな。


魔石を置いて戻ったら、白金貨の袋をテーブルに置いていた。50枚あるそうだ。単価1枚か、まあ、オーガだからな。ドラゴンがそれだと文句も出るけど、あれ、単細胞だから【高速飛行】で幻惑してやりゃ、簡単に倒せるんだよな。この前なんか姉妹にからかわれてたし。あっち叩き、こっち叩きって、オーガが可哀想に見えたぐらいだった。さてと、売り先も見つかったしこのまま何も言わないとドラゴン素材売るぞ。


「後ですね、これは・・無理にとは言わないんですけど」

「ドラゴン素材ならあるぞ」

「あはは、分かりましたか。それで、どれぐらいですか」

「ロックドラゴンの肉が大量にあるぞ」

「ありがたいですね、どれぐらい良いですか」

「100でも200でも」

「冷蔵しても3ヶ月がやっとなので、10キロ良いですか」

「ほい、5キロブロック2個だ」

「助かります」

「交換で香辛料と塩が欲しい。胡椒と塩な」

「胡椒25袋と塩3樽ぐらいですか」

「かなりお得だな」

「ではそれで」


こいつもドラゴンの肉が好物なのか。フェンリル用の肉だけど、多少は構わんさ。オレはトカゲの親戚よりは、ブタの親戚のほうが好きだがな。さてと、塩胡椒大量にゲットと。50グラムの袋が25個と塩の樽がざっと15キロか。また混ぜて肉を焼く時の臭み取りに使わないと。それにしても胡椒がやけに安いな。無理してないか?・・まあ、素材はたんまり渡すから良いが。大抵の物はあるからな、何時でも言うといい。


それはそれとしてて、やはり【変装】必須かな。あいつらが学校に行ったら、【変装】して動くか。おっと、瞳の色だけの【変装】は今やっとくか。よーし、では行くぞ・・【アイカラーチェンジ】・・よしよしよーし。これで地味になった。赤かったとか言われたら、泣いていたと言おう。例の三文芝居の関係で、親を思い出して泣いていたと・・決まりだな。銀髪はこの際、構わないとして、緑色の瞳は良く見るし、問題は無いだろう。


「ただいまー」

「おかえり、あれっ」

「へっへっへっ、これでもう変な病気じゃねぇぞ」

「それはそれで問題あるかも」

「どうしてだよ」

「いや、まあ、そのね」

「赤かったのは、親を思い出して泣いていたからだ」

「いや、そういう意味じゃ無いんだけど・・まあ良いや」

「気になるな」

「何でも無いってば」

「そうか?」

「うんうん」


(どうにも変な虫が沸きそうなのよね)


商会長の名前に突っ込まないで欲しいんです。ふと横を見ると、あったんです。ブ○○○ー、プレミ○○○○ーという名のノンアルコールビールの箱が・・彼が酒に弱いのは作者準拠です。

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