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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
3章 異世界・王都編
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14話 おうっ、任せろ

王都に着いてまずは奴隷商館に赴き、全員のあるじの設定を行った。入手先を聞かれたので、盗賊に捕まっていたのを解放したと答えた。何か証拠になる物は無いかと聞かれたので、擬装用のカバンから盗賊の首が12個入った袋を取り出し、その場に・・ゴロンゴロン・・ひぇぇぇ、とか奇声を上げて文句を言われたけど、アンタが証拠を見せろと言ったんだろうと言ってやった。あるじ登録をしたら衛兵詰所で換金の予定になっているのだと。それで話は付いた。脅かしたせいなのか、4人分で金貨4枚だと言われた。以前、辺境で聞いた時は、銀貨40枚くらいだと言ってたのだが。まあ今のオレはその盗賊の財宝てんこ盛りなので、細かい事は無しにした。そして晴れてオレの奴隷になったんだけど、次に行くのは役場のような所。こいつと結婚すると言ってその場で結婚税を支払った。後々の事を考えて、フェンリルとミクリアとクラリエは養子女にしておいた。その登録料と結婚税合わせて、白金貨2枚を支払って終了した。その時にミカが素直に17才と言い、オレがうっかり見た目年齢の15才と言ったものだから、姉さん女房になっちまった。後でミカにサバの読み過ぎだと言われたが、見た目が見た目なのに30才とか言えるかよって・・それで話は付いた。そして冒険者ギルドに赴き、ミカ達も冒険者登録をする。ギルドの探りを掻い潜り、表向きのステータスが記録されて何よりだ。さすがに獣人なのに魔法の欄に記載があるのはヤバいからな。初めて使えば○○魔法【1】と記載され、使えば使うほどに熟練値が増えて数字が増えていく仕様のようだ。なので獣人全員に魔法の記載が2種類ずつあるんだけど、それはマスクデータ化して隠しておいたのだ。ミカも同様で、火魔法【32】とか見せる訳にはいかない。魔法は1~9までが初級、10~19までが中級、20~29までが上級、30以上は最上級という分類になっているらしく、最上級の魔術師なんてのがバレたりしたら、大騒ぎになると思ったからだ。


「解放になるのに登録はもったいなかったね」

「強制的な占有離脱物の横領は嫌だからな」

「つまり、ちゃんと自分の物にしてから解放しないと、殺して奪ったとか言われるって事だよね」

「そゆこと」

「けどこれで平民になれたのかな」

「一応な。まだ最下層だけど」

「え、でもスラムよりは・・」

「いやいや、フェンリル達の事さ。どうにもこの国の扱いは酷いだろ。だからいくら養子と言っても扱いが少し下なのさ」

「どうにも酷い話よね」

「という訳で、王都民を目指します。王都民の養子は平民だけど、ちょっと扱いが上なのよ」

「じゃあフェンちゃん達でも・・」

「平民が難癖付けても、そいつよりはちょっと立場が上だ」

「なろうなろう王都民になろう」

「あの盗賊がどれだけの脅威だったかによるな。ダメならドラゴン素材でも売ってやりゃ、魔石を王宮が寄こせと言うさ」

「子供達の為にガンバレパパさん」

「おうっ、任せろ」


という訳で衛兵詰所に行きました。カバンから容量超過の麻袋を4つ取り出すと、拡張カバンかと言われる。なので、親の遺産と答えて納得され、盗賊も遺産のクチだと思われたようでもあった。見た目15才の少年が単独殲滅したとか、誰も信じないよな。それはともかく、全ての首を出した後、手配書と見比べる衛兵達。あった、お、こいつもかと、次々に手配書に合致する首が出てくる。そのうち、うおおおっと驚きの声が上がり、ちょっと大きな羊皮紙に記されていたのは、懸賞金の文字と数字。どうやら意外な大物がいたらしい。まあ、あんだけの人数と膨大な宝物となりゃ、あり得る話ではあるんだけど・・お、終わったらしいな。


「どれぐらいになりましたか?」

「お前、こいつらはフレート盗賊団だぞ」

「名のある盗賊団だったのですか」

「それも最近、姿を見なくなっていてな、何処で遭遇した」

「王都までの途中で、親とか親戚とか、みんな強かったのに、んで、オレ達が隠れてて、油断したところで何とか」

「そうか、やっぱりそう言う事か」

「みんなに墓とか作ってやりたいので、いくらかにはなると良いんですけど」

「相当な額だ。お前、一気に大金持ちだぞ」

「えええ、そんなに?」

「おい、総額、いくらだ」

「はい、ええと、フレートが白金貨550枚と懸賞金が・・」

「あのな、オレは総額と言ったはずだぞ。誰が詳細を聞いた」

「あ、は、はい、済みません」

「済まんな、こいつはこういう困った奴でな」

「いえ」

「総額、白金貨3700枚になってます」

「え・・・」

「はっはっはっ、驚いて声も出ないか」

「良かったね、兄ちゃん、これで父さんや母さんにお墓がつくってやれるよね」

「うえーん、パパーママー」

「もう泣くな、これからはオレが父さんだ」

「そうよ、これからはアタシが母さんよ」

「辛いとは思うがしっかりするんだぞ」

「はい」

「はい」


そんな感じの三文芝居も終わり、めでたく白金貨3700枚を獲得した。オレが養子女にした書類もあるし、六文芝居ぐらいに昇華したんじゃないかと思っている。受け取りのサインの時に、その書類をチラリと見せておいたのだ。なので特に疑惑にもならない・・と良いんだけどな。オレはもらった袋を偽装カバンに収め、皆と少し俯き加減に歩いていく。もちろん、衛兵達に揃って礼をするのも忘れない。


「みんな、意外と上手でびっくりしたぞ」

「ミーちゃんとか涙流してたし」

「攫われた時の事を思い出したの」

「ああ、それでなのね」

「よく覚えてないの」

「クーちゃん、気絶させられてたから」

「嫌な思い出はもう忘れて良いんだぞ」

「「はーい、パパ」」

「よしよし」

「フェンちゃんも役者になれそうだわ」

「がんばりました」

「うんうん・・さて、ひとまずは宿屋か」

「土地は普通は売ってはくれないよね」

「平民はな。王都民は売ってくれるらしいぞ」

「やったね、豪邸住まいだ」

「お前、豪邸と魔法学校、どっちが良い?」

「あわわわ、まさか、行けたりすんの?」

「王都民の妻なら余裕だろ。金はあるんだし、この際、正式に学んでみるか」

「行きたーーーい」

「決まりだな」

「あれ、でも、アタシだけ?」

「オレは嫌だぞ」

「あはは、ただでさえ人が嫌なのに・・うんうん、それは言わないわ」

「ボクは武術がやってみたい。後勉強もしたい」

「となると、王都兵士学校にでも行かすか。優秀な成績で卒業したら、衛兵を経て騎士団に入れるって代物だ」

「獣人でも良いのかな」

「化けても良いが、どうするね」

「そっか、あれがあったね」

「触れられるとバレちまうがな」

「何とかやってみるよ」

「さて、姉妹はどうするかな」

「「ママと一緒が良い」」

「ううん、どうかな。ちゃんと化けれるか」

「「はーい」」

「じゃあこの際、フェンリルも行くか?武術部門と言うか、魔法戦士みたいなのもあるらしいし」

「一緒だと心強いね」

「じゃあそうします」

「寄宿舎には全員で泊まれよ。オレはここでの立ち位置を確立するからよ」

「それで良いのね」

「王都民になれたら土地を買って、屋敷の設計をして大工に頼んでと」

「え、設計って、やれたりすんの?」

「元設計事務所所員だ」

「うわ、意外だわ」


高卒で6年勤めた事務所だけど、離婚と同時にクビにしやがってよ。妻は無くすは仕事も無くすはで、あれで絶望したっけな・・まあもう終わった話だけど。けど、よく考えたら変な話だよな。まるで所長と元妻がデキてたみたいでよ。退職金は出してやると言ったけど、その額と離婚の慰謝料が同じって凄い偶然だよな。本当にデキてたら、そりゃ脱税だぞ。そりゃオレは酒が弱いから、所長が遊びに来たら真っ先に酔っ払って寝ちまってたけどよ、2人は何をやってたんだろうな。てか、そもそも新婚の家庭に遊びに来るとか、何を考えてんだろ。オレに欠陥があって良かったな。なんて、今ならあっさりと考えられる。当時はすっかり混乱してたけど、こんな判り易い話も無いもんだ。ずっと封印してたけど、新たな嫁さんもらってやっと封印を解く事が出来たな。これで忘れられる、2人の事を。もう戻れないあの世界での事など、スッパリと忘れて暮らしてやるさ。


彼は新たな家庭に向けて頑張るようです。

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