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改訂版 異世界ツアー  作者: 黒田明人
3章 異世界・王都編
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13話 ママがいちばーん

全員で【飛行】で編隊を組む。ここは王国上空数百メートル。オレの横にはフェンリルが、その少し後方にはミカ、そしてその斜め後方にはミクリアとクラリエが飛んでいる。ちょうど上から見ると、ミカを中心に囲んだような編隊になっている。川の字と言えば良いか、姉妹がオレとフェンリルの足を掴む感じにするとまさに川になる訳で。オレと獣人は前衛、ミカは後衛を得意としている。なのでこんな布陣になったのだ。本来ならオレは遊撃なのだが、特に問題は無い。どのみちずっとこのままって事も無く、臨機応変な編隊の機動も色々試している。もっとも、皆面白がってやっていたんだけど。辺境の町から王都までは、馬車で1ヶ月と聞いている。人里離れたあの場所から辺境の町までが飛んで数時間、馬車なら10日と言ったところだろうか。


そんな訳で早朝出発になったオレ達は、のんびり【飛行】旅をやる事になり、獣人達のマナ量もひたすら増える事になる。あの野宿の基地から馬車ならば、推定1ヵ月半。【飛行】を使えば直線ルートになりはするが、町の上空を回避するので少しルートを調整している。実は狩りの合間に近隣の上空からの地図を作成した時に、ついでに王都までの地図を拵えておいた。後々全ての地図を作成するにしても、その予行演習的な行動は為になったと思っている。地図はミカに渡してあり、編隊の行動を指示する役割。全員が小さな【空間拡張】カバンを身に付けており、ミカはそれに地図を入れている。向こう風に言うならポシェットと言えばいいか。ちなみに、姉妹のポシェットはマイタンだらけになっていて、ミカも地図の他はそれが主らしい。オレは偽装の為なのでライセンスしか入ってないが、フェンリルは火種の魔導具とオーガの魔石、それに各種小道具などを入れているらしい。言わばフェンリルは副官と言った立ち位置になっていて、通常行動の時にはオレの横にいる。ミカ達はオレ達2人の後ろから付いて来るという感じになっていて、ミカの両腕に抱き着いて歩くのが姉妹の何時もの行動って事になっている。


「そろそろ降りない?お腹空いたし」

「よし、どっか良いとこ無いか」

「あの右手前方の林の近くに何かが」

「あのでかい岩の上にするか」

「うん、上は平らになってるようだし」

「聞いたな、みんな」

「「「はーい」」」


ちょうど丸餅を潰したような岩の上に降り、四方に魔物避けを設置する。岩の厚みは1メートルぐらいだが、でかい魔物には意味が無い。もちろん魔物避けも万全では無いが、食事中は気も緩む。多少の軽減になってくれれば御の字という、言わば気休めのようなものなのだ。どのみち、発見即断なオレ達なので、誰かが気付けば即座に倒すけど、会話に夢中になるとそれも疎かになる。その為のおまじないのような感じで設置している。今のオレがレベル148、フェンリルが84、ミカが80、姉妹は共に78になっている。こんな数値など見せる訳にもいかないので、マスクデータ化して表向きはオレがレベル18、フェンリルが15、ミカが18、姉妹は12に見せている。とりあえず2桁あれば素人とは言わない。雑魚やチンピラの敵う相手じゃなくなるので、表向きのデータは知られたほうがいい。さて、今日の食事は何にするかね。


「リクエストは何だ」

「まだ肌寒いからシチューとか欲しい」

「ボクはドラゴンステーキ」

「「ぐらたーん」」

「シチューはオーク肉のと赤ベアのがあるが」

「赤ベアは少し固いのよね、お肉が」

「かなり煮込んだんだけどな」

「オークシチューで」

「ほい、大盛りオークシチュー」

「あは、これだけでお腹一杯になりそうだわ」

「そしてこれがフェンリルの好物のドラゴンステーキ、付け合せはメランギの輪切りだ」

「あは、ボクの好きな物ばかり。兄さんありがとう」

「さて、グラタンといくか。ほい、ほい」

「「あつあつのぐらたーん」」」

「でもよくパスタなんてあったわね」

「自作に決まってるだろ」

「あれ、そうだったんだ」

「串肉用の串に巻いて作って切ったんだ」

「あははっ、意外と器用なのね」

「意外とは何だ。お前、料理出来るのか」

「うっ・・そのね、修行中と言うか」

「ふふん、家庭で家事、後に自炊のオレに勝てると思うのか」

「つまりずっと敷かれてたのね」

「今も同じだろ」

「あはっ、そうかなぁ」

「「ママがいちばーん」」

「ありがと、ミー、クー」


食後にはマイタンってのがスタンダードになっていて、寒くなった今でも変わらない。確かに冬のスイカは合わないと思いがちだが、それは単に他にも美味い物が多種多様にある元の世界とは話が違うだけなのだ。甘味は果実が主流な世界では、スイカ味と言えども貴重な甘味補給となる。加えて水分が豊富なので、旅のお供には最適なのだ。もっとも、季節が合えばもっと相応しい果実もありはするが、とにかく倉庫の中には今でもマイタンが大量に眠っていて、消費しないと減らないからでもある。


かれこれ飛んできてもうじき王都の勢力範囲内、すなわち王都の平民達が畑作とかをやっていて、その畑群に入る頃になる。なのでここからは歩きで王都に向かって歩き、途中の村1つを経由して、大体3日ぐらいで到着の予定となる。あんまり空中ばかりでの移動も慣れないので、王都に入るまでに人間に慣れようと言うのが趣旨になっている・・主にオレが。オレだけなら下手したら1生人里に出ないんじゃないかって・・ミカが・・言われてみればそうなりそうな気がしなくもなく、リハビリのように人に慣れて行こうって、オレ、いつの間に人間止め・・ああ、止めてたな。


「行こう行こう王都に行こう」

「「王都に行こう」」

「実に元気だな」

「兄さん、元気無い」

「あはは、人疲れしたんだ」

「そうかもな、どうにも対話が疲れていかん」

「ずっと自由だったもんね」

「向こうじゃよく平気でやってたと思ってな」

「慣れって恐ろしいね」

「下手に解禁しちまったからな」

「疲れたら出張すれば良いじゃない」

「単身赴任か」

「亭主元気で留守が良い」

「はうっ」

「あはははっ」

「あ、見えてきたよ、兄さん」

「着いたか、王都に」


まだ結婚届も出してないのに、早速敷かれている彼でした。

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