人差し指ほどの隙間
鳥を飼おうと思った。
十羽の緑色のとても小さな鳥が、籠でちぴちぴ鳴いていた。
近所のペットショップ。ふらりと立ち寄っただけなのに。小さな体、小さな目、頻繁に動く頭できょろきょろ。
転んで、籠を倒して、ちぴちぴ鳴くその子達をまじまじと見て、即決してしまったんだ。
ケージを買うつもりは無かった。ふくらはぎの真ん中に穴が有るから。
左右に一つずつ、それぞれ二センチくらい。別に痛くはない。奥はどうやら空洞みたい。中が広くなってて、うろのようなポケット構造。ちょっと舗装されてるから、人工的に出来たものだろうと思う。曖昧なのは、それが当たり前だと思っていたからで、まぁつまり気づいたらこうだったんだ。
そんな訳で緑の鳥が二羽、ふくらはぎに住むことになった。
鳥的には、ふくらはぎってどうなんだろう。二羽はちぴちぴ出たり入ったりする。歩けば当然揺れるけれど、器用に足を引っ掛けて、顔を出したり引っ込めたりしてるみたい。
時々、二羽は外に出て、植え込みとか緑色の場所で遊び出す。見失うから、帰ってくるのを静かに待つ。ふくらはぎに戻ってきたら、また歩き出す。ちぴちぴ。鳴いてる鳴いてる今居る。
もう一個気づいた。半ズボンを履いてる。足を出すのは、苦手だった筈なのに。
共存したいと思う、それだけで人は変わるものなのかな。振り返って見下ろせば、ちぴちぴ、ちぴちぴ。
小さな二羽も何か、変えて来てくれたのだろうか。
不規則に揺れるふくらはぎに住む覚悟を、決めてきてくれたんだよね、多分。