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二話

2014/4/11修正

~三者視点~


外に出るのはいいが武器をどうするかキョウは考えていた。

武器は…まあ、最悪そこら辺にあった木の棒でいいだろ。とキョウは思う。

海に行ったとき流れてきたであろう湿った木の棒を振ってみたら海が二つに割れたし。と、人間ではありえない出来事を平然と思い出すキョウ。

ついでにそれを見たキョウの両親は失神…することなく、父親は「おお、流石俺の子だ!」と言い母親は「まあ、恭ちゃんは少し力が強いのね。」と朗らかに笑っていた。

だが、唯一の友人も一緒にいたがそのありえない光景に失神していた。

そうつらつらと思い出していたキョウは、門番に止められた。


「おい、お前。何処に行く。」


「?少し散歩に。」


顔色を変える、視線が動くなどは一切なくそう平然と言うキョウ。

キョウは内心「散歩は散歩でも魔獣狩りの散歩だけど嘘は言ってないだろ。」と思っていた。


「散歩ぉ?そんなの安全な街の中ですればいいだろ?」


「いや、流石に走ってたらスリと間違われそうですし。」


その言葉に少しは納得した様子の門番だったが、しかし装備を見たキョウを見て顔を歪める。


「だけどよ、胸当てとかの装備くらい必要だぜ?麻布の服だと防御力も薄いし。」


「大丈夫です。逃げ足には自信があります。」


それに渋々といった様子で納得…はしてないみたいだったがキョウを通した。それでいいのか。

そしてキョウは少し走って森に行くことにしたようだった。

少し走っただけで突風が…今日風強いのか?とキョウは原因が己だとは気付かないようだった。


キョウの後を追っていた同じ異世界人はこう語る。「彼は風になった。」

それも仕方ないだろう。彼の小走りは10キロをほんの五分ほどで完走し、さらに五十メートルは過ぎ去る。無茶苦茶である。もう既に人間ではないというツッコミが欲しいくらいだ。

本気で走ったらどうなるのか考えたくもないだろう。

しかも、この世界では若干異世界人専用の特典があり、全ステータスに数値化されないが約二倍の補正がかかる。

しかし何故かキョウにだけ約八倍ほど全ステータスが強化された。

正しくその拳は大地を、大海を、大空を切り裂くことの出来るようになってしまったのである。

しかしキョウは地球でもそれが普通だと思ってしまっているため、誰も彼を止める事が出来ないだろう。


キョウの小走りにより轢かれた魔獣、または吹き飛ばされた魔獣の数は既に五十を超える。

キョウの耳にも悲鳴は届いてるが、それは風が強いためにあげられた悲鳴だと思っている。強ち間違いではないがその風はキョウだという事に気づくはずもない。



~キョウ~


目の前に何か動いた気がして俺は止まる。どうやら赤毛の熊だった。だが、普通の熊の二倍ほどはあるだろう巨体だった。

んー、赤毛の熊…赤い熊…。……レッドベア、かな?レッドベアは目を見開いて驚いてたが数分して思考が戻ったのか目を吊り上げ、大声で吼えた。…反応するの遅くね?

かくいう俺も楽しみで楽しみで仕方ない。俺は気が付けば哄笑していた。

おいおい、何ビビってるんだよ?レッドベアは耐えきれなくなったのか突進してきた。


「遅い。」


俺は腰にぶら下がっていた武器を抜いて切り裂こうとした。が、バキンッと音がして折れてしまった。

確認してみるとどうやら錆びた武器だったようだ。


「チッ!仕方ない。」


俺は仕方なく武器を投げ捨て、また襲いかかってきたレッドベアを避け、首に手刀を落とす。

するとなんの抵抗もなく首が切り落とされ、ゴロリと地に落ちた首。

すぐに光に包まれ、アイテムに変わる。そこにはレッドベアの爪と毛皮が置いてあった。


「……は?あっけな。こいつ見た目だけかよ。」


つい呟いたその時、ポーンと音がして脳内に≪【漆黒の断罪者】の称号獲得≫というアナウンスが流れた。

称号の詳細を見てみると、どうやらレッドベアはそれなりに強かったらしい。

なんでも称号の獲得方法は【レベルが15以上離れている相手を一人で三分以内で倒すこと】らしいからだ。


「んー、まあいいか。」


俺はレベルアップした際に出てきたptを全て攻撃力に振る。

何故かレベルが20になっていたのには少し驚いたがいつまでもこうしてるわけにはいかず、爪と毛皮をアイテムボックスに入れた。

……何故か他の魔獣の爪や皮などが入っていたが仕様なのか?

調べてみると五分以上アイテムを放置しておくと勝手にアイテムボックスの中に入るようになっているらしい。

ただ、他の誰かが触った場合触った人のものになってしまうためすぐにアイテムボックスの中に入れた方が得らしい。

参考になったとは思うが、つまりこの中に入ってる魔獣の爪とかは俺が倒した魔獣なのか?

そう思ったが心当たりが無い為気にしない方向に行く。


「ラッキーという事にしておくか。」


俺はまた小走りで帰る事にした。周りから魔獣たちの悲鳴が聞こえるが、そんなに風強かったか?と内心首を傾げる。

さっきまでは全く風なんて吹いてなかったのにな、と周りを見ると確かに突風が吹いているようで何匹も吹き飛ばされていた。

角の生えた兎に灰色の狼などが吹き飛んでいるのを見て、角の生えた兎はわかるけど、狼が吹き飛ばされるなんて…とドン引きしていた。


無論、己が起こしている突風の所為だとは気付きもしていない。あな恐ろしや。


その後は普通にあの門番の所から町に入って行った。その時に「よく魔獣に襲われなかったな。」と言われて曖昧に誤魔化しておいた。

追記:所持金が100Gから61238Gに増えていた。ラッキー。

レッドベア:レベルは大体20~30。全長約5メートル

MPよりもHPの方が多く、厚い毛皮と脂肪の所為でDEFが初期モンスターにしては高い魔獣。

その他にもSTR、VITが高いため初期にソロで倒そうとすると十中八九死ぬ。属性は無。

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