プロローグ
初めての作品なので、拙い表現、誤字などがあると思います。
誤字脱字などがあった場合、知らせていただけると幸いです。
まだまだ始まったばかりですが、完結に向けて尽力していきますので、何卒宜しくお願いいたします。
薄ら寒い笑顔を浮かべる男、その男の目には狂気が宿っていた。
異常をきたした精神の娘。
未だ泣き止むことはなくーーーーー
ここで一つ、運命の歯車は回る。
月の明るい夜のこと、その小さな子供は家族を手にかけた。
暗い地下での生活にピリオドを打ち、地上へと続く階段に足をのせる。しかしその階段は余りにも脆いモノだった。
そして、もう一つ、
見目麗しい少年は切れ長の目を細め、その家を後にする。
歩を進めては涙をこぼす。愛しい"妹"の姿を目に焼き付けたまま、彼はその血に濡れた手を隠すように遠くへと歩き始めた。
歯車が回る廻る周るーーーーーーーー
残された少女達がいた。
皆一様に暗い瞳をしている。
彼女たちの運命はとても数奇なものーーーーー
小さな手が地面を掴んだ。
その渇いた地に落ちるものは、絶望にくれる瞳からこぼれる涙か、それとも身を焦がすような激情に包まれ流れた血であろうか。
幾度も幾度も名を呼んだ。
その高い声が枯れるまで。諦めることなど出来なかった。
小さな少女はまだ知らない。
自らを動かすその感情ーーーーーそれを人は"恋"と言い、そして誰しもがその甘い罠に掛かるのだと言うことを。
小さな少女はまだ知らない。
とうの昔に掛かっていたその罠に。その感情に。
必死に生き延びて、強くなる。
血反吐をはいても立ち止まることなどなかった。
愛でてくれたある男を思い出す。
一人の少女は記憶に思いを馳せ、悦に入り、そして殺意に燃える瞳を閉じた。
憎くて憎くてたまらない。
自分は永遠に貴方と供にいたかった。
彼女を動かすこの感情は果たして恋なのであろうか。
知ったことではないと吐き捨て、少女は闇へと溶け込んだ。
赤に染まった人間達を思い出す。
一人の少女は光を失ったその瞳、月に照らされた赤の美しさを思い出し、ペロリと舌なめずりをした。
足りない足りないまだ足りない。
自分は今でも壊れたままだ。
彼女を動かすこの感情は果たして"恋"と言えるだろうか。
他人事のように少女は気にせず、そしてまた今日も血に溺れる。
鷹のような鋭い目を思い出す。
一人の少女は自らの片割れを探す。寂しいと泣けども泣けども片割れは姿を現しなどしなかった。
どこに何処に一体ドコに。
生きているのか、死んでしまったのかも分からぬまま。
彼女を動かすこの感情はきっと"愛"。恋慕にも似た、とても深い家族の愛情。
今日も今日とて少女は愛しいモノの面影を求めて探し、彷徨う。