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あやめとアヤメの交換日記  作者: 深光
紅い糸の軌跡
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遠いようで近い、近いようで遠い

 白仮くんとミギーくんのお説教が終わった後に帰ってきたウィクシア先生にみんなで怒られた。先生は「二人を必要以上に煽ったお前らも悪い、でもちゃんと止めなかった先生も悪い」ってちょっぴり反省してた。

 まさか魔法を使うとは思っていなかったようです。

 白仮くんやミギーくんは魔力が多く保有してる生き物だから、魔法について勉強してなくても使えるみたい。でも学園には人間の子がいっぱい居るから、先生は油断してたのかな。

 人間の子は基本的には勉強しないと使えないらしいですし、まあ一部例外は居るらしいけど。彩萌の周りには魔物さんがいっぱい集まって来るけど、やっぱり人間の方が多いもんね。

 魔法を使う時は十分に気を付けよう、でも彩萌は魔法使えないけどね!

 ちなみに四時間目のドッジボールは上の二のクラスの全敗でした。

 どうも上の二のクラスは大人しい子が多いらしい、運動は苦手じゃなさそうだけどイケイケでは無かった……。

 彩萌はジャンプと着地は得意だけど、走ったり避けたりするのが苦手になっちゃったから全然ダメダメだったよ。

 クーリーちゃんに容赦なくボールをぶつけられたよ、クーリーちゃん運動が得意みたい。

 意外と運動が得意なシェリエちゃんはやる気が無かったから適当に避けて、適当にボールにぶつかって、その辺で暇そうにしてた。

 上の三の人たちに「お前らとやると面白くないな」って言われてたよ!

 白仮くんがいたら、活躍してたのかな?

 ……でも白仮くんは不思議だからなー、よく分かんないや。

 とりあえず、上の三の人たちがイケイケなのはミギーくんとかクーリーちゃんみたいな明るい人がけっこういるからなんだろうね。

 なんていうんだっけ……同調意識とか、同調圧力? 集団心理とかそういうの。

 上の三の目立つ人はクーリーちゃんとかミギーくんとか、あとシェミューナちゃんっていうピンク色の目で白っぽい色の髪をツインテールにした女の子で、すっごいイケイケ系だったよ。

 シェミューナちゃんは上の三のクラスの女の子のリーダーって感じだった。

 シェミューナちゃんも魔族みたい、羽が生えてたよ。

 彩萌のクラスの上の二は、やっぱり一番上に立ってるのはケレンさんみたい。

 ケレンさんが指示出してたし、先生が来る前に並ぶように指示してたのはケレンさんだった。ケレンさんのことを嫌がってるような雰囲気を出してる人も居たけど、けっきょく指示に従ってたし。

 だから彩萌のクラスはどっちかというと大人しいのかな?

 彩萌のクラスはみんな、なんか規則正しいしね!

 上の三の人と仲良くなるなら、彩萌も明るく話しかければ仲良くなれるのかな!?

 お昼は学食か購買で買ったり、持参したお弁当を食べたりするらしいから彩萌はクーリーちゃんとシェリエちゃんと食堂に行く間ずっとそんなことを考えてた。

 着替えてる時もずっと考えてたよ、彩萌の目標は友達百人以上ですからね!


「……アヤメさっきからすごい静かだけど、何考えてるの?」

「えっとー……みんなと仲良くなる方法?」

「あはは、アヤメってお子ちゃまだよね!」

「笑ってるけど、彼女は意外と難しいこと考えてたりするんだよ、この見た目と喋り方に惑わされるけど小難しいことを考えてたりする」

「えー、マジで?」


 シェリエちゃんの発言にクーリーちゃんが嘘だーって笑ってたけど、彩萌は天才ですからね!

 いっぱい難しいことを考えているんですよ、ふふん!


「人間観察と人間考察が彩萌の癖だからね、たぶんクーリー……しばらく一緒に生活したら彩萌に行動パターンを見透かされるようになるよ」

「なにそれ、ちょっと怖い」

「でもすごい気が利く、アレ持ってきてって言えばその時欲しい物を持ってきてくれるんだよ」

「なんかそれって、お母さんみたいだね! 私お母さんいないから実際のお母さん知らないけどさー」

「そうですよ、だから彩萌は怖くないです! 彩萌は仲良くなりたいからその人を良く見て、考えちゃうだけです!」


 ふーん、ってクーリーちゃんは軽く流してくれた……、変態だと思われなくってよかった……。白仮くんに変態って言われてたから気にしてたんだよ……。

 もうすぐ食堂につくところで、白仮くんとミギーくんがいた。

 一緒に居るなんて意外、仲良くなれたのかな?

 というかミギーくんは白仮くんに化けたままなんだね。

 白仮くんは狐のお面してたよ、ミギーくんは真っ黒のお面で彩萌と同じ角が生えてるの。


「あ、というかそれってミギーと同じってことじゃん。まあミギーは気が効いたことなんて今まで一切してくれたことないけどね!」

「なにそれ何の話? 僕がどうしたって?」

「ミギーとアヤメがちょっと似てるって話!」

「それはない、絶対ない、こんな真正の変態と彼女が似てるとかありえない」

「なに白仮、あんたアヤメが好きなの?」


 いや、クーリーちゃんそれは無いよ。

 白仮くんも微妙な雰囲気だよ、というか……なんかあんまりミギーくんと仲良くなれたように見えないや。

 そうか、ミギーくんはモノマネするからモノマネする相手を良く見てるってことだね!


「彼女が好きってことじゃなくて、コレが嫌い。隣の席の彼女がコレに似てたら耐えられないから」

「たしかにね、ミギーの隣の席の私はかなりカワイソウな感じだもんね」

「えー、酷い! 僕の隣なんて超ラッキーじゃん!」

「ミギーの隣になって超ラッキーなんて思うのなんて、シェミューナくらいだよ」

「そんな物好きが居たんだ、まあ蓼喰う虫も好き好きって言うくらいだからこんなの好きになる人もいるか」


 白仮くん……饒舌だね、魔法かけられたことを怒ってるのかな。

 それともミギーくんと仲良くなったのかな、喧嘩するほど仲が良いって言うし。

 まあそんなことを言われたミギーくんはすっごい嫌そうな顔してたけど。


「僕、あの子嫌いだから、それ以上あの子の話したらマジで怒るから」

「私にはお似合いに見えるけど」

「最近のクーリーは女の子しててキライ、もうしらない」


 ミギーくんはクーリーちゃんに怒って立ち去ろうとしたんですよねー。

 でも何故か彩萌を引っぱって連れて行こうとしたんですよねー、まあそんなことすればクーリーちゃん以外全員ついて来たけど。

 あ、でもミギーくん的にはクーリーちゃんがいなければ良いのか。

 あれかー、大人の階段上ってるからいろいろ衝突があるんだね……。

 クーリーちゃんはけっこう早くからお姉さんになってる感じするもんね、ミギーくんは彩萌と同じでお子ちゃまだからね……。

 っは……いやいや、彩萌は大人のレディーです。

 お子ちゃまでは無いのです。

 クーリーちゃんの方を見ればもうすでに別のお友達に話しかけてた。

 こうやってお友達とは疎遠になって行くのかなぁ、なんかさびしいなぁ。

 ミギーくんとクーリーちゃんには仲良くして欲しいなぁ。


「というか、お昼どうするの?」

「購買部があるし、そこで良いじゃん!」

「クロックマダムが食べたかったんだけど……、ミギーなんか奢って」


 シェリエちゃんはなんか食べたかったものがあったんだね、すぐにお断りされてたけどね。

 というか本当にクーリーちゃんは大丈夫なのかな、だって仲良さそうだったのに。

 クーリーちゃんとお昼一緒に食べたかったなぁ、夜ご飯は一緒に食べよう。

 というかミギーくんはクーリーちゃんの隣の席だよね?

 大丈夫かなぁ……。

 そんなことを考えながら購買部に行くと、意外と生徒が少なかったけど山吹君がいたの! あぁ、なんかごめんねクーリーちゃん!

 彩萌今すっごい幸せな気分になった!


「あー、リディー先生じゃん。珍しい、先生いつもお弁当じゃん」

「今日はちょっと色々あっ、て……ちょっと、ちょっと――ミギー・カノティシア、ちょっと……どういうことなの」

「……えっ、僕まだ今は何もして無くない?」


 山吹君は最初普通だったんだけど、なんかすぐに顔をしかめてた。

 ミギーくん不思議そうだったけど、彩萌は山吹君の視線の先を見て気づいた。そう言えばミギーくんに腕を掴まれたままだったね、誤解されない内に放してもらった。

 山吹君が不機嫌そうなのを見て、ミギーくんはすっごく不思議そうだった。

 嫉妬ですか、山吹君それは嫉妬だよね!

 彩萌は期待していいんですよね!

 笑顔を向けたら、もっと山吹君は不機嫌そうな表情になった。

 山吹君はむずかしい男です。


「――学業を疎かにしないようにね……」

「あー、はい? なんかリディー先生マジ変だよ」


「別に変じゃないから」って呟きながら山吹君は去って行った。

 もしかして何か誤解されたのかな、大丈夫だよね……?

 とりあえず彩萌はクリームパン買ったの、シェリエちゃんはハムチーズのサンドイッチ買ってた。白仮くんはツナサンドとか、ミギーくんは食事を必要としないらしくって何も買ってなかった。

 ……やっぱり彩萌は不安です、誤解されたなら誤解をときたいです……!


「彩萌……ちょっと用事が出来た」

「うん、頑張って」

「いってらっしゃい」


 白仮くんとシェリエちゃんは普通に送り出してくれた。

 ミギーくんはすごい不思議そうだったけどね、でも事情は話せないからごめんね!

 山吹君の行った方向に行ってみたんだけど、ここはどこだろうか。

 うぎぃ……彩萌は学校に詳しくないから、ここがどこだか分からない!

 山吹君どこでご飯食べてるのかな……職員室かな、そう言えば普段は保健室に引きこもりしてるって言ってたっけ。


「えーっと編入生だ、何か探し物? 先生が先生らしく、そして先生っぽく道案内しても良いんだよ!」


 声をかけられたから振り向けば、彩萌と同じくらいの背の男の子が見えた。

 褐色の肌と水晶の耳が印象的、……イクシィール先生だっけ?

 なんか……がりがりごりごりってすごい音をさせてなんか食べてた、窓の外を眺めながら食べてたみたい。

 彩萌の解読力が悪すぎるのかな?

 その袋に小石って書いてあるのが見えるんだけど。

 ……イクシィール先生って、石食べて生きてるの?

 近づいてきたイクシィール先生は、なんかすっごい目がきれい。

 紫色っぽいけど、黄色というかなんか複雑に色が入っててきれいなの。

 彩萌はその目……嫌いじゃありません!


「ねえねえ、頭下げて! 私も角を触ってみたい!」

「えっと……良いですけど」


 頭を下げれば、イクシィール先生の嬉しそうな声が聞こえた。

 角を触ってるみたいで、彩萌の頭にイクシィール先生のぶかぶかな袖が当たってた。

 なんか「ジェジア先生が私にもっと優しくなりますよーに!」って言ってたけど、彩萌の角に願掛けしても願いは叶いませんよ?

 なんなんだ……彩萌の角はいつからそんなお地蔵さんみたいな感じになったんだ。


「なんか、つるつるしてて美味しそうな角だね! これって生え変わったりするの?」

「ちょっと……まだ分かんないです、生まれ変わったばっかりなんで」

「そうなんだ、もし抜けたら味見したいなー齧ってみたいなー美味しそうだなー欲しいなーお腹空いたなー……引っぱっちゃダメ!?」

「痛いと思うから……止めてください」

「じゃあ止めとく」


 そう言ってイクシィール先生は角から手を離してくれた。

 なんかイクシィール先生を見てると、妖精さんたちを思い出します。

 なんて言うか、キラキラした無邪気な顔が同じ感じです。イクシィール先生も妖精みたいな感じなのかな。


「それでどうしたの、お昼はまだなの? 早くしないと休み時間終わっちゃうよー」

「えっと……えっと、り……リーディア先生はどこに居るか知っていますか!? 彩萌……じゃなくって私は魔法薬に興味があって、いろいろお話を聞いてみたいなーって思ったというか……なんというか、そ……そんな感じで!」

「そうなんだ、編入生さんは勉強熱心だね。リーディア先生ならあっちに歩いて行ったよ、でもちょっと機嫌悪そうだったよ」


 イクシィール先生ありがとう! お礼を言ってすぐに山吹君を追います。

 機嫌悪いのかー、やっぱり誤解しちゃったのかな。

 えへへ、嫉妬されちゃったーい。やきもちだ!

 やっぱり山吹君は彩萌にちょっと気があるよね! 山吹君は彩萌のこと結構好きだよね! おほほほほ、嬉しくて笑いが止まらなくて怪しい感じになってるね!

 こんな感じで会ったら山吹君すっごい不機嫌になりそう!

 山吹君プライドとかかなり高いし、恥ずかしがり屋だからね!

 うふふ、彩萌の一番は山吹君だよ。それ以外は何もいらない……いやいらなくはないけど、でもやっぱり今のところ山吹君が一番だよ。

 しばらく山吹君を探してたらね、なんか理科室みたいな場所にいたよ。

 ドア開いてたけど、ノックしたんですよ。

 普通に顔を上げた山吹君は、彩萌を見てちょっとムッとしたような顔になった。

 本当に不機嫌だね、本当に嫉妬したのかな。

 さっきまでにやにやしてたけど、さすがにそんな顔をされたらにやにやできないや。


「何か用?」

「あ、えっと……ちょっとお話がありまして」


 そう言えば山吹君は立ち上がって、近くに来て中に入れてくれました。

 あまり大きい動作じゃなかったけど周囲を見回してから扉を閉めると言う徹底ぶり、どんだけー彩萌との仲を隠したいんですかー。

 隠そうとする方が怪しいからもっとオープンに行こうよ!

 まだ付き合ってるわけじゃないからね!

 実は知り合いでした~的な?

 山吹君は彩萌の方をぜんぜん見ないで椅子に座って、なんか菓子パンもぐもぐしてた。

 超不機嫌じゃん、彩萌が想像してたより不機嫌じゃん。

 え……もしかして彩萌は何か山吹君に嫌われるようなことをしちゃったのかな。

 無意識のうちに何かしちゃったのかな!?

 ちょっと心配になってきたよ……。

 とりあえず、椅子を引いて彩萌も座ってみた。山吹君の前です。

 どうしよう、想像以上に不機嫌だったから彩萌は少し戸惑ってるよ。


「山吹君……五時間目の授業彩萌はすっごく楽しみにしてます」

「あっそう、早くパン食べちゃえば。休み時間終わるよ」

「あっ……うん」


 や……山吹君がすっごい冷たい……。

 クリームパン美味しい、でも山吹君がすごい冷たい。

 彩萌なんか、泣きそうかも。

 でも彩萌は悪いことしてないし、ミギーくんとクーリーちゃんが喧嘩するのが悪いんだ。というかミギーくんがお子ちゃまなのが悪いんだ。

 彩萌は全面的に悪くないぞ、悪くないんだよ山吹君。

 クーリーちゃんに惚れたとかはれたとかそんな話された時に、やっぱり僕の魅力は最高だよね! くらいのことが言えないミギーくんが悪いんだ。

 それか恋バナとか言うのが好きなクーリーちゃんが悪いもん……、ぐすっ。

 だから彩萌わるくないもん、クリームパンがしょっぱい。


「ちょっと……やっぱり、同い年の子と一緒に居る方が良いのかなって思った」

「うん」

「お似合いかなって、やっぱりそうだよなって思った」


 山吹君はキレイなハンカチを彩萌の顔に押しつけるんですよ、こすらないのは赤くならないように気を使ってるんですかね。

 でもそうされると前が見えないですけど、食べ辛いです。


「なんか、すごい幸せそうに見えた」


 やっぱり嫉妬か、良かった。焼きもちで良かった。

 無意識のうちに嫌われるようなことしてたらどうしようって思ったよ。

 やっぱり山吹君も彩萌が好きなのよね! 彩萌も山吹君が好きだよ、うへへ。

 というか山吹君さ、彩萌たち四歳しか年離れてないんだぜ。

 世の中にはすっごい年が離れてても結婚する人がいるんだぜ。


「にやにやするなよ、あー……別にそういう意味じゃないから、それは彩萌ちゃんの勘違いだから! 僕は大人なので子供な彩萌ちゃんには全く興味ありません」

「今はそう言うことにしておきますね!」

「……じゃあ今はそう言う事にしておいて」

「今日の山吹君は素直だね」

「それ以上言ったらそのクリームパン全部口に詰め込むからね、ぎゅうぎゅう詰めにするから」


 最近山吹君が分かる感じでデレてきたね、彩萌はちょっぴり幸せなの。

 山吹君、彩萌は早く大人になれるように頑張るね。

 五時間目楽しみにしてるねってもう一回言ったら、あんまりプレッシャーかけないでって言われた。

 ばーかばーかって山吹君は呟きながらハンカチを離してくれました、不貞腐れたような顔してた。

 山吹君はカッコカワイイです、他の人なんて目じゃないですよ。

 ずっと一緒にいたいです。





 ――あやめとアヤメの交換日記、七頁

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