ぷろろおぐ
ぷろろおぐ
むかーし昔、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは川へ洗濯に、おばあさんは山へ芝刈りに、と、両方で反対の事をしておりました。
だから、よおーく近所の方達に、こう言われるのでございます
「さすがにあのおばあさんの腰じゃあきついんでねえかい。じいさん、かわりにいっておやりなよ。」じいさんは次の日、しぶしぶとかわりにいってやりました。
「ありゃ、こんな所に竹の子なんてはえていたんだべな。最近山に来てなかったからもうわかんね。」
といいつつ、じいさんは手土産に、と竹の子を引っこ抜こうとしました。
「そおーれ!!」
じいさんには似つかわしくない声を張り上げました。
ぽおん。
思いの外、竹の子はするっと抜けました。
「うおっととと・・。」
じいさんは重心をくずし、どしんと尻餅をつきました。
「あいててて。な、何だ、これは!」
見ると、竹の子はただのはりぼてでした。
抜けた穴からは黄金の光がもれています。
「こ、これは・・・?」
じいさんは穴をのぞき込みました。
ころん。じいさんの懐に入れていたおむすびが穴の中に落ちてしまいました。
「ああああああっっ!!!」
じいさんは手を伸ばしました。
「だめだよ」
だれかが腕を掴みました。
じいさんがはっと後ろを振り向くと、そこには姫カットの少女がたっていました。
「そこは欲望の空間」
「は?」
少女は座りこみました。
「これは貴方が創った欲望の空間。だから入ると貴方はきっと出てこられなくなる。」
じいさんはなにやら興味を持ち、座って話しを聞きました。
「この竹の子も貴方が昔食べたかったもの。お金も貴方が最も欲しがっていたもの。そして」
すっくと立ち上がり、じいさんを見ていったのです。
「私、子供も欲しがっていた。そうでしょ?」
じいさんはこくんとうなずきました。
すると、穴から出ていた光がふっと消えました。「あ・・?」
じいさんは不思議で思わず言いました。
「欲望が消えたんだわ。」
そして、じいさんを見つめると、ふっと笑いました。
「私はどざえもん。今日から貴方の子供よ。」
そして、どざえもんはじいさんの養女になりました。
じいさんは大喜びです。
ところが、ばあさんはどざえもんの名前が気に入りませんでした。
「炎はどうかね?」
じいさんは何でもいいよ、と気前良く言ったので、ばあさんは決めました。
「炎が元気にすくすくと大きくなりますように。」ばあさんとじいさんは、その日、誓ったのでした。どざえもん(炎)を、大事に育てるということを。
これは、日本の色々な昔話を練り込んで作り上げた話です。
ご愛読してください。