第1部:青き神託と黄金の盾 ダンスシークエンス
(音楽が鳴り響く。インドの伝統楽器であるシタールとタブラが、現代的なシンセサイザーのビートと混じり合い、皮肉と歓喜が入り混じったアップテンポなメロディを奏でる。舞台は、コバルトブルーに染まったガンジス川を背景にした、仮想の空間へと切り替わる。照明は原色を多用し、けばけばしい輝きを放つ。)
中央には、ラジェシュが重厚な金の鎖を揺らし、その肥満した腹を誇示するようにして立つ。彼の隣には、無表情な李が、タブレット端末を片手に静かに控えている。彼らの背後では、川に跪く数万の民衆が、青い水を掬い上げては額に塗る動作を繰り返している。その傍らでは、白衣を纏ったスワミ・ヴィシュヌが、黄金の壇上で両腕を広げ、陶酔した表情で天を仰ぐ。そして舞台の隅では、手錠をかけられたアルジュンが、警官隊に引きずられながらも、必死に真実を叫ぼうともがいている。その彼の隣には、偽科学者たちが満面の笑みでカメラにピースサインを送る。
(音楽がピークに達すると、全員が一斉に踊り始める。しかし、そのダンスは決して一体感のあるものではない。それぞれの思惑と立場の違いが、コミカルかつ皮肉な振り付けとなって表現される。)
ラジェシュは、金色の宝飾品を揺らしながら、まるで市場の呼び込みをする商人のように、両手を大きく広げて踊り出す。彼の足元はステップを踏むというよりは、床の上を滑るように左右に移動し、時折、大きく飛び跳ねては地面に不時着する。
ラジェシュ(歌い出す):
「ああ、見よ、この青き奇跡! 黄金の川が流れ出す!
民衆よ、さあ、跪き、この毒に酔いしれろ!
裏金は私のポケットで、じゃらじゃらと踊り、
議席はすぐそこ、私のものだ、フフフ!」
李は、ほとんど動かずに、しかし完璧なタイミングで首と手首をわずかに動かす。彼の視線は常に前方の一点を見据えており、まるで誰かの指示を待つかのように微調整される。タブレットの画面には、BNI社の株価を示すグラフが青く光り、彼のダンスの動きと連動して揺れる。
李(淡々と歌う):
「データは語る、資本は流れる、計画は完璧だ。
感情は不要、効率が全て。計算通り、そうである。
真実は隠され、数字が踊る。市場は青く染まる。
我らの帝国、永久に続く。それこそが美である。」
民衆は、ヴィシュヌの動きに合わせて一斉に体を揺らす。彼らのダンスは、狂信的な喜びと、どこか暗示にかかったような盲目さが混じり合っている。顔を青く塗られた者たちは、恍惚とした表情で空を見上げ、両手で水をすくう動作を繰り返す。
民衆(合唱):
「ニーラ! ニーラ! 神の青! 我らの罪を洗い流す!
ヴィシュヌ様、神の声、奇跡が今、ここに!
信じる心、疑わぬ魂、青き光に包まれよう!
この水は甘い、この水は聖なる。我ら皆、救われたのだ!」
スワミ・ヴィシュヌは、黄金の壇上で優雅に、しかしどこか傲慢な動きで踊る。彼の両手は空を仰ぎ、まるで神の力を操るかのように旋回するが、その視線は時折、袖の下で光る金の腕輪へと向かう。彼の表情は、神々しさと、世俗的な満足感の間を行き来する。
ヴィシュヌ(歌い出す):
「私は神の声、汝らの導き手。青き預言、成就した。
信仰は力、信じる者は救われる。アシュラムは豪華な夢。
マッサージチェアは心地よく、寄付は満ち溢れる。
この舞台は私のもの。私は神の、忠実な演者である。」
その傍らでは、アルジュンが警官隊に抑えつけられながら、悲痛なダンスを踊る。彼の動きは、自由を奪われた苦しみと、真実を伝えたいという切なる願いが入り混じった、ぎこちない、しかし力強いものだ。手錠が彼の動きを制限し、試験管の割れた破片が彼の足元で光る。
アルジュン(叫ぶように歌う):
「偽りだ! 偽りだ! 目を開け、民衆よ!
これは毒だ、死の青だ! 命が、命が枯れていく!
科学は叫ぶ、真実はそこにある! しかし、誰も聞かない!
この鎖は重い、しかし心は砕けない。私は諦めない!」
偽科学者たちは、アルジュンとは対照的に、自信満々に軽快なステップを踏む。彼らは満面の笑みでカメラにウィンクを送り、お互いの肩を叩き合いながら、でたらめな科学用語を羅列した歌詞を歌う。彼らの白い防護服は、スポットライトを浴びて不自然に輝く。
偽科学者たち(合唱):
「ミネラル、未知の成分、地殻の神秘、ああ!
科学を超越した力、これは地球の祝福だ!
数値は嘘をつく、信仰こそが真実!
我々は賢い、私たちは語る。これが新しい科学である!」
(全員のダンスと歌声が最高潮に達し、舞台は原色の光で包まれる。ラジェシュと李は満足げに手を組み、民衆は青い水を掲げ、ヴィシュヌは天を仰ぐ。アルジュンは警官隊に完全に押さえつけられ、彼の叫び声は音楽の喧騒の中に消えていく。偽科学者たちは、カメラに向かって勝利のポーズを取る。曲が突然、不吉な響きを残して終わる。)




