番外編 幸福の定義
最後まで読んでくださると嬉しいです!
不二国連合が大陸全土の経済と文化の礎となってから、数年の月日が流れた。かつて「ゴミ捨て場」と呼ばれた市ノ尾村周辺は、今や世界中の人々が憧れる「聖地」となり、魔族、亜人、人間が当たり前のように肩を並べて笑い合う光景が広がっている。
不二国が誇る広大な大農園。そこには、麦わら帽子を被り、元気に指示を飛ばすアヤカと、隣で眉をひそめながら巨大な算盤を弾くゼクスの姿があった。
「ゼクスくん! 今年のサツマイモ、過去最高の出来だよ! ほら、このツヤを見て!」
「へいへい、わかったからその泥だらけの手で俺の帳簿を触るんじゃねぇ。……ったく、あんたの作る野菜は相変わらず『概念』を越えてやがる。これなら王都の貴族どもに、また吹っ掛けた値で売りさばけるぜ」
なんと、アヤカとゼクスは数年前に結婚していた。
猪突猛進で純粋なアヤカと、裏社会の酸いも甘いも噛み分けたゼクス。正反対の二人を繋いだのは、他でもないタクマが作った「誰もが居場所を持てるシステム」だった。ゼクスはアヤカの真っ直ぐな生命力に救われ、アヤカはゼクスの不器用な優しさに寄り添ったのだ。
「もう、ゼクスくんはすぐお金の話ばっかり! ……でも、私を一番支えてくれるのは、やっぱりゼクスくんだね。これからもよろしくね、旦那様!」
「……ふん。あんたが最高の野菜を作り続ける限り、俺が世界一の商売をしてやるよ。それが俺たちの『コトツナ』だろ、奥様」
一方、連合の総本部のバルコニーでは、成長して大人の風格を纏った拓真が、夜風に吹かれながら街の灯りを眺めていた。
その隣には、片時も離れず、今や「連合副代表」として彼を支えるミユが立っている。
二人の関係は、あの日、丘の上で想いを交わした時から変わらず、より深く、より強固なものとなっていた。二人は、先週結婚式を行い、正式に夫婦となり、今は連合の舵取りを共に行うパートナーである。
この二人の結婚式には、この世界中から二人の幸せを祝うために駆けつけてくれ、会場から溢れるほど人がいたそうだ。拓真連合の各国の代表、王たちは、まるで娘や息子が結婚したかのように大号泣していたとさ。
「……タクマ。また深夜まで仕事ですか? あまり根を詰めると、明日の視察に障ります」
「ミユか。……少し、昔の自分を思い出していたんだ。兄を殺され、すべてを失ったと思っていたあの日を。けれど今、こうして言葉で繋がった世界がある」
タクマは無機質だった瞳に柔らかな光を宿し、ミユの手をそっと握った。
「君という変数が僕の人生に加わったことで、すべての計算が幸福な方へ傾いた。……感謝しているよ、ミユ」
ミユは顔を赤らめつつも、幸せそうに彼の肩に頭を預けた。
「……タクマ。私も同じです。貴方が掲げた『言葉でつなぐ想い』が、私を、そしてこの世界を救いました。……これからも、ずっとお側にいます」
ふと見上げれば、夜空には満天の星が輝いている。
魔族も人間も関係なく、手を取り合い、言葉を交わす。初代勇者が夢見て、タクマたちが完成させた「平等な世界」。
「初代勇者様。……見ていますか。あなたの願いは、今、ここに結実しました」
かつて「二無(無能)」と蔑まれた少年と少女。彼らが紡いだ言葉と絆は、数百年続いた争いの歴史を塗り替え、新しい時代の温かな風となって大陸中を吹き抜けていった。
「さあ、ミユ。明日もまた、この素晴らしい世界をさらに良くするための『言葉』を探しにいこう」
「はい、タクマ。どこまでも、ご一緒します」
(本当の完結)
あとがき:
無事に完結することができてとても、嬉しく思います。
拓真が、もとの世界で、掲げた「コトツナ」のスローガンが、復讐を乗り越えて世界を救う鍵となった素晴らしい物語でしたね。アヤカとゼクスの意外な(?)幸せな未来も含め、大団円を迎え、ハッピーエンドで終わることができました。
ここまで、この小説を書くことができたのは、この小説を見つけ、読んでくれて、応援してくださった方が、いてくださったお陰です。
本当にありがとうございました!
これからももっともっと、よい小説を書いていけるよう頑張っていきますので、また読んでくださると嬉しいです。
では、また。どこかで!
最後まで読んでくださりありがとうございました!また別の作品も読んでくださると嬉しいです!




